景気のよさをどうみるか~平時と有事を視野へ

・3月期の決算発表が一巡した。決算短信で最も大切なのは、業績の実績と会社側予想である。一方、最も無味乾燥なのが、コメント欄(経営成績の概況)の冒頭にある景気の現況についてのマクロ経済の内容である。説明の枕詞として定型文のように入れているが、ほとんど独自性はない。

・どうすればよいのか。1つは、すべてとってしまうことである。もう1つは、わが社の業績に本当にクリティカルな影響を与えるマクロ経済の動きについて、自社のビジネスに結びつけて語ることである。まさにコネクティビティ(つながり)が問われる。

・今2018年3月期の業績を見る時に、マクロ経済はどのように影響してくるのか。その前提として、主要国のGDPをどうみるか、為替はいくらを前提にするか、原油価格はどの程度とするかなど、知りたい要素は多々ある。

・企業サイドはマイルドなコンセンサスをイメージしながら、保守的な前提を是認する形で見通しを立てる。後は、為替が1円動いたらいくらの影響が出るか、といったシミュレーションに基づくセンシティビティ(感度分析)を説明に用いる。

・街に出て景気のよしあしを議論すると、人々の印象は何をみているかによってかなり異なる。中小企業の店舗では、売上げが伸びていないので、ずっと不況が続いているという。それは自分の店だけなのか、まわりもそうなのか。

・サラリーパーソン(勤労者)は自分の給料やボーナスが増えるか減るかがとても気になる。グローバルに活動している企業にとっては、日本よりも海外の売上比率が高いことも多いので、そうなると欧米やアジア新興国の政治経済の方がはるかに影響してくる。

・日本の株式市場から景気をみる場合にも注意を要しよう。株価=利益×成長性であるから、まずは利益がどのくらい増えるか減るかが第一の関心事となる。次のその利益が中長期的にどのくらい伸びるかに期待が集まるので、成長戦略の行方を見極めたいとなる。

・ところが、この成長戦略の見極めがなかなか難しい。そうすると、足元の業績が今見込んでいるものより、よくなるのか悪くなるのか、といった短期的なところにばかり目がいってしまう。足元が分からずして将来など分かるはずもないとして、この1年の業績を最も重視する投資家は多い。

・日本のGDPをみると製造業のウエイトは2割にすぎないが、株式市場では5割を占める。しかも、輸出から現地生産にシフトしたといっても、円/ドルレートや円/ユーロレートの変動がかなり影響する。つまり、円高になると業績は落ち込み、円安になると利益が増える構図である。

・米国の金融政策によって、ドルが動くと、それにつれて日本の株価も変動する。円高は株安、円安は株高というパターンで連動する。米国の利上げが緩やかに今年2回はありうる一方で、日本では現在の金融緩和政策が続くとみられる。日米金利差が開くことへの期待を織りこむ形で、円安が進行するというのが1つの有力な見方である。そうなれば、株価は日経平均で2万円台に戻すことになろう。

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