アジアの未来~4つの視点

・もう1つの課題として、アジアにも本格的なテロが入ろうとしている。フィリピンのミンダナオ島では、ドゥテルテ大統領がIS(イスラムテロ国家)の拠点作りとの戦いを本格化させている。インドネシアやマレーシアでも火種はある。

・セキュリティ(安全保障)のための戦いは必要であるが、テロの本質、テロの憎しみとは何かについて、精神的な戦争と捉え考える必要があるとマハティール氏は示唆する。

・人口17億人を有する南アジアが、グローバル成長スポットとして脚光を浴びるという見方は本物であろうか。モノづくりという観点で、インド及び周辺国が注目されている。パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブなどがその地域である。

・GDPが7%で伸びており、労働力も豊富であるが、貧困も多く、栄養不足が2.8 億人に達する。南アジア域内での貿易は少なく、市場としての統合は全く進んでいない。これからチャンスはありという見方と同時に、宗教的対立もありなかなか難しいともいえる。互いの国の信頼関係は築かれておらず、テロ、人身売買、関税障壁などが歴然とある。社会インフラは全く不足しており、FDI(海外直接投資)もほとんど入っていない。

・それでも、バングラデシュは発展している。2021年には貧困国から脱出したいと、目標を掲げている。港も、発電所も、道路も鉄道も足らない。そこで全国に100の特区を作って、投資(FDI)を呼び込もうとしている。日本特区、中国特区を作る方向である。

・低開発国や発展途上国は、1)変な独裁者が搾取をしない、2)戦争をしないで平和を保つ、ということができれば、3)社会インフラ作りの援助が得られる、4)貿易に参加できればグローバルチェーンの中で、発展の機会が得られる。そうなれば、どの国も間違いなく成長できる。南アジアが成長を加速する可能性は確かにある。

・道路も水力発電所も鉄道も、一国を跨いでいく。いくつかの国で共同利用するというのが条件であり、地域の融和が必要である。中国の一帯一路もそうであるが、インフラの連携は不可欠である。

・近隣国はどの地域でもすぐに仲が悪くなるし、摩擦や紛争が絶えない。協調や信頼関係を確立し、維持するのが難しい。ここをどう乗り越えるか。ひとえにトップ首脳のコミュニケーションしかない、というのが一致した見方である。対立があっても、会って話ができれば、前に進むことはできるという考えである。

・アジアの安全保障はどうであろうか。世界は不安定化している。テロと難民が広がっている。秩序を保とうとする力がぶつかり合っており、その不均衡を意図的に利用しようとする行為は世の常で現在も跋扈している。

・北朝鮮とは、どの国もまともな話ができない。中世の御領主様のような独裁国になってしまった。レッドラインを越えれば、とんでもない暴発が起きるので、どの国もそこまでは追い詰めない。とすれば、手の打ちようがない。中国と米国が一定の話し合いを継続する中で、暴発を防ぐように収めていくしかない。

・中国は北朝鮮をコントロールできないが、そこそこ押さえることはできる。南沙諸島への進出も力でゴリ押ししてくるわけではない。大国としての覇権はいずれ手に入るので、ゆっくり進むという見方も有力である。中国は南シナ海での行動規範について、今年末までにアセアンと交渉をまとめるという。

・米国はトランプよりも強い。トランプ大統領は国内に弱い。トランプがどんな政策をとろうとしても、一定の歯止めが働き、米国の継続性は保たれるという見方がある。日本は北朝鮮の核武装に対しては、どのように手を打っていくのか。今までの枠組みでは決め手を欠く。いかに遅らせるかというのが精一杯かもしれない。

・こうした観点を踏まえて、今後の投資環境として、1)北朝鮮をいかに押さえこむか、2)中国、韓国とはどこまで未来志向になれるか、3)アセアンの発展は引き続き有望か、4)南アジアのポテンシャルは広がりをみせるか、という4点に注目したい。
 

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