S&P 500月例レポート(2017年2月配信)

S&P 500®

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

交渉か、それともつぶやくか

 ウォール街のニュースマニアには十分過ぎるほどの1ヵ月だったのではないでしょうか。トランプ新大統領の動きは電光石火のスピ―ドで、国内外でさまざまな反響を引き起こしています。M&Aは活発化し、企業各社からは決算が発表され、1896年5月26日に40.94ドルの初値を付けてから120年の歴史を持つダウ工業株30種平均(NYダウ)は、史上初めて2万ドルの大台を突破しました。S&P500指数も終値で過去最高を3回更新し、終値では戻りましたが、取引時間中に一時2300に達しました。1月を乗り切ったニュースマニアの皆さんに朗報です。1月に見られたイベントは今後も持続するとみられ、一部はさらに上向き(確かにNYダウには、決算スケジュールとかトランプ大統領の発表とか議会採決などの事実よりも、期待感が重要なのです)、2月も「最新ニュース」が満載の1ヵ月になると予想されます。しかも、そうした大量のニュースはボラティリティや恐怖とは無関係のものになると思えるでしょう。なぜなら、VIX恐怖指数は11.99という10年来の低水準で1月を終え、過去平均の19.7を大幅に下回るだけでなく、2016年末の14.04から14.6%低下し、大統領選投票日(2016年11月8日)の18.74と比べると36.0%も低下しているからです。投資家にとっての結論は、株価指数が過去最高値を更新、S&P500指数(銘柄間のばらつきはあります)が1.79%上昇(大統領選以降では6.51%高)、楽観論の持続、前代未聞の政治ショー(まるで映画のような)でした。

 トランプ大統領は、大半の閣僚候補者がいまだ承認されていないにもかかわらず、大統領令を発令して選挙期間中の公約の実現に乗り出し、米国のイベントはすぐに世界的イベントとなりました。ただし、閣僚承認は野党が反対の意を表明して遅らせていますが(通常の政治プロセスです)、全ての閣僚候補が承認される見通しです。最初の大統領令は雇用に関するものでした。これに対して企業はワシントンに出向き、表敬と成功祈願の意を表明するだけでなく、トランプ氏が規制緩和、環境規制の軽減、政府支出拡大で応えてくれることを期待して、雇用と投資の拡大を約束しました。企業だけでなく、労働組合もワシントンを訪れましたが(共和党大統領では異例のことです)、これは一般労働者と労組幹部の格差が拡大していることの表れと思われます(トランプ大統領は労働組合員から多くの支持を得ましたが、組合の方針は左派支持です)。支出拡大が話題となっているうちは全てが順調に進んでいましたが、トランプ大統領がメキシコ国境での壁の建設を命じる大統領令を発動すると、事態は複雑になり、さまざまな議論が起こり始め、メキシコ大統領は予定していたトランプ大統領との会談を中止すると発言しました。ところが、トランプ大統領がツイッターで会談中止は相互の合意であると述べ、報道の数日後には両大統領が非公式に会談することで合意したことから、トランプ氏について「偉大な交渉人」との呼び名が浮上しています。一方で、移民に関する大統領令は大きく報じられ、大規模な抗議行動が発生し、政府は対応に追われています。1月31日(午前8時)には、トランプ大統領が最高裁判事を指名しましたが、これまでの推移から考えると、この人選に関しても「活発な」議論が巻き起こると思われます。

 ウォール街や財界(そして世界全体)では、トランプ大統領に関するものも、そうでないものもありましたが、とにかく多くのイベントがありました。大半の中央銀行は、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長が述べた「大きな不確実性」を理由に様子見の姿勢を維持し、国際通貨基金(IMF)はトランプ大統領による政策推進と支出拡大が見込まれることを理由に、米国の2017年GDP成長率予想を2.3%(従来予想は2.2%)に、2018年については2.8%(同2.4%)に引き上げました。世界経済に目を向けると、中国の2016年第4四半期GDP成長率は前年同期比6.8%、2016年通年では前年比6.7%(目標は6.5%~7.0%)となり、ユーロ圏の2016年通年のGDP成長率は前年比1.7%という結果となりました。英国の第4四半期GDP成長率は予想を上回る前期比0.6%となり、メイ首相は今年3月にもEU離脱の手続きを開始するとみられます。一方、米国の第4四半期GDP成長率は前期比1.9%となり、予想の2.2%には届きませんでした。米国の他の経済指標は好調で、住宅市場は緩やかな上向きが続き、雇用は堅調で、低水準の失業率からインフレ懸念も浮上しつつあります。大手企業の買収や合併のニュースも相次ぎ、ヘルスケア製品大手Johnson & Johnson(JNJ)は、スイスのバイオ医薬品会社Actelion(ALIOY)を300億ドルで買収することでようやく合意に至りました。イタリアのサングラスメーカーLuxottica Group(LUX)は、フランスの光学用レンズ企業Essilor International(ESLOY)と合併し、時価総額490億ドルの眼鏡メーカーが誕生します。たばこ大手のBritish American Tobacco(BTI)は、同業のReynolds America(RAI)の未保有株57.8%を494億ドルで取得するという、前回の提示額を上回る金額で合意しました。合意に至らなかった案件としては、医療保険大手のAetna(AET)と同業Humana(HUM)の合併は、反トラスト法の観点から連邦地方裁判所によって差し止められました。米国企業の決算発表が続き(これまでに56%の企業が発表済み)、全体としては予想をわずかに上回っていますが、影響は市場の出来高を押し上げるにとどまり、ニュースを賑わすほどではありませんでした(ニュースはトランプ一色でした)。決算発表で特筆すべき点は企業ガイダンスで、多くの経営陣は期待感を持っているものの、現段階では様子見のスタンスにあり、今後のイベント次第で必要に応じて対応していくとの見方を示しました(この点で各社の考え方は私たちと似ています)。

 S&P500は大統領選挙後から年末にかけて4.64%上昇しました。年明けの1月に入るとその勢いはやや弱まり、トランプ大統領の就任式が行われた1月20日までに年初来で1.79%上昇した後は一進一退の展開となりましたが、月末にかけて辛うじて0.33%上乗せしました。とはいえ、すべてのセクターで株価が上昇したわけではありません。2017年1月のS&P500指数は2016年1月とは対照的な動きを見せ、幅広いセクターの上昇により月間で1.79%上昇しました。2016年には、S&P500指数は1月に5.07%下落し、2月11日までに年初来で10.51%下落しました(その後、年末までには最終的に22.40%上昇しました)。大統領選挙以降の上昇率は6.51%で、このところは決算と政治ニュースが競って市場に材料を提供しています(個別銘柄に与える影響では決算が勝りますが、市場の地合いとセンチメントに与える影響では政治ニュースが勝っています)。

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