S&P 500月例レポート(2017年8月配信)

●企業の雇用とレイオフ関連

 6月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)は、予想の52.2や5月の52.7を下回る52.0となりましたが、依然として景気判断の分かれ目とされる50を大きく上回っています。サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は予想の55.1を大きく上回る57.8となりました(5月は55.1)。6月のサービス業PMIは53.0に低下するとの予想に反して54.2となりました。7月のマークイット総合PMIの速報値は6月の53.0を上回る54.2となりました。また、同製造業PMIの速報値は53.2(6月の52.1から上昇)、同サービス業PMIの速報値は54.2(6月の53.0から上昇)となっています。

 6月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.1%上昇、前年同月比では2.0%上昇となりました。6月の消費者物価指数(CPI)は前月比横ばい、前年同月比では前月の1.9%上昇から1.6%上昇に伸びが低下しました。コアCPIは前月比0.1%上昇、前年同月比では1.7%の上昇でした。

 6月の耐久財受注は予想の前月比3.5%増を大きく上回る同6.5%増(5月と4月の数値は冴えないものでした)、前年同月比では16.1%増となっています。5月の建設支出は前月比では変わらず、前年同月比では4.5%増となりました。5月の製造業受注は前月比0.8%減、予想は同0.5%減でした。6月の鉱工業生産は予想の前月比0.3%を上回る同0.4%増となりました。

 5月の卸売売上高は予想の前月比0.3%増を上回る同0.4%増となりました。また6月の卸売在庫は前月の前月比0.3%増に対し同0.6%増となりました。6月の小売売上高は予想の前月比0.1%増に対して同0.2%減となりました。自動車を除いた小売売上高も予想の前月比0.2%増に対して同0.2%減となりました。

 7月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は93.1となりましたが、市場は前月確報値と変わらずの95.1と予想していました。7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は121.1と予想の117.0を上回りました。また、6月の景気先行指数は予想の前月比0.4%の上昇に対して同0.6%の上昇となりました。

 6月の財の貿易収支は639億ドルの赤字となりました。輸出が1.4%増加したのに対し、輸入は0.4%減少しました。6月の輸入物価指数は予想通り前月比0.2%低下しました。前年同月比では1.5%の上昇でした。輸出物価指数も前月比変わらずとの予想に反して同0.2%低下しました。前年同月比では0.6%上昇しました。

 米国の2017年第2四半期のGDP成長率は予想通り前期比年率換算で2.6%増となりました。また、第1四半期は当初の同年率1.4%増から同1.2%増に下方修正されました。第2四半期の雇用コスト指数は前期比0.5%上昇、前年同期比では2.4%上昇しました。

●住宅市場

 6月の新築住宅着工件数は予想の117万戸を上回る121万5,000戸(年率換算)となりました。前月比で増加したのは4カ月ぶりのことです。6月の住宅建築許可件数は予想の121万戸を上回る125万4,000戸となりました。6月の中古住宅販売件数は前月比1.8%減の552万戸(年率換算)となりました。予想は562万戸で、前年同月比では0.7%増となりました。6月の中古住宅販売仮契約指数は前月比1.5%上昇し、予想の同0.9%上昇を上回りました。6月の新築住宅販売件数は予想通り61万戸(年率換算)となりました(5月の60万5,000戸から微増)。

 7月のNAHB住宅市場指数は予想の68に対して64となり、6月分も当初の67から66に下方修正されました。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した5月の住宅価格指数は前月比0.4%上昇し、前年同月比では6.9%の上昇となりました。5月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は4月と同様に、前年同月比で5.7%上昇しました。予想では4月の同5.7%から同5.8%に加速すると見込まれていました。

●企業業績

 企業の決算発表は株価を過去最高値に押し上げました。企業利益は事前予想を上回っただけでなく、多くの企業で、ウォール街の投資プロフェッショナルの間でささやかれている非公式な予測(whisper numbers)を上回りました。また、売上高も予想を上回っています。本稿執筆時点で285銘柄(S&P500の時価総額の67%に相当)が決算発表を終え、そのうち営業利益の予想を上回ったのは202銘柄(全体の70.9%。過去平均は67%)、下回ったのは55銘柄、予想通りだったのは28銘柄でした。

 金融セクターはこれまでに決算発表を終えた51銘柄中39銘柄(同76.5%)が予想を上回りました。ただし、一部の金融機関はトレーディング収入や成長への懸念を示し、非公式の予測を下回りました。

 情報技術セクターは事前予想が既に高かったものの、現時点で37銘柄中32銘柄(同86.5%)が予想を上回りました。しかしエネルギーセクターでは、予想を上回った銘柄は16銘柄中7銘柄(同47.1%)にとどまりました。

 全体的には、第2四半期の増益率は前年同期比で19.1%(前期比6.2%)となり、過去最高益を更新する模様です(これまでの過去最高である2014年第3四半期比で3.4%)。売上高は増加基調となり、予想を上回ったのは282銘柄中200銘柄と、全体の同70.9%を占めました。これは異例の高水準です。前年同期比の増収率は6.1%と、1株当たり利益(EPS)の伸びに比べると低いものの、これまで伸びが減速していた売上高にとっては明るい動きと言えるでしょう。

 個別銘柄では、ソーシャルメディアのTwitter(TWTR)は米国のユーザー数が減少し、米国で減収となりました。Amazon(AMZN)は、売上高は増加したものの、コストが増加して77%の減益となりました。同社は成長を続ける中、利益の伸びが低くなっており、市場予想による2017年度予想株価収益率(PER)は154倍(2018年度は90倍)となっています。

 また、本稿執筆時点でダウ平均の構成比率トップとなった航空機メーカーのBoeing(BA)や、重機メーカーCaterpillar(CAT)は予想を上回りました。予想を下回ったディスクドライブ製造Seagate(STX)や玩具メーカーHasbro(HAS)では株価が下落しました。大幅増益となった通信大手のAT&T(T)はTime Warner(TWX)買収の資金を調達するため、225億ドルの起債を実施しました。

●金利

 FOMCが(予想通り)政策据え置きを決定する中、7月の金利は上下し、イールドカーブは若干変動しました。米国10年国債の7月末の利回りは2.29%と、前月末の2.30%および2016年末の2.45%を下回りました。米国30年国債の7月末の利回りは2.90%と、前月末の2.83%から上昇しました(2016年末は3.07%)。

 外国為替市場では、ユーロは6月末の1ユーロ=1.1423ドルから1.1833ドルに上昇し(同1.0520ドル)、英ポンドも6月末の1ポンド=1.3026ドルから1.3194ドルに上昇しました(同1.2345ドル)。円は6月末の1ドル=112.46円から110.29円に上昇し(同117.00円)、人民元は6月末の1ドル= 6.7805元から6.7266元に上昇しました(同6.9448元)。

 金価格は1トロイオンス1,276.30ドルで取引を終え、6月末の1,241.40ドルから上昇しました(同1,152.00ドル)。原油価格は6月末の1バレル46.23ドルから50.25ドルに反発して月を終えました(同53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は7月末に1ガロン2.426ドルと、6月末の2.404ドルから上昇しました(同2.419ドル)。

 VIX恐怖指数は月中8.84まで下落して1993年に付けた過去最低の8.89を下回り、最終的に10.58と、6月末の11.18から低下して月を終えました(同14.04、2016年11月8日の米大統領選直前は23)。

●個別銘柄

 油田サービスのBaker Hughes(BHGE、BHIから変更)の株主は、同社がGeneral Electric(GE)の石油・ガス事業と統合したことを受けて1株当たり17.50ドルの特別配当を受け取りました。若者向け衣料大手Abercrombie & Fitch(ANF)は売却交渉を白紙撤回したと発表しました。

 Amazon(AMZN)は、今年で3回目となる会員限定の特売セール「プライムデー」を開催しました。売上高はこれまでで最高の10億ドルに達した模様で、他の小売業者もAmazonに対抗してセールを開催しました。

 フランスの行政裁判所は、Alphabet(GOOG)に13億ドルの納税を求めていたフランス政府の訴えを却下しました。

 日用品大手Proctor & Gamble(PG)は、投資家のネルソン・ペルツ氏が率いるトライアン・ファンドから取締役会の議席を求められていましたがこれを拒否し、トライアンは委任状争奪戦の開始を宣言しました。

 メキシコ料理のファストフードChipotle(CMG)の株価は、バージニア州の店舗で食事をした客が体調不良となったことを受けて4年ぶりの安値まで下落しました。同社は2015年にも同様の品質管理上の問題を起こしています。

 General Electric(GE)は将来の業績について、退任するイメルト最高経営責任者(CEO)の後任からの(2018年に関する)追加情報を待って判断すべきとして投資家を牽制しました。

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