S&P500月例レポート(2016年10月配信)

 住宅関連では、全米住宅産業協会(NAHB)が発表した9月NAHB住宅市場指数は8月の59から、2005年以来の高水準となる65に上昇し、事前予想の60を大幅に上回りました。8月の住宅着工件数は年率換算で114万戸と、予想(119万戸)を下回りました。許可件数も114万戸となり予想(117万戸)を下回りました。8月の中古住宅販売件数は年率換算で533万戸と、前年同月比で1.6%の減少となりました(2カ月連続で予想を下回りました)。8月の新築住宅販売件数は年率換算で60万9,000戸と、予想(59万8,000戸)を上回りました。7月の数値は当初発表の65万4,000戸から65万9,000戸に上方修正されました。また7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比5.0%上昇と堅調だったものの、6月の5.1%上昇からは減速しました。

 雇用面では、8月の雇用統計の非農業部門就業者数は15万1,000人と予想の17万5,000人を下回る一方、失業率は4.9%で横ばい、労働参加率も62.8%で同じく横ばいでした。平均週間労働時間は前月の34.5時間から34.3時間に減少と、懸念される(そして注意が必要な)結果となりました。時間当たり平均賃金は0.1%増加しました(7月の25.69ドルから25.72ドルに増加)。7月の米求人労働移動調査(JOLTS)の求人数は、6月の562万人から564万人に小幅増加が予想されていましたが、587万人と予想を上回り、過去最高水準となりました。別の角度から雇用を見ると、建設機械大手のCaterpillar(CAT、9月は1.2%高)は2018年末までに全世界で1万人を削減するという計画に加え、ベルギーでさらに2,000人の従業員を削減する可能性があると発表しました。小売大手のWal-Mart(WMT、同1.2%高)は事務職7,000人を削減すると発表しました。スウェーデンの携帯電話および通信機器メーカーEricsson(ERIC、同2.7%高)は国内最後の工場の閉鎖に伴い1,300人を削減すると発表しました。ネットワーク機器大手のCisco(CSCO、同1.2%高)はメキシコでの生産拡大のため2018年末までに40億ドルを投じる計画を明らかにしました。ドイツの民間銀行Commerzbank AG(CRZBY、同12.1%安)は9,600人の人員を削減する一方、社内業務のデジタル化のために新たに2,300人を雇用すると発表しました。

 M&A関連では、ドイツのヘルスケア・農業大手Bayer(BAYRY、同1.2%高)がMonsanto(MON、同4.0%安)に対する買収提示額を660億ドルに引き上げ、Monsantoがそれを受け入れることで合意しました。カナダのパイプライン運営会社Enbridge(ENB、同11.8%高)は、同業のSpectra Energy(SE、同20.0%高はS&P500構成銘柄で最高のパフォーマンス)を全額株式交換方式により総額280億ドルで買収すると発表しました。ドイツの自動車大手Volkswagen(VLKAY、0.3%安)は、トラックメーカーのNavistar(NAV、同63.0%高、数十年前も前の旧社名はInternational HarvesterでS&P500の当初からの指数構成銘柄)の株式16.7%を取得することを明らかにしました。Volkswagenは一部の設備をNavistarに売却し、またNavistarの取締役2名の指名権を得る見通しです。General Electric(GE、同5.2%安)は、3Dプリンターを手掛ける2社(ドイツ企業とスウェーデン企業)を総額14億ドルで買収することを発表しました。石油探査のEOG Resources(EOG、9.3%高)は、同業のYates Petroleumを23億ドルで買収することで合意しました。産業機器メーカーのDanaher(DHR、同3.7%安)は、分子診断機器・試薬を手掛けるCepheid(CPHD、同53.5%高)を現金40億ドルで買収すると発表しました。Bill Ackerman氏が率いるヘッジファンド、Pershing Square Capital Managementは、メキシコ料理ファストフードチェーンを展開するChipotle Mexican Grill(CMG、同2.4%高)の株式9.9%を取得したことを明らかにしました。投資顧問会社Starboard Valueは、アイルランドの製薬会社Perrigo(PRGO、同1.5%高)の株式4.6%を取得した上で、非中核資産を売却して別の選択肢を検討するよう提案しました。顧客情報管理(CRM)ソフトウエアを手掛けるSalesforce.com(CRM、同4.0%安)は、ソーシャルメディア企業Twitter(TWTR、同20.0%高)への買収提案を検討していると報じられました。その後、テーマパークを運営するWalt Disney(DIS、同1.7%安)とソフトウエア大手Microsoft(MSFT、同0.2%高)もTwitter買収を検討しているとして名乗りを挙げました。ドイツの化学・ゴムメーカーLanxess AGは、同業のChemtura(CHMT、同9.0%高)を27億ドルで買収する計画を明らかにしました。先物取引所を運営するCBOE Holding(CME、同3.5%安)は、証券取引所を運営するBats Global Marketsを現金と株式により、総額32億ドルで買収すると発表しました。デジタル通信を手掛けるQualcomm(QCOM、同8.6%高)は、同業のNXP Semiconductors NV(NXPI、同15.9%高)の買収に向けて協議に入っていると報じられました。メディア大手のViacom(VIAB、同5.6%安)とCBS(CBS、同7.3%高)は10年前に分離しましたが、両社の筆頭株主であるRedstone一族が両社の再統合を提案しています。一方、合意しなかったM&A案件としては、パイプライン大手のEnterprise Products Partners(EPD、同4.2%高)は同業のWilliams Companies(WMB、同10.0%高)に対して買収を提案していましたが、Williams側が交渉に消極的だったために断念したことを明らかにしました。Carl Icahn氏は、Chesapeake Energy(CHK,同1.3%安)の持ち分を9.4%から4.6%に減らしました。同氏は売却の理由について、税金対策のためとしています。Viacom(VIA、同1.2%安)は、暫定最高経営責任者(CEO)の退任、50%の減配、Paramount Picturesの少数持ち分の売却断念を発表しました。ヘルスケア大手のPfizer(PFE、同2.7%安)は、事業分割を見送ることを明らかにしました。

 個別銘柄のニュースとしては、通信会社Verizon(VZ、同0.7%安)に中核資産を48億ドルで売却することで合意していたインターネット検索大手のYahoo!(YHOO、同0.8%高)は、ネットワークへの不正侵入により5億件のユーザーアカウント情報が流出したことを明らかにしました。Yahoo側は「国家の後ろ盾を得たハッカーの仕業」だとみています。ソーシャルメディア大手のFacebook(FB、同1.7%高)は、過去2年間にわたり動画広告の視聴時間を過度に測定していたことを明らかにしました。ソニー(SNE、同3.3%高)は、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の新機種として、薄型化モデルと高性能モデルの2製品を発表しました。Microsoft(MSFT、同0.2%高)は、増配と400億ドルの自社株買い戻しプログラムを発表しました(同社は2016年6月までの1年間に160億ドル、5年間では481億ドルを自社株買い戻しに充てました)。インターネット通販大手Amazon.com(AMZN、同8.9%高)は上場来初めて株価が800ドルを上回り(9月の終値は837ドル)、時価総額が世界第4位となりました(Apple、Google、Microsoftに次ぐ)。銀行のWells Fargo(WFC、同12.8%安)では、架空口座問題で解雇された元行員が同行に対して総額26億ドルの損害賠償を求める集団訴訟を起こしました。携帯電話メーカーのBlackberry(BBRY、同5.2%高)は、端末の自社製造から撤退すると発表しました。

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