S&P500月例レポート(2016年10月配信)

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2016年9月: 注目集める中央銀行

 9月の金融市場は「中央銀行の動向が注目」されました。ほとんどの中央銀行が金融政策の現状維持を決めたものの、将来的には見直す可能性があることを示唆し、相場は乱高下する展開となりました。また、Deutsche BankとCommerzbankが守勢に回り、米大手銀行のWells Fargoも苦境に陥る等、中央銀行は民間銀行についても懸念する必要性に迫られました。市場関係者は短期的な追加刺激策が早晩打ち出され、米国では12月に利上げが行われると予想していましたが、11月8日の大統領選挙の投開票日が近づくにつれ、新たに米国の政局も市場の関心事となりました。政局を意識した相場展開も確認されましたが、相場の流れ自体が変えられたのかもしれません。また、アルジェリアで開催された石油輸出国機構(OPEC)の非公式会合も材料視されました。この臨時会合で(減産に)合意することで意見の一致がみられたようで、加盟国は11月30日にウィーンで開催される総会での正式合意を目指しています(個人的には合意に至るかを疑問視しています)。重要な点は総会までにサウジアラビアとイランの間での協議が決着し、減産合意が実現するかどうかです。原油の需給バランスの動向を踏まえると、景気指標にその影響が反映されるまでには時間がかかるでしょう。まずは原油価格に減産の影響が織り込まれるのが先決というのが大方の見方となっています。

 例年9月は年間で最もパフォーマンスが振るわない月ですが、銀行との取引や原油相場の動きを始終気にかけてはいたくない人々にとって、今年の株式市場の下げは小幅にとどまりました。市場関係者は相場の下落には不満を抱いていますが、大幅に下落するよりはまだましでしょう。月中に発表された経済指標は良好な内容で、成長鈍化が続いているにもかかわらず、住宅関連指標は堅調を維持しています。この9月は米国議会にとっても忙しい月となりました。議会は金融大手のWells Fargoと医薬品大手のMylanに対して極めて珍しい一枚岩の対応を見せ、その追及は次第に厳しさを増しています。さらにインターネット大手のYahoo!に対しても厳しい姿勢で臨む構えを見せています。こうした一致団結した動きは、暫定予算案の審議でも見られました。現行予算の期限となっている9月30日以降も政府機関が機能するように、12月9日までの暫定予算案が(9月30日の数日前に)可決されました。今回成立したつなぎ予算の期限となる12月9日までに改めて暫定予算案の審議を行う必要はありますが、再度期限が延長される可能性が高いと思われます(この頃までには大統領選の結果は判明していますが、新大統領の就任は来年1月の予定です)。大統領に対する強気姿勢を示す最後のパフォーマンスとして、議会はオバマ大統領の拒否権を覆し、2011年の同時多発テロに関連して犠牲者遺族がサウジアラビア政府を提訴することを認める法案を可決しました(この決定は法科大学院の入学志願者の増加を後押しするはずです)。なお、拒否権が覆されたのは、オバマ政権では初めてのことです。

 10月の相場は通常、企業が第3四半期の決算発表と通年の業績予想の見直しを行い、さらに来年度の事業計画や業績見通しに関してもより詳細な内容を公表するため、その内容に大きく左右されます。しかしながら今年は、業績発表と大統領選挙に関する記事がマスコミ報道を二分することになるでしょう。相場よりも選挙報道のほうが盛り上がりをみせるかどうかは、誰が大統領選を制すると予想されるか、そして議会の勢力図の行方がその鍵を握っています。現時点では、市場はクリントン候補の勝利を予想しており、議会については上下両院ともに共和党が議席を減らすものの、過半数を維持すると予想しています。また、クリントン氏への支持が強ければ、上院では民主党が過半数を占めるという見方もあります。決算発表が進むことに加え、選挙結果に対する見方が変化すれば資産配分が見直されることから、相場のボラティリティも高まると予想されます。現時点のバリュエーションからみると、決算内容と業績見通しが市場を下支えするか、あるいは株価収益率(PER)を低下させることで、株価に対してこれまで以上に大きな影響を持つと思われます(その結果、市場のほうが政局よりも先行きを見通しやすくなるでしょう)。

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