S&P 500月例レポート(2017年8月配信)

●ワシントンのイベントは、取引ではほとんど考慮しない(今のところ)

 7月も市場は好調が続き、投資家を喜ばせました。市場は緩やかな上昇軌道を維持しました。もちろん、目的地にたどり着いた時にどうなるかは分かりませんし、ましてやその「目的地」がどこなのかも分かりませんが、夏休みと含み益で気分が高揚している今のところは、心配はなさそうです。

 7月のS&P500は1.93%上昇し(配当込みのトータル・リターンは2.06%)、年初来の上昇率は2桁台の10.34%(同11.59%)となりました。トランプ政権をめぐる議論は様々ありますが、昨年11月8日の大統領選以降では15.46%(同17.15%)の上昇率となっており、ショート筋以外の全ての市場参加者にとって良好な展開となっています(エネルギー株は例外で4.10%下落)。

 騰落率は11セクター全てがプラスとなり、6月の5セクターや5月の7セクターから増加しました。6月に2.98%下落した電気通信サービスセクターは7月に反発して5.07%上昇し、月間騰落率で最も高いセクターとなりました。AT&T(T)とVerizon(VZ)は決算発表を受けて株価が上昇しましたが、同セクターの年初来騰落率は依然として8.36%のマイナスです(AT&TとVerizonも年初来ではマイナス)。

 情報技術セクターは、利益予想が高かったにもかかわらず大半の企業が予想を上回ったことで4.27%上昇しました。同セクターでは上昇分のほとんどを大型株が占め、大型株の比重が一段と高まっていることが懸念されていますが、7月に関しては68銘柄中55銘柄が上昇し、平均上昇率は3.74%でした。加重平均による上昇率は下回りますが、それでも十分に高い成績です。年初来の上昇率は21.34%と(55銘柄が上昇し、平均19.22%上昇)、依然として最高のパフォーマンスを維持しています。

 エネルギーセクターは、原油価格が1バレル50ドル台を回復したことで(ただし、2016年末の54ドルには未達)7月に2.44%上昇しましたが、年初来では11.71%の下落と、最低のパフォーマンスが続いています。

 ヘルスケアセクターは0.67%上昇しました。医療保険制度改革法(オバマケア)についてはほぼ毎日のようにニュースで取り上げられており、最終的にオバマケアが修正されることはありませんでしたが、今後大統領令により補助金が見直されることになれば、業界を取り巻く状況は大きく変わると予想されます。結局のところウォール街では、種々雑多なイベントにもかかわらずヘルスケアセクターは上昇するとみているものの、セクターのボラティリティが高まる恐れがあります。同セクターの年初来の上昇率は15.84%と、依然として素晴らしいパフォーマンスを維持しています。

 金融セクターは6月に6.31%上昇して最も好調なセクターでしたが、7月は1.61%の上昇にとどまり、年初来の上昇率は7.67%となっています。

 もう一つの注目すべき展開として、消費関連セクターが7月にアンダーパフォームしました。一般消費財セクターは7月に1.76%上昇(年初来では12.17%上昇)、生活必需品セクターはわずか0.01%の上昇(同7.01%上昇)となり、月間で最低のパフォーマンスとなりました。

 銘柄の変動をみると、7月は値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りました。値上がりは326銘柄(6月は294銘柄)で、そのうち20銘柄が10%以上上昇し、値下がりは178銘柄で、そのうち14銘柄が10%以上下落しました。

 原油価格は50.25ドルで7月を終え、6月末の46.23ドルから上昇しましたが、2016年末の53.89ドルからは下落しています。米国10年国債利回りは6月の2.30%からわずかに低下して7月末は2.29%となり、2016年末の2.45%からも低下しています。VIX恐怖指数は(恐れることなど何もありませんが)、一時8.84(これまでの過去最低は1993年12月の8.89)と過去最低を更新した後、10.58で7月を終え、6月末の11.18や2016年末の14.04から低下しました。

 今になって思えば、7月半ば以降に明白になったように、株式市場を押し上げたのは企業利益であり、70%の企業が予想営業利益を上回りました。売上高も好調で、予想を上回った企業の割合は69%と、極めて高い水準となりました。ただし小売企業の決算発表はこれからです。現時点において、企業利益は過去最高を更新する見通しで(個人的にもそう思います)、売上高も過去最高を更新すると予想されています(こちらに関しては2週間後に判断します)。

 数値以外の市場のポイントとして、市場は引き続き企業利益や経済指標といったファンダメンタルズに注目し、ワシントンの動向(および海外の政局)も視野に入れるものの、取引では考慮しないと思われます。議会が夏季休暇に入り、8月後半は通常薄商いとなりますが、8月にある小売企業の決算発表で市場は引き続き注目されるでしょう。しかし、ファンダメンタルズよりも海外の動向が重視され、市場の変動要因になるかもしれません(誰にも予測はつきませんが)。

●7月の重要ポイントは以下の通りです

*S&P500は2,470.30で7月を終え、月間上昇率は1.93%(配当込みのトータル・リターンは2.06%)となりました。6月の終値は2,423.41、月間上昇率は0.48%でした。年初来の上昇率は10.34%(同11.59%)、また2016年11月8日の米大統領選当日の終値2,139.56からの上昇率は15.46%(同17.15%)となりました。月内に終値ベースで最高値を5回更新しました(直近の高値更新は2017年7月26日で2477.8246)。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)は21,891.12ドルで7月を終え、6月末の21,349.63ドルから2.54%上昇しました。年初来の上昇率は10.77%となり、月中に終値ベースで最高値を8回更新し、月末にかけて4日連続で最高値を更新しました。

*原油価格は引き続き不安定な展開となったものの、50ドルの水準を回復し、6月末の46.23ドルから8.7%上昇して50.25ドルで7月を終えました。2016年末の53.89ドルからの下落率は6.8%となりました。

*米国10年国債の7月末の利回りは2.29%となり、6月末の2.30%から低下して、市場は上昇しました(2016年12月末は2.45%)。

*金価格は1トロイオンス1,276.30ドルで7月の取引を終え、6月末の1,241.50ドルから2.8%上昇し、2016年12月末の1,152.00ドルからは10.8%の上昇となりました。

*英ポンドは6月末の1ポンド=1.3026ドルから1.3194ドルに上昇(2016年12月末は1.2345ドル)し、ユーロは6月末の1ユーロ=1.1423ドルから1.1833ドルに上昇(同1.0520ドル)、円は6月末の1ドル=112.46円から110.29円に上昇しました(同117.00円)。

*VIX恐怖指数は6月末の11.18から10.58(一時8.84まで低下し、1993年12月に付けた8.89の過去最低を更新しました)に低下しました(2016年12月末は14.04)。

*ボトムアップ分析によるS&P500指数の1年後の目標株価は2,689(現行水準から8.9%の上昇余地)、NYダウは23,757ドル(同8.5%の上昇余地)。

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