統合報告をいかに書き下ろすか~読み手のアナリストからみて

・企業の価値創造の仕組みをすばやく知りたい時、統合報告書が最も役に立つはずである。ホームページをみると、さまざまな情報が載っている。それを丹念にみていけば、一定の知見は得られる。しかし、価値創造の仕組みが分かったとは中々ならない。

・会社サイドとしては、それぞれの立場のステークホルダーに、自分の会社のことをよく知ってほしいとは思う。その一方で、企業としての「金儲けのしくみ」についてはあまり詳らかにしたくないという気持ちも強い。

・そこで、どうしても自社の商品やサービスの説明に重点をおき、会社の歴史を語り、中期ビジョンを概念的に解説し、中期計画の財務データを羅列することになりがちである。

・確かに一生懸命説明しようとする。しかし、投資家サイドに立つアナリストから見ると、平板な解説を長々と聞きたいわけではない。企業価値創造の仕組みを腹に入れて、分かったという状態になりたいのである。

・では、どうしてほしいか。まずは、統合報告を書き下ろしてほしい。どこかにあった別々の開示資料を寄せ集めて単純に合体しないでほしい。読んだ時に、書き下ろしたか、寄せ集めたかはすぐにわかってしまう。寄せ集めは知識の羅列となるのでまとまりがない。

・大上段にかまえて、価値創造の仕組みを表現してほしい。価値創造の仕組みがビジネスモデル(BM)である。BMとはまさに長期の金儲けの仕組みである。企業価値には経済的価値と社会的価値の双方を含むので、すべてが将来キャッシュフローと結びつくわけではない。

・日本の多くの統合報告書を読むと、このBMの書き下ろしが弱い。ここをしっかり固めて展開しないと、統合報告の訴求力が焦点ボケになってしまう。

・企業は事業領域の広さによっていくつものBMを有しているが、ここでは単純化して1つのBMを取り上げる。現在のBMをBM1とすると、そのBM1が輝いている企業もあれば、色あせている企業もある。BMが常に盤石という企業はほとんどない。

・BM1を次のBM2へ変革していく必要がある。つまり、次に目指すBMについて構想を練り、あるべき価値創造の仕組みを設計する。当然、あるべき論だけの、ないものねだりではしかたがない。

・現在のBM1には、さまざまなキャピタル(資本)が使われている。有形、無形のキャピタル(アセット:資産)について、そのコンテンツを見定める必要がある。キャピタルを財務的なパフォーマンスと直接結びつけようとしても、ほとんどの場合無理がある。

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