S&P500月例レポート(2017年5月配信)

 トランプ政権は、少なくとも85人が死亡した爆撃で化学兵器を使用したとしてシリア政府を非難し、攻撃の拠点となったシリア軍の飛行場に対する空爆を行いました。ニール・ゴーサッチ氏の最高裁判事指名をめぐり、米上院では、議会の規則を変更して党の路線に沿って投票が行われました。これにより、定員9名の最高裁判事の構成が5対4で保守派優位の状況に戻りました(2016年2月のスカリア判事の死去に伴い4対4になっていました)。トランプ大統領は、国家安全保障会議(NSC)のメンバーからスティーブ・バノン氏を外し、より伝統的なメンバーを加えました(政権内部での権力争いが報じられました)。また、カナダから輸入する針葉樹の木材(居住用住宅向けで、年間約50億ドル相当が対象)に20%の関税を課すと発表しました。一方、連邦地裁の判事が、不法移民に寛容な「聖域都市」への補助金停止を指示する大統領令を差し止める決定を下しました。司法当局による大統領令の差し止めは、これで3度目となります。法人税率を現行の35%(S&P500指数を構成する企業の2016年の法人所得に対する実効税率は26.09%)から15%に引き下げる案を盛り込んだトランプ大統領の最初の税制改革案は、ほとんど意外性もなく、議論のたたき台と捉えられました。今後は海外利益が非課税(または極めて低い税率)となり、これまで海外に滞留していた利益は、1回限りの課税で国内に戻すことを可能にする措置によって米国への資金還流が促進されると期待されます。個人の所得税については、最高税率が39.6%から35%に引き下げられ、現在の7段階の税率区分が3段階(10%、25%、35%)に簡素化される他、多くの所得控除が廃止され、一部の税金(代替最少税額や不動産税)は廃止される見通しです。

 中央銀行関連では、利上げが決定された3月15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場にとってノンイベントと受け止められていましたが、公表された議事要旨の内容は、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート上の4兆5,000億ドルの保有資産をいつ/どのように削減していくかについて本格的な議論が行われた点で注目を集めました。また、株式市場が割高かどうかや、市場参加者の所得税改革に対する期待が行き過ぎではないかといった点に関しても言及されていました。地区連銀経済報告(ベージュブック)では、12地区全てで経済活動が拡大、半数の地区で信用状況が改善、特定の地域や業種で労働市場の逼迫が続いていることが報告されました。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は景気刺激策の見直しは時期尚早と述べ、(米国とは景気サイクル上で異なる段階にあることを説明し)、ECBは現在の政策運営方針を維持するが、欧州景気は力強さを増しているとの見方も示しました。日銀は金利と政策方針を据え置き、2017年度のGDP成長率の予想を前回の1.5%から1.6%に引き上げました。

 世界の動きを見ると、テロ事件が続いています。ロシアのサンクトペテルブルクの地下鉄で起きた爆破事件では14人が死亡、スウェーデンのストックホルムではトラックが商業地区で人混みに突っ込んで4名が死亡し、当局はテロ事件と断定しました。エジプトでも「パーム・サンデー」の祝日に2つの教会で爆弾テロが発生し、少なくとも43人が亡くなりました。さらに、パリのシャンゼリゼ通りでもフランス大統領選挙を前に銃撃犯によって警官1人が射殺される事件が発生しました。事件後に実施された選挙の結果、(無所属で以前は投資銀行のロスチャイルドに勤務していた)中道のマクロン氏(得票率23.8%)と極右政党のルペン氏(同21.5%)が5月7日の決選投票に進むことになりました。北朝鮮はトランプ米大統領と中国の習近平国家主席による米中首脳会談の前日にミサイル発射(中距離弾道ミサイル)を行い、4月下旬にもミサイル発射を実施したものの、発射直後に爆発しました。トルコのエルドアン大統領は大統領権限を強化する憲法改正の是非を問う国民投票に僅差で勝利し(賛成51.2%)、トルコ株式市場はこの結果を受けて上昇しました。英国のメイ首相は総選挙を早期実施(予定されていた2020年から3年前倒しし、2017年6月8日に実施)する意向を表明しました。EUからの離脱交渉に向けて政権基盤を固めることで自らの交渉力を強化することが狙いです。このニュースが報道された日に英国株式市場は1.7%下落しましたが、ポンドは小幅に上昇しました。

 企業の雇用とレイオフ関連では、3月のADP全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は事前予想の17万人増を大幅に上回る26万3,000人増となりました。一方、労働省発表の3月の雇用統計では非農業部門雇用者数は事前予想の17万5,000人増に対して9万8,000人増と予想を大きく下回りました。3月の失業率は2月の4.7%から4.5%に低下しました。2月の求人労働移動調査(JOLTS)によると、求人件数は前月の562万5,000件から574万3,000件に増加しました。Amazon.com(AMZN)は来年にかけて米国内で3万人のパート社員を採用すると発表し、Wal-Mart(WMT)は昨年と今年に入ってからこれまでに実施した大規模な人員削減に続き、今後も海外部門とテクノロジー部門で数百人規模の削減を計画していることを明らかにしました。

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