S&P500月例レポート (2017年3月配信)

 住宅市場は引き続き拡大し、1月の住宅着工件数、住宅建築許可件数、中古住宅販売件数(10年ぶりの高水準)には勢いがありました。一方で、新築住宅販売件数、中古住宅販売仮契約指数は予想を下回り、NAHB住宅市場指数も67の予想に対して65となりましたが、それでも拡大を示す50を依然として大きく上回りました。12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は改善し、前年同月比で5.6%上昇しました。

 雇用関連では、1月の雇用統計の非農業部門就業者数は22万7,000人増と、予想の17万5,000人増を大幅に上回りました。失業率は前月の4.7%から4.8%に上昇しましたがなお低水準にとどまっており、専門技術を持つ労働者の不足が引き続き報告されました。一方、ディスカウント百貨店のJ.C. Penney(JCP)は約1,000店舗中140店舗を閉鎖し、6,000人の早期希望退職者を募ると発表しました。

 M&Aは活発で、医薬品・日用品メーカーのReckitt Benckiser(RBGLY)は乳幼児向け食品メーカーMead Johnson(MJN)を166億ドルで買収すると発表しました。食品メーカーKraft Heinz(KHC)は英国の消費財メーカーUnilever(UL)に買収を提案しましたが、先方から拒否されました。Kraftは合意を目指す意向を発表しましたが、数日後に断念しました。ハンバーガーチェーンのバーガーキングやドーナツチェーン大手ティム・ホートンズを傘下に持つカナダのRestaurant Brands International(QSR.TO)は、ファスト・フード・チェーンのPopeye’sを18億ドルで買収すると発表しました。すべてのM&A案件がまとまった訳ではありません。医療保険大手Aetna(AET)と同業Humana(HUM)は、独占禁止法上の理由から合併を差し止める判決を受け、340億ドル規模の合併を断念し、Kraft HeinzはUnlivelier(UL)に対する買収提案を取り下げました。また報道によると、欧州連合(EU)はLondon Stock Exchange(LNSTY)とDeutsche Boerse(DBOEY)の合併を承認しない見通しです。

 決算関連では、S&P500指数構成企業の96%以上が2016年第4四半期の決算発表を終え、営業利益は低調だった2015年第4四半期から22.5%増益となりましたが、2016年第3四半期からは1.6%の減益でした。現時点で2016年第4四半期の数値は2016年末時点を7.3%下回っています。PERは引き続き高水準にあり、2016年の1株当たり利益(EPS)に基づくと22.2倍、2017年予想EPSに基づくと18.1倍です。業績見通しでは2017年は22.6%の増益、2018年は13.5%の増益が見込まれています。アナリストは新政権の政策の詳細が明らかになるのを待っており、業績予想に大きな修正はありません。しかし、トップダウンの分析を行うストラテジストやエコノミストは、所得税・法人税減税やレパトリ(利益還流)による広範な恩恵への期待を背景に、概ね予想を引き上げています。売上高全体は前年同期比4.5%増、前期比3.8%増で、2016年通年では2.1%増にとどまりました。売上高の拡大なしに最終利益を増やすのはますます難しくなっているため、購入・製造・支出を米国で行うというトランプ大統領の政策が、低迷する売上高の伸び(ただし2016年第4四半期は増加)に寄与することを多くの企業が期待しています。

 個別銘柄のニュースとしては、ウォーレン・バフェット氏率いるBerkshire Hathaway(BRK.B)がApple(AAPL)の株式を買い増し、保有株式を1億3,300万株(約180億ドル相当)まで増やした一方、Wal-Mart(WMT)に対する持ち分を減らしました。写真・動画共有アプリSnapchatを運営するSnap(仮ティッカーはSNAP)は、予定されている新規株式公開(IPO)での自社の評価額を最大で220億ドルに設定しました。ホームセンター大手Home Depot(HD)の決算は予想を上回りました。消費者は住宅のリフォーム(これはより大きな話ですが)に対する支出を増やしている模様です。ディスカウントストア大手Wal-Mart(WMT)の決算は、既存店売上高の増加を背景に、純利益は前年同期から減少したものの予想を若干上回りました。同社は、オンライン小売り大手Amazon(AMZN)との競争に向けた投資を拡大しています。S&Pグローバル・レーティングは、Alphabet(GOOGL)の格付けについて、堅調な業績を理由にAAからAAプラスに引き上げた一方、Macy’s(M)の格付けを、業績不振を理由にBBBからBBBマイナスに引き下げました。

 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは2月にS&P500指数構成銘柄について6銘柄の入れ替えを発表しました。商業施設向け不動産投資信託(REIT)のRegency Centers(REG)を医薬品サービスのEndo International(EMDP)に代えて新たにS&P500指数に組み入れ、また、3月に取引所運営のCBOE(CBOE)とバイオ医薬品企業のIncyte(INCY)を組み入れ、オフィス関連用品メーカーのPitney Bowes(PBI、S&P500指数の算出開始時からの構成銘柄)とエネルギー企業のSpectra Energy(SE)を除外することを発表しました。

 その他の注目すべきニュースとして、ダコタ・アクセス・パイプラインの建設計画を進めるために必要な認可が下りました。ギリシャの金融支援をめぐる協議が再開され、新たな改革案(労働市場、年金、税制など)策定のための作業チームを編成することで合意しました。金融支援の次回トランシェ(910億ドル)の支払いは、2017年第3四半期末が予定されています。Amazonは英国事業で新たに5,000人を雇用すると発表しました。これにより同社の英国内の正規雇用者数は2万4,000人となる見通しです。Exxon Mobil(XOM)は原油価格の低調を理由に、2016年末時点の原油・ガスの確認埋蔵量の推定値を2015年比で15%引き下げました。

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