S&P500月例レポート(2017年7月配信)

●経済指標関連

 世界銀行が世界経済の成長見通しを発表し、2017年が2.7%、2018年が2.9%という予想を維持しました(2016年は2.4%でした)。国際通貨基金(IMF)は4月に中国の2017年成長率見通しを6.5%から6.6%に修正しましたが、今月またもや上方修正して6.7%としました。

 5月のマークイット製造業購買担当者指数(PMI)は52.7となり、5月のサプライ管理協会(ISM)製造業景況指数はほぼ予想通りの54.9となり、4月の54.6を上回りました。5月のサービス業PMIは4月の53.1から53.6に上昇しましたが、ISM非製造業景況指数は56.9となり、4月(57.5)から低下して予想の57.0にも届きませんでした。

 5月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.4%上昇し、コアPPIは同2.1%上昇しました。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.9%上昇、コアCPIは同1.7%の上昇となりました。4月の建設支出は前月比0.5%増の予想に対して同1.4%減となりましたが、前年同月比では6.7%増となりました。

 5月の小売売上高は予想の前月比0.1%増に対して同0.3%減となり、自動車を除いた売上高も予想の前月比0.2%増に対して同0.3%減となりました。5月の小売在庫は4月が前月比0.2%減となった後で同0.6%増に回復し、5月の卸売在庫は4月が前月比0.4%減だった後で同0.3%増となりました。5月の耐久財受注は前年同月比2.7%増、輸送機器を除く耐久財受注は同5.5%増となりました。

 FRBが公表した年次審査の第1段階の結果では、米国で事業を行っている大手銀行34行全てが仮説上のストレステスト(健全性審査)に合格し、深刻なリセッション下においても貸出を継続できることが示されました(全ての銀行がストレステストに合格するのは今年で3年連続)。第2段階でも、34行全てが株主への配当と自社株買いの計画が容認され(2011年にこのプロセスが開始されて以来、初めてのことです)、多くの銀行が直ちに配当と自社株買いを引き上げました。

 2017年第1四半期のGDP成長率確報値は年率換算で前期比1.4%となり、予想の同1.2%を上回りました。GDP価格指数は前期比1.9%上昇しました(予想は同2.2%上昇)。2017年第2四半期のGDP速報値は7月28日に発表されます。

 5月の個人所得は予想の前月比0.3%増に対して同0.4%増となり、個人消費支出は前月比0.1%増と、予想通りの結果になりました。PCE価格指数も予想通り前月比0.1%低下し、前年同月比では1.4%上昇しました。

●住宅市場

 6月に発表された指標は強弱まちまちで、予想を下回った指標もありましたが、依然として(予想された通り)プラスの伸びが続いています。6月のNAHB住宅市場指数は70の予想に対して67となり、5月の新築住宅着工件数は122万戸の予想を下回る109万2,000戸(年率換算)となりました。住宅建築許可件数も124万9,000戸の予想を下回る116万8,000戸となりました。5月の中古住宅販売仮契約指数は予想の前月比0.5%の上昇に対して同0.8%の低下となりました。

 4月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で5.7%上昇しました。5月の中古住宅販売件数は前年同月比で2.7%と「堅調」な増加を示し、予想を上回りました。5月の新築住宅販売件数はポジティブサプライズとなり、価格の中央値は34万5,800ドルで価格の平均は40万6,500ドルと、いずれも過去最高を記録しました。4月のFHFA住宅価格指数は前年同月比で6.8%上昇しました。

●企業業績

 2017年第1四半期は好調な四半期に分類されています。2017年第2四半期は引き続き増益が見込まれ、四半期ベースの営業利益としては過去最高を記録する見通しです。企業がこの追い風を利用して過剰な自社株買いを行い、株式数を減少させて1株当たり利益(EPS)を押し上げた兆候はありません。市場にとって重要なポイントは、企業は自社株買いに振り向けられる資金を保有している(2017年第1四半期には、企業が保有する現金残高が過去最高を記録しました)一方で、業績予想に対する自信について言及を避けたようだ、ということです。

 業績見通しは引き続き明るく、悲観的な警告は依然として限定的です。2017年第2四半期のS&P500指数全体の1株当たり営業利益は30.97ドルと予想され、3月時点の予想よりも2.6%低下しましたが、これまでの過去最高益である2014年第3四半期の29.60ドルを上回って過去最高を更新する見通しです。本稿執筆時点で、2017年第3および第4四半期も過去最高益の更新が見込まれているため、2017年通年でも過去最高益が予想されます。

 こうした予想は、緩やかな景気回復の持続に加え、FOMCによる1回または2回の利上げ(それぞれ0.25%)を織り込んでいるとみられます。

 なお、注目すべき点は、好材料となり得る法人税改革(あるいは、M&A、自社株買い、配当の順で活発化につながるとみられる海外利益の還流)の見通しが不透明なことや、大きな不確定要素である消費者の行動や政府の動きから景気後退の兆候が見られないことです。現段階での結論としては、企業利益は好調が見込まれているものの、PERをめぐる懸念を踏まえると、業績が下振れすれば、市場で直ちに失望が広がることが見込まれます。

●金利

 FOMCによる予想通りの利上げを受けて6月末に前月から上昇しました。米国10年国債の6月末の利回りは2.30%と、前月末の2.22%から上昇したものの、2016年末の2.45%は下回りました。米国30年国債の6月末の利回りは2.83%と、前月末の2.86%から低下しました(2016年末は3.07%)。

 外国為替市場をみると、ユーロは5月末の1ユーロ=1.1242ドルから1.1423ドルに上昇し(同1.0520ドル)、英ポンドも1ポンド=1.2877ドルから1.3026ドルに上昇しました(同1.2345ドル)。円は5月末の1ドル=110.81円から112.46円に下落し(同117.00円)、人民元は1ドル=6.8223元から6.7805元に上昇しました(同6.9448元)。

 金価格は1トロイオンス1,241.50ドルで取引を終え、5月末の1,271.40ドルを下回りました(同1,152.00ドル)。原油価格は月の大半を通じて下落し、1バレル42ドルの水準を試した後に反発して、46.23ドルと、5月末の48.63ドルを下回って月を終えました(同53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は下落し、6月末は1ガロン2.404ドルと5月末の2.516ドルを下回りました(同2.419ドル)。

 VIX恐怖指数は小幅上昇し、5月終値の10.41から11.18に上昇して月を終えました(同14.04、2016年11月8日の米大統領選直前は23)。

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