S&P500月例レポート(2016年10月配信)

 中央銀行については、ポーカーゲームのディール時点で役が決まっているかのように、サプライズは見られませんでした。欧州中央銀行(ECB)は金利を据え置き、追加緩和策を発動することもありませんでした。とはいえ、債券買い入れプログラムを2017年3月以降も継続する可能性には含みを残し、何らかの追加緩和策が打ち出されるとの見方もあります。欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)間でのギリシャの債務問題に対する意見の相違は続いています。従来から両者は金融支援と緊縮プログラムについて異なる見解を持っていました。イングランド銀行は金利を据え置いたものの、近い将来の利下げの可能性を示唆しました。日銀も金融政策決定会合を開催し、現状0.1%のマイナス金利を維持し、より積極的な緩和策に対するコミットメントとして、新たにイールドカーブ・コントロールを導入し、マイナス金利の深化も可能との見解も示しました。オーストラリア準備銀行も金融政策委員会で金利据え置きを決定し、経済成長を支えるために来年まで利上げを行わないことを示唆しました。連邦公開市場委員会(FOMC)も2日間に及ぶ会合を終え、利上げ見送りを決定し、利上げ時期に対する見方にも変わりはないとしています。しかし、投票権を持つ10名のFOMCメンバーのうち、3名が利上げを主張して反対票を投じました。連邦準備制度理事会(FRB)は米国経済の改善は続いており、雇用創出も堅調、家計支出も拡大しているとしています。懸念事項として、インフレの低迷とその原因がエネルギー価格の低下にある点を指摘し、低調な設備投資が続いていることも認めています。全体として、利上げの根拠は強まっていると主張してはいるものの、利上げには動きませんでした。イエレン議長は上院で半期に一度の議会証言を行い、規制当局は中小銀行の負担軽減のために規制を緩和する必要があると述べ、またFRBが一部の大手銀行に対して資本要件を厳格化することを計画していることを明らかにしました。中央銀行にとって民間銀行の問題も深刻化しています。ドイツ政府はDeutsche Bankに対して公的支援は行わないことを明言しましたが、市場では支援が行われるとの憶測がまだ消えてはいません。Commerzbankは配当停止と9,600人の人員削減を発表しましたが、社内手続きのデジタル化対応のために新たに2,300人を採用しています。なお、両行とも金利の見直しは行っていません。ロシア連邦中央銀行は予想通り政策金利を0.5%引き下げて10.00%としました。また、スイス国立銀行は現行マイナス0.75%の政策金利の据え置きを決定しました。

 世界経済に関するニュースでは、ユーロ圏の第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は0.3%と、第1四半期の0.5%から減速しました。英国では8月のインフレ率が前月から横ばいの0.5%となり、第2四半期のGDP確報値は0.7%と改定値の0.6%から上方修正されました。ドイツのIFO企業景況感指数は2014年5月以来の高水準となる109.5に上昇しました。中国の8月の輸入(米ドル建て)は1.5%増と、2年ぶりに前年同期比でプラスとなりました。輸出は2.8%減となり、7月の4.4%減から改善しました。中国の8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.3%上昇と、7月の1.8%上昇から低下しました。また8月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比0.8%低下となりました(7月は1.8%低下)。

 米国経済関連では、8月の自動車販売台数が4.2%減となりました。ディーラーが販売奨励金を増やすなか、販売台数は過去最高水準に留まっているものの減少しました。第2四半期の非農業部門労働生産性は予想通り0.6%低下し、単位労働コストは4.3%上昇となり、予想(2.1%上昇)を上回りました。第2四半期のGDP確報値は1.4%増と改定値の1.1%増から上昇しました(予想は1.3%増)。8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.0と7月の52.9から低下し、8月のサプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は49.4(予想は52.2)となりました。8月のISM非製造業景況指数は51.4と6年ぶりの低水準で予想(55.0)を大幅に下回り(7月は55.5)、8月のサービス業PMIは51.0と(予想は51.2)、7月の51.4を若干下回りました。8月のPPIは前月比、前年同月比ともに横ばいとなり、食品とエネルギーを除くコアのPPIは前月比で0.1%上昇、前年同月比で1.0%上昇となりました。またCPIは0.2%上昇(予想は0.1%上昇)、前年同月比では1.1%上昇となり、コアCPIは前月比0.3%(予想は0.2%上昇)、前年同月比では2.3%上昇とFRBにとって好ましい結果となりました。7月の建設支出 は横ばい(予想は0.6%増)となり、6月の数値は0.6%減から0.9%増に上方修正されました。7月の製造業受注は1.9%増(予想は2.0%)となり、6月は当初発表の1.5%減から1.8%減に下方修正されました。8月の耐久財受注は前月比で1.9%減と予想されていましたが横ばい、そして前年同月比では1.3%減となりました。9月の消費者信頼感指数は104.1と、前月の101.8を下回るという事前予想(98.8)を大きく上回りました。8月の小売売上高は前月比横ばいとの予想を下回り、0.3%減となりました。7月の貿易統計で、輸出は1.9 %増、輸入は0.8%減となりました。米国の8月の輸入物価は前月比0.2%低下、前年同月比2.2%低下となり、輸出物価は前月比0.8%低下、前年同月比では2.4%低下でした。FRBのベージュブック(地区連銀経済報告)によると、米国経済は「緩やか」または「緩慢」なペースで拡大しました。労働市場が引き締まったとする地区が増え、消費支出は底堅く推移した一方、過去最高に迫っていた自動車販売台数は減少に転じました。8月の個人所得は予想通り0.2%増となり、個人消費支出は横ばいで予想(0.2%増)に届きませんでした。また8月のPCE価格指数は前年同月比1.0%上昇し、コアのPCE価格指数は同1.7%上昇しました。

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