S&P500月例レポート (2017年3月配信)

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

記憶に残る2月

 記憶に残る2月となりました。減税と財政拡大への期待を背景に2月のS&P500指数は3.72%上昇し、年初来では5.57%上昇と、トランプ・ラリーは期待先行のトランプ・ホープ・ラリーへと引き継がれました。なぜそれほど印象深い月になったのかと言えば、2016年にS&P500指数は年明け1週目としては史上最悪を記録した後、1月と2月で5.47%下落したからです。結果的に、S&P500指数はこの1年間で22.33%の上昇、配当込みのトータルリターンはプラス24.98%となり、楽観ムードを反映して株価収益率(PER)は2016年の利益に基づくと22.2倍まで上昇しました。市場は19営業日中15日で上昇し、終値で最高値を更新した日は合計9日となりました。情報技術セクターは月初から15日連続で上昇し、19日中16日で上昇を記録しました。同じく注目に値するのは、由緒あるダウ工業株30種平均(NYダウ)が12日連続で終値での最高値を更新したことです。12日連続の最高値更新は1987年1月(ブラックマンデーがあった年)以来のことです。ニュースはトランプ大統領関連が引き続き圧倒的に多いものの、トップ記事は移民などの政治問題が中心で、税金は二番手の扱いです。それでも、減税に対する期待は市場を押し上げるのに十分でした。ただし、エネルギーセクターは例外で、2月は最も振るわず、2.73%下落しました(ニューヨーク証券取引所に上場しているすべての銘柄がプラスという訳ではありません)。M&Aに関するニュースは連日流れてきますが、医療保険大手2社の合併案は合意に至りませんでした。住宅市場は、支援材料となり得る3つの要因の1つである金利が上昇したにもかかわらず、改善を続けました。残り2つの要因は住宅ローン利子の所得税控除と不動産税の控除です。いずれも上限を設定することが検討されていますが、そうした情報に対する市場の反応を見ると、どちらも政治的に自殺行為だと考えられます。3月は忙しい月になりそうです。議会では法案審議が始まります。トランプ大統領が満足する内容になるかどうかは不明ですが、結束力がより強い議会少数派の民主党からはおそらく支持されないでしょう。所得税・法人税の減税に関する議論を開始する前に財源を確保する必要があるため、医療保険関連が最初の争点になるとみられます。議会運営をうまく進めるためには予算、そして債務上限にも考慮する必要があります。まさにこの債務上限問題によって、2013年には政府機関が16日間の閉鎖に追い込まれました。

 中央銀行関連では、世界各国の中央銀行の大半が様子見姿勢に終始したようです。ただし、ブラジル中央銀行は政策金利を13.0%から12.25%に引下げました。5カ月間で4回目の利下げです。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は、1月31日~2月1日の2日間の会合で予想通りに政策金利を据え置き、議事要旨によるとセンチメントは「改善」し、「かなり早期の」利上げが見込まれると述べました。議事要旨の公表に続き、月末に複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官が「早期の」利上げに言及した結果、3月14~15日のFOMCでの利上げ観測が高まっています。日本の2016年第4四半期GDP成長率は前期比年率1%と予想通りで、2016年通年では1.0%となりましたが、2015年の1.2%からは低下しました。1月の輸出は前年同月比1.3%増、輸入は同8.5%増でした。1月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇し、生産者物価指数(PPI)は6.9%上昇しました(6年ぶりの高水準)。米国の第4四半期のGDP成長率(改定値)は前期比年率1.9%で速報値から変わりませんでした(予想は2.1%増)。確報値は2017年3月30日に公表される予定です。基調的なインフレ率は上向いており、1月のPPIは前年同月比1.6%上昇、コアPPIは同1.2%上昇で、一方、CPIは前年同月比2.5%上昇、コアCPIは同2.3%上昇でした。2月の消費者信頼感指数は114.8に上昇しました(市場予想は1月の111.8から111.3に低下)。

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