フィンテック(FT)と人工知能(AI)

・フィンテック(FT)が日本経済の救世主になるかも。こんな話を伊藤隆敏教授(コロンビア大学)が楽天フォーラムで講演した。日本は人口が減少する。日本のサービス業の生産性は低い。新しいテクノロジーを入れて、仕組みを変えていくことは、マクロ的にはよいことである。しかし、本当に意識改革ができるか、と問題提起した。

・面白いのは、まず1円玉と5円玉をなくせ、と提案した。日本は現金(キャッシュ)が好きである。これが流通していると、いろんなところで手間がかかり、キャッシュレスのイノベーションが進まないからである。オーストラリアとニュージーランドはすでにそうなっており、少額コインの四捨五入も認めている。

・日本も地下鉄やバスに乗ると、スイカやパスモ(ICカード)と現金支払いでは料金が異なっている。電子マネーのみにすれば簡単になるが、それが通るかといえばかなり難しい。日本の場合、皆にやさしく、皆に便利にと対応するので、システムが複雑になる。

・かつて日本経済は、製造業が引っ張ってきた。生産性も製造業中心に向上し、それが賃金上昇にも結びついた。しかし、この20年、日本の製造業は海外に出ていくことに力を入れた。円高によるコスト競争力への低下が主因であったが、日本以外の成長市場を求めて、地産地消を目指した。この傾向はこれからも続く。

・20歳から64歳までの働き手(生産年齢人口)は年間100万人単位で減っていく。一方で、海外へ投資する企業はサービス業でも増えている。これまでのIT投資は、会社のミドル・バックに対応した‘守りのIT’が中心であって、新しいビジネスを作り出そうという‘攻めのIT’は少なかった。

・金融のIT投資は、これから大きく変貌していく。しかし、高齢者がネットバンキングに慣れることができるか。高齢化社会において、高齢者は昔からの習慣をなかなか変えられない。とすると、カードで買い物をしたり、支払いをしたりというのが馴染まない人も多い。よって、小口現金をなくすわけにはいかない、という見方も有力である。

・一方で、FT(フィンテック)はグローバルにどんどん進む。世界に比べて、日本が遅れをとってしまうかもしれない。金融機関は自らの存在が問われるので、FTに意欲的に取り組もうとしている。いずれ銀行の支店はいらなくなる。銀行の数も減っていく。

・銀行の窓口に行って、人手のサービスを受けるというのは、コストがかかる。コストがかかるので手数料は高い。ネットバンキングへシフトすれば、安く済む。証券ではそれがかなり進んだ。株の取引において、大手証券会社の営業パーソンを通す顧客は大幅に減少し、今やネットトレーディングが主力である。

・金融(銀行、証券、保険)におけるアンバンドリング(機能の分断)が進展しつつある。FTによって、それが加速しよう。銀行における送金、決済、借入、貸出といった機能が一つの銀行でまとまってサービスされるのではなく、機能がバラバラになって、個別に対応されていく。

・リテールにおいて、顧客である個人の信用も個別に判断されるようになる。つまり、リスクの細分化が問われる。個々人の中身を見て、サービスの内容が変わってくる。保険でいえば、事故のない人の保険は安くなるというのは、もはや一般的になりつつある。

・個別データがその人の信用に意味をもってくる。全体でみると、膨大なビックデータ(BD)を活用し、そこにAIも入れて、よりカスタマイズされたサービスが提供されるようになる。しかも、人手を介さなくなれば、コストも安くなり、利便性は上がっていく。

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