資金調達の工夫~ライツ・オファリングの活用

・上場企業が資金調達をする時、公募増資が当たり前の時代があった。企業が成長するには投資のための資金が必要であり、借入だけは不十分で株式による調達(エクイティ・ファイナンス)が財務バランス上求められた。

・かつてはエクイティ・ファイナンスを発表すると株が上がることも多かったが、今や株は下がってしまう。ファイナンスをするということは成長投資をするはずなので、成長の機会があることを意味する。投資をすれば、いずれ儲けが拡大する。利益が伸びれば株価も上がるという構図であった。

・今は、本当に投資をするのか。借金を返すのに使ってしまうのではないか。投資をしても、本当に儲かるのか。リスクの高い投資は危ない。エクイティを使うと株数が増える。ひいては自分の今の株式の持分が減ってしまう。将来の成長よりも、今の持分の減る方が確実である。その希薄化(ダイリューション)を嫌気して株が下がるという図式である。

・機関投資家はエクイティ・ファイナンスを嫌う。本当だろうか。成長への投資機会を活かして、将来の利益を2倍、3倍に増やしてくれるのなら、そのためのファイナンスを応援して、株価の値上がりや増配を期待したいはずである。そこをどう理解してもらい、納得してもらうかが問われている。

・時価総額100億円の企業がもう一段成長したいと考えている。内部留保を活用した投資だけでは、豊富な投資機会が活かしきれない。銀行から借り入れは行うが、一定の自己資本を充実していなければ信用は得られない。現在、純資産は60億円である。内部留保が年間4億円であるから、自己資本比率を25%確保したいと思えば16億円は借金できるかもしれない。合わせて20億円の投資はできる。

・これに対して、30億円のエクイティ・ファイナンスができたら、自己資本比率25%として120億円の借入が可能となり、合わせて150億円の投資ができることになる。その投資を確実に実行して、投資家の期待に応えるようなリターンが上げられるならば、それは大いに注目できよう。

・時価総額100億円の企業が30億円のエクイティ・ファイナンスを行うことができるだろうか。ダイリューション(希薄化)を招くので、株価は2割強下がってしまうかもしれない。将来の利益成長ではなく、足元の株数増加だけを織り込んでしまうからである。

・とすれば、このファイナンスに当たって、2つのことを考慮しておく必要がある。1つは、30億円のファイナンス資金を活かして、3年後、5年後に利益を2倍、3倍にできるような投資案件を組み込んだビジネスモデル(価値創造の仕組み)をがっちりと作り上げることである。

・もう1つは、足元のダイリューションを懸念する既存株主や投資家に、それを回避するような機会を平等に提供することである。不平等なダイリューションを避ける方策があるならば、それを実行することが望ましい。

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