良いアクティブ運用とは?

投資の本質:実態価値への投資

 そもそも企業への投資とは、企業の実態価値の成長へ投資したり、実態価値に比べ大幅に割安な市場価格で投資したりするものです。図4は企業の実態価値の成長へ投資した場合の典型的な一例を示しています。対ベンチマーク運用の実態価値は、組み入れ銘柄がベンチマークに近いため実態価値の成長はベンチマークに近いものとなります。

 ハイリーアクティブ運用の場合、実態価値はベンチマークから大きく離れることになります。

 当然、企業調査が徹底しておらず、雑な調査しか行っていない場合は、ベンチマークを下回る実態価値の成長しか得られないかもしれません。しかし、企業調査を徹底的に行えば、ベンチマークを大きく上回る実態価値の成長をする銘柄を組み入れることが可能です。このような良質なハイリーアクティブ運用であれば、図4のようになり、これだけを見ればどの運用が良いか迷うことはないでしょう。
 
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実態価値が見えない中ではっきり見える市場価値

 しかし実際にはそんなに簡単な話ではありません。というのも、実態価値は実際には見えない一方で、市場価値ははっきり見えるからです。

 図5は典型的な市場価値、つまり運用成績そのものの推移を図4に加えて示しています。市場価値は需給のゆがみや国際的なマクロ経済環境によって大きく振り回されます。ハイリーアクティブ運用の市場価値も同様に振り回されますが、特に集中投資の場合はベンチマークの市場価値に比べればその振り回され方が小さいことが知られています(*4)。そのため、特にベンチマークが上昇局面においては、ハイリーアクティブ運用は比較的上昇が小さく「アンダーパフォーム」することがしばしばあります。
 
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 ここで、企業調査に自信がなくベンチマークとの比較ばかりしていると、運用成績がベンチマークに負けていることを気にして、組み入れ銘柄をベンチマークに近づけるという誘惑に駆られます。というのも、市場価値は運用成績としてはっきり見えているのに対して、企業調査の結果から測定しても実態価値ははっきりとは見えないからです。企業調査に自信がないと実態価値の成長に疑問を持ち、短期的に成績の良いベンチマークに逃げてしまうのです。

 確かに図5だけを見れば、アンダーパフォームしそうな時期だけベンチマークに逃げればうまくいくように見えるかもしれません。しかし実際には、市場価値の上がり下がりの幅を発生させている需給のゆがみやマクロ経済環境はそもそも現在の状況を観測することが難しく、予測することは困難です。それに対して、企業は当然に実態をもって存在し直接観測できるため、実態価値を計測することはそれらに比べてはるかに容易であるといえるでしょう。

 それゆえ、このようにアンダーパフォームしそうなときだけ切り替えるといったことは困難極まりないです。そもそも実態価値の成長へ投資しているのであれば、実態価値の成長が低いベンチマークへ一時的にせよ投資先を切り替えるのはおかしな話です。そもそもベンチマークと過度な比較をしなければ、このようなおかしな投資行動への誘惑は生まれないのです。

 このように、過度に「ベンチマークと比較する」こと自体が弊害を生み出します。

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