S&P500月例レポート(2017年1月配信)

S&P 500®

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
 

2016年12月: 踊るトランプ氏

 シャンパンの栓を開け、クラッカーを鳴らし、誰かれ構わず隣にいる人とハグしましょう(男でも女でも、民主党員でも共和党員でも、キャピタリストであろうとなかろうと、そして地球人だろうが宇宙人だろうが)。2016年は気楽な1年ではありませんでしたが、いつだって負け組よりも勝ち組について議論したり振り返ったりする方が良いものです。年明けは史上最悪の週でスタートし(1週間で相場は5.96%下落し、2月11日には年初来10.51%下落して年間の最安値をつけました)、さらに有権者の予想を覆す選択(Brexitと米国大統領選挙)を何とか乗り切った2016年は、全体として見れば勝ち組と言える1年となり、S&P500は9.54%上昇しました(配当込みのトータルリターンは11.96%)。2016年が後世に何によって記憶されるかと言えば、イベント予想がことごとく外れた年としてではないでしょうか。S&P500は終値としての史上最高値を18回更新しました。11月8日の大統領選投票日前に10回、そして選挙後に8回です。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、終値としての史上最高値を26回にわたり更新し(大統領選挙前に9回、選挙後に17回)、2万ドルまであと一歩と迫り、大台突破の期待を2017年につなげました(弊社は今年の大台達成を期待しています)。

 しかしながら、こうした宴を楽しんだのは明らかに米国の投資家に限られたようでした。世界の株式市場は、S&P Global Broad Market Index (BMI)でみると2016年に6.10%上昇しましたが、米国株の上昇分10.30%を除くと、上昇率は1.79%となっています。より詳細まで見てみると、大統領選挙後の株式市場のパフォーマンスは米国株に大きく左右されていました。11月11日以降のS&P Global BMIの上昇率は2.97%でしたが、同期間中の米国株の上昇分である5.46%を除くと、わずか0.36%の上昇に過ぎませんでした。大半の人にとって、こうした著しい上昇率の違いは、トランプ氏が次期大統領に選出されたことにその原因がありました。トランプ次期大統領は2017年1月20日に正式に就任しますが、その政策は米国の経済と雇用に焦点を絞ったものになると考えられます。国内の支出を拡大し、規制緩和を通じて経済を刺激し、海外から雇用を取り戻し、資本の回収(本国送金)を目指すと予想されます(とはいえ、これまでトランプ氏にまつわる問題を正確に予測することは困難でした)。

 米国市場はトランプ氏の政策に対する期待感から買われてきました。その一方で、一部の海外市場では売りが膨らみました。このような期待先行の相場では、その後に政策が確実に実行される必要があります。通常であれば、市場は2017年第1四半期(2月下旬から3月上旬)に現在の相場上昇を下支えする何らかの材料を確認する必要があると考えられます。それは立法を通じてか(2017年1月3日に、新たに選出された議員による新議会がスタート)、もしくは大統領令の発動によってかもしれないし(トランプ氏は2017年1月20日に大統領就任の宣誓を行う)、あるいは2016年第4四半期の決算内容 . 結果よりも2017年の見通しの方が重視される可能性も . であるかもしれません。大方の意見が一致すると考えられるポイントの1つとしては、2017年にはボラティリティが高まり、イベントを材料に各セクターが(サブセクターレベルまで)独自の値動きを見せるとの見通しが挙げられます。メディアの報道や政策が(良かれ悪しかれ)極端化するのに伴い、市場が乱高下する展開も予想されます。2017年の相場では銘柄選択が最も重要になるでしょう。インデックス(汎用型も特化型)は、上値余地を数ポイント分あきらめることで下値を固められるため、一部の投資のヘッジや下値の維持といった目的のために活用することになりそうです。

 2016年の各セクターの動向を振り返ると、11セクターのうち10セクターで年間騰落率がプラスとなりました。騰落率最下位はヘルスケアセクターで年間下落率は4.36%でした(大統領選挙後は0.95%上昇)。バイオ医薬品や処方薬の高い薬価をほとんどの人が非難対象としたからです。借入レバレッジが拡大している不動産セクターは騰落率がマイナスになるのをギリギリで回避し、年間騰落率は0.005%のプラスとなりました。金利が上昇し、こうした傾向が今後も続くとの見方が背景にはありました(とはいえ、金利は引き続き比較的低水準にあり、同セクターにとっては脅威ではなく費用)。騰落率首位は年間上昇率23.65%を記録したエネルギーセクターでした。原油価格が2015年終値の37.06ドルから45.4%上昇して53.89ドルとなったことが追い風となりました。ただし、エネルギーセクターは2014年末の水準を依然として5.47%下回っています。金融セクターも大統領選挙後の相場上昇のけん引役となりました。トランプ氏の勝利によって金融規制とTBTF(大き過ぎて潰せない)指定基準の緩和が進むとの期待感から選挙後に16.51%上昇し、年間騰落率は20.14%に達しました。2016年2月11日に株式市場が年初来安値を付けた当時の金融セクターの年初来騰落率は17.67%のマイナスでしたが(S&P500は同10.51%のマイナス)、その後に金融セクターは45.92%値上がりしたことになります。

 銘柄ベースでも株価上昇のすそ野が大きく拡大しました。年間騰落率がプラスとなった銘柄は362銘柄となり、そのうちの262銘柄が10%以上値上がりし(2015年の139銘柄から増加)、さらに159銘柄が20%以上値上がりしました(2015年の45銘柄から増加)。値下がりした銘柄数も2015年の282銘柄から141銘柄に減少し、そのうち10%以上値下がりした銘柄数は69銘柄(2015年の104銘柄から減少)、20%以上値下がりした銘柄は31銘柄となりました(2015年は120銘柄)。

 過去の1月相場の動きをみると、62.5%の確率で株価は上昇しています。月間騰落率がプラスとなった1月の平均上昇率は4.15%、マイナスとなった1月の平均下落率は3.96%となっており、これまでの1月の月間騰落率の平均は1.11%の上昇となっています。2017年1月には新議会がスタートした後に、新大統領が就任し、経済に対するアプローチも刷新され、70%の企業が決算報告と業績見通しの発表を行う予定です。意地の悪い言い方をするつもりはありませんが、2016年1月は散々な月でした。年明け初日に相場は1.53%値下がりし、その週だけで5.96%という過去最悪の下落を演じました。こうした流れは2月に入っても続き、2016年2月11日には年初来騰落率が10.51%のマイナスに達しました。足元では相場に対する楽観的な見方が広がっていますが、果たして2017年1月に相場はどのように動くのでしょうか?その答えはもうすぐ分るでしょう。どうぞ良い休暇をお過ごしください。そして新しい年の株式投資での健闘を願っています。

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