ヨシムラ・フード・ホールディングス 吉村元久代表取締役CEOインタビュー

後継者難の中小食品をグループ化し支援、
独自の事業モデルで急成長

●吉村元久氏
ヨシムラ・フード・ホールディングス 代表取締役CEO
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 我々の日々の暮らしに欠かせない食品産業。その食品業界の大部分を占める中小企業には後継者難に陥っている会社は少なくない。そんな後継者難などの課題を抱える食品企業を買収・合併(M&A)し経営支援することで、急成長しているのがヨシムラ・フード・ホールディングス<2884.T>だ。昨年3月の株式公開から1年で東証1部上場を果たした同社の吉村元久代表取締役CEO社長に経営戦略を聞いた。

――まず簡単な事業内容を教えてください

吉村 食品業界に特化した中小企業の支援を行っています。コンサルティング会社のようにアドバイスを行うだけではなく、株を引き受けることでグループ会社化し、ともに成長していくというのが当社のビジネスモデルです。同様な形で事業を展開している会社は、少なくとも上場企業にはないと思います。

 食品は事業者数では日本最大のセクターで、その99%が中小企業です。事業継承に悩んでいる中小企業は非常に多いのですが、その中小企業を引き受けることができる会社はほとんどないのが実態です。後継者が不在のため、本来生き残れる企業が廃業しています。そんな会社を我々が引き受ける。中小企業1社だけでは、つぶれてしまうけれど、グループ全体で力を合わせれば生き残れる。「力を合わせて生き残りましょう」というのが基本的な発想です。

――前期は3回の上方修正を行うなど業績は急拡大しています。事業拡大に向け、M&Aをする際の基準などはあるのですか

吉村 前期は3社を新たにM&Aしグループ全体で11社となりました。M&Aをする際の基準は、その会社が入ることでグループとして価値が上がるかどうかです。たとえ利益が出ていなくてもグループ化すれば利益が出ると思えばM&Aをします。赤字企業ならダメということはありません。すでにグループ化した会社が既存の経営資源を活用するオーガニックな成長を続け、根雪のように利益を積み上げていき、そこにM&Aした企業の利益が乗ることで、結果として急成長しています。

 当社では「中小企業支援プラットフォーム」という仕組みを作っています。これは、「製造効率化」「販路拡大」「新商品開発」などに対応する部署同士がそれぞれコンタクトし、事業を改善していくものです。例えば、当社のグループ会社に楽陽食品というチルド食品のシウマイなどを手掛ける会社があるのですが、高い製造技術を持つことから同社の工場長が他社も指導しその生産レベルに合わせるような形で経営支援をしてもらっています。同様に、営業や新商品開発など部門ごとに横ぐしを通し、弱いところをみんなで下支えすることで、あたかも1つの大企業として機能するような仕組みを作っています。

――そもそも、このビジネスモデルを考えついた経緯は?

吉村 私はもともと国内大手証券と外資系証券に在籍しており、独立して中小企業の資金調達のコンサルティングを行っていました。その後、中小企業に資金を出し傘下に入れる形としました。その過程で試行錯誤してたどりついたのが現在のモデルです。大企業の良いところは、安定していて信用のあるところです。その一方、中小企業の良いところは小回りが効きフットワークが良く、一生懸命頑張るところです。この両方の良いところを生かせないかと考えて、仕組みを作ったわけです。

――今後、毎年どの程度のM&Aが考えられますか

吉村 前期のM&Aは3社でしたが、東証マザーズへの新規公開や東証1部上場の審査でM&Aを実施できる期間は限られました。当社には数多くの案件が持ち込まれてきます。価格面などの交渉がまとまるかどうかにもよりますが、普通に考えれば今期のM&Aの数は増えると思います。いまの体制でも年間6~8社程度のM&Aはできると思います。ただ10数社のM&Aを行うには体制を強化する必要はあるでしょう。10年後には売上高が1000億円近くに行ければいいと考えています。

 我々のビジネスモデルは食品以外の業界でも活用できると考えています。将来的にチャンスがあればですが、自動車や電機関連業界などでも展開できると思います。その時は、中間持ち株会社として「フード」のほか「オートモービル」「エレクトロニクス」といった事業分野別に会社をぶら下げることになるかもしれません。

――当面の成長戦略には何が考えられますか

吉村 アジアを中心とする海外での食品の販路拡大を進められればと考えています。日本国内は少子高齢化で食品の市場は縮小していますが、海外に目を転じれば和食は成長産業です。中小企業の単独での海外展開は難しいのですが、当社グループの傘下企業が力を合わせれば、海外市場の開拓は可能です。タイミング的にも海外展開にトライしてもいい時期になってきたのではないか、と考えています。

(聞き手・岡里英幸)

●吉村元久(よしむら・もとひさ)
北海道函館市出身。1988年3月一橋大学商学部卒業。同年4月大和証券入社。事業法人部や資産証券部に在籍。97年モルガン・スタンレー証券入社。2008年にヨシムラ・フード・ホールディングスを設立し代表取締役CEOに就任。

●ヨシムラ・フード・ホールディングス
会社設立は2008年3月。中小食品企業をM&Aで子会社化し、「中小企業支援プラットフォーム」により問題を解決することで、グループ全体の成長を図っている。16年3月に東証マザーズへ新規上場、17年3月に東証1部上場を果たす。現在、傘下に「ヨシムラ・フード」「ジョイ・ダイニング・プロダクツ」「楽陽食品」「オーブン」「白石興産」「桜顔酒造」「ダイショウ」「雄北水産」「純和食品」「栄川酒造」「エスケーフーズ」の11社を抱える。

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