S&P500月例レポート(2016年10月配信)

投資家が押さえておくべきポイント

 9月の重要なポイントは以下の通りです。

→各国中央銀行によるポーカーゲームが続きましたが、今月は大半の中央銀行がドローしませんでした(すなわち、政策を変更しませんでした)。

 ○ECB、イングランド銀行(利下げを示唆)、日銀(政策金利をマイナス0.1%に据え置き)、オーストラリア準備銀行(年内の政策据え置きを示唆)、スイス国立銀行(政策金利をマイナス0.75%に据え置き)、FRB(FOMCは利上げに向けた態勢にあるようですが、引き金を引くことはありませんでした)は政策を据え置きました。

 ○ロシア連邦中央銀行は政策金利を0.5%引き下げ、10.00%としました。

 ○FRBのイエレン議長は議会証言で、中小の金融機関の規制負担を軽減する必要があると述べる一方、FRBは一部の大手銀行に対する資本要件の強化を計画していることを明らかにしました。

 ○中央銀行にとって、銀行の問題が深刻化しています。

  ●ドイツ政府はDeutsche Bankに対して公的支援は行わないことを明言しましたが、支援が行われるとの憶測は消えておらず、リーマン・ブラザーズとの比較が取り沙汰されています。

  ●Commerzbankは配当を停止し、9,600人の人員削減を発表する一方で、社内業務のデジタル化のために新たに2,300人を雇用すると発表しました。

→住宅市場は概ね緩やかな拡大が続き、引き続き米国景気の主な原動力となっています。

 ○9月のNAHB住宅市場指数は予想を大幅に上回り、2015年以来の高水準を付けました。S&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比5.0%上昇したものの、前月の同5.1%上昇から伸びが鈍化した一方、新築住宅販売件数は力強い内容となりました。

 ○しかし、中古住宅販売件数(前年同月比1.6%増)、住宅着工件数、着工許可件数は予想を下回りました。

→不正関連のニュース(またの名を「あなた方国民にはあまり話したくありません.永遠に」)としては、

 ○Facebook が、過去2年間にわたり動画広告の視聴時間を「誤って」過度に測定していたことを明らかにしました。Wells Farg○は顧客口座の不正開設が明らかとなり、米議会公聴会に証言のため召喚されました。同様に、アナフィラキシー補助治療薬エピペンを製造するMylanも米議会に召喚されています。また、YAHOO!がハッカー攻撃を受けたことが明らかになっており、同様に議会で説明を求められる可能性があります。

→ワシントンでは、次のような出来事もありました。

 ○クリントン氏、トランプ氏ともに自らの主張を曲げず、第1回のテレビ討論会が両者の間で更なる議論の応酬を生んでいます。 市場では依然としてクリントン氏の勝利が予想されているため、資産配分見直しの動きは生じていません。

 ○米議会は12月9日までの政府機関の予算を確保する暫定予算案を可決しましたが、その時点で、11月8日の選挙結果を受けて新たな構成とな議会を踏まえての審議が必要となります(従って、問題はまだ何も解決していません)。

 ○議会はオバマ大統領の拒否権を覆し、2011年の同時多発テロに関連して犠牲者遺族がサウジアラビア政府を提訴することを認める法案を可決しました(この決定は法科大学院の入学志願者の増加を後押しするはずです)。なお、拒否権が覆されたのは、オバマ政権では初めてのことです。

→S&P500は9月に0.12%下落し(配当を含めたトータルリターンはプラス0.02%)、過去3カ月では3.31%の上昇(同プラス3.85%)、年初来では6.08%の上昇(同プラス7.84%)、過去1年間では12.93%の上昇(同プラス15.43%)となっています。

 ○情報技術セクターのパフォーマンスが好調です。同セクターは第3四半期に12.44%上昇し、年初来では11.12%の上昇となっています。

  ●第3四半期にAppleは18.3%(年初来では7.4%)、Alphabetは14.3%(同3.3%)、Intelは15.1%(同9.6%)、Microsoftは12.6%(同3.8%)、それぞれ上昇しています。

→M&Aが活発化し(MonsantoとBayer、EnbridgeとSpectra Energy)、M&Aにつながる可能性のある動きや(Bill Ackerman氏がMexican Grilの株式を取得)やM&Aを検討し始める企業(Salesforce.com、Disney、MicrosoftがTwitterの買収を検討)も増えています。また、ViacomとCBSの間では、かつての親会社であるViacomがかつての子会社のCBSに吸収される形で10年ぶりに再統合される可能性が浮上しています。

→石油銘柄とエネルギー銘柄は9月28日に、OPEC(世界の原油生産の40%を占める)が減産を行う見通しであるとの報道を受けて、ともに4%以上の急騰を演じました。しかし、今回の合意は原油価格を下支えする方法について11月の次回OPEC会合で協議することに合意したに過ぎません。それまでにサウジアラビアとイランは生産量をめぐる交渉をまとめる必要があります。

 ○IEAは月次報告で世界の石油需要見通しを下方修正し、2016年は日量10万バレル引き下げて前年比130万バレル増、2017年についても同20万バレル引き下げて(2016年の伸びを下回る)同120万バレル増としました。

→FedExは航空貨物運賃を3.9%、陸上運賃を4.9%値上げすると発表し、同業のUPSも4.9%の運賃値上げを発表しています。

 ○Amazon.comは配送事業で両社に対抗する動きに出ています。

 ○小売店はAmazon(そして、Amazon Prime)とのオンライン販売での競争に伴い無料配送に取り組んでおり、コストを吸収することを強いられる可能性があります。

→9月の市場では「世界に関心が向けられました」。すなわち、米国にはあまり関心が向けられませんでした。

 ○世界の株式市場は9月月初来で(1営業日を残して)0.39%上昇しています。米国市場は0.78%下落しており、米国を除けば世界の株式市場は1.63%上昇したことになります。

  ●しかし、市場の基調は1カ月だけでは判断できません(FRBのイエレン議長が、「1つの経済指標から利上げは判断できない」と言っているように)。過去1年間では米国市場の11.66%の上昇がS&Pグローバル総合指数の上昇率を9.88%に押し上げており、米国を除けば同期間のS&Pグローバル総合指数の上昇率は8.03%となっています。

→S&P Dow Jones Indicesは不動産銘柄を金融セクターから分離して新たに不動産セクターとし、世界産業分類基準(GICS)に基づく11番目のセクターを創設しました。

 ○S&P500不動産セクター28銘柄の配当利回りは3.2%ですが、どの銘柄の配当もキャピタルゲイン税と同じ税率が課される適格配当ではありません。金利が上昇した場合、不動産銘柄は高い債務比率を背景にコストが増加することになります。一方、残された64銘柄からなる金融セクターの配当利回りは2.2%から2.0%に低下しましたが、大半の銘柄で配当は適格配当とされています。また、金利の上昇から大きな恩恵を受ける位置にあり、金利が上昇した場合には利益率の上昇が見込まれます。

→その他の注目材料は以下の通りです。

 ○2016年第2四半期のS&P500指数構成企業による自社株買い戻しは前期比21%減少しましたが、これは第1四半期の株価の下支えを目的とした、企業による自社株買い戻しの拡大からの反動であるとみられます。

 ○第2四半期にS&P500資本財・サービスセクター銘柄(旧態依然とした企業)の現金および現金同等物は、前四半期に記録した1兆3,480億ドルの過去最高を更新し、1兆3,740億ドルとなっています。

 ○8月の米自動車販売台数は前年同月比4.2%減となり、ディーラーへの販売奨励金が増加しました。販売台数は歴史的に見て依然として高水準にあるものの、減少傾向となっています。

 ○8月の非農業部門雇用者数は予想を下回り(予想の17万5,000人増に対して15万1,000人増)、週平均労働時間も前月から減少しました。ただし、7月のJOLTSでは求人件数が587万件と過去最高を記録しています。マイナス材料として、Caterpillarがさらにベルギーで2,000人の人員削減を検討していることを明らかにし(これで同社の予定人員削減数は合計1万2,000人となりました)、Wal-Martは事務職で7,000人の人員削減を行う計画を発表しました。また、Ericssonはスェーデン国内最後の工場の閉鎖に伴い1,300人の人員を削減すると発表し、Ciscoはメキシコでの生産拡大のため、2018年末までに40億ドルの投資を行うことを明らかにしました(米国での雇用に悪影響が出ます)。

 ○FRBの会合:11月1-2日、12月13-14日※(米国大統領選挙の投票日は11月8日)、2017年1月31日-2月1日、3月14-15日※、5月2-3日、6月13-14日※、7月25-26日、9月19-20日※、10月31日-11月1日、12月12-13日※、2018年1月30-31日。※議長の記者会見が通常、米東部時間午後2時30分に行われます。また、四半期毎の経済見通しの改定が2時に発表されます。

そして、決算発表シーズンが近づいています。米企業の決算スケジュールは、木曜日に決算が集中する従来の伝統に変わりはないようです。最近の決算シーズンでは全決算発表の38%が木曜日に行われたことが示されています。今年の第3四半期決算は36%が木曜日に予定されており、そのうち23%が取引開始前、13%が取引終了後に行われる予定となっています(いわゆる「花金」に新しい意味が生まれています)。

10月のフューチャー・ショック:

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ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・
インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
HTTP://WWW.SPINDICES.COM/RESOURCE-CENTER/THOUGHT-LEADERSHIP/MARKET-COMMENTARY/

 
 

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