「市場金利を統制下に」、黒田バズーカ第三弾の威力を考える

とうとう日銀が市場価格制御に直接乗り出した
 9月21日の政策決定会合において日銀は、①イールドカーブの制御.長短金利の管理、②オーバーコミットメント.際限なく目的達成を追求する、③追加的手段はある。短期金利、長期金利、資産買い入れ、マネタリーベースの増加加速、という3つの柱からなる新政策を発表した。

バズーカ第三弾になるか
 この中での新機軸は長期金利のコントロールである。FRBのQEでもそこまでは踏み込んでいなかった。先進国において金融自由化、市場金融化が確立した1980年代以降では、初めての中央銀行による市場金利の直接コントロールに日銀が乗り出したのである。否定的とは言わずともシニカルな見方が大きく広がっている。失敗、窮余の挙句の奇策、禁じ手、という解釈が一般化している。確かに極端な QE以上に伝統・常識からかけ離れた政策ではある。しかしそれだけに市場インパクトも絶大となる可能性を排除できない。日本株式を一気に3~4割以上押し上げる威力を持っているかもしれない。となれば当然リスクオンの円安となる。イールドカーブ・金利コントロール政策.株高.円安という好循環が起きる可能性にも一瞥されたい。

 WSJ紙は ”Japan nationalizes the yield curve(日本はイールドカーブを国営化する)” という社説(9月22日)を掲げ、「金融政策を使い果たした日銀が、本来市場が決める長期金利を政策でコントロールするという、極端な策に乗り出した。国債の買い入れ余地が来年にはなくなり量的金融緩和が限界に達すること、マイナス金利が銀行収益を損なうことなど、日銀は金融政策を概ね使い果たした。その挙句にうちだされたイールドカーブつまり短期、長期金利をコントロールするという新奇策は、市場ボラテリティーを高め、一段と(リスク回避による)貯蓄を強め、銀行に人為的な収益機会を与えることでリストラを遅らせる、などの弊害をもたらす可能性がある。安倍政権は金融政策の限界を認め財政政策と規制改革に軸を移すべきだ」との論説を掲載した。

メディアは誤り、日銀は全く失敗していない、金融政策は効いている
 本当に日銀は弾を打ち尽くしたのか、金融政策では2%インフレという目標達成は無理なのだろうか。公平に見てそうではあるまい。日本経済がデフレと長期停滞に戻る可能性は著しく低下している。黒田総裁がかねてから強調しているように、日本のデフレと長期経済停滞の金融的原因は、実質金利が経済の実力(=自然利子率、実質均衡利子率)に比べて著しく高いままであったことにあった。潜在成長率で大きく劣っている日本の実質金利は2000年代を通して、主要先進国とほぼ同等であり、この高実質金利が日本経済を大きく弱体化させた。

*自然利子率とは経済がフル稼働でも過熱することなく拡大できるインフレ調整後の金利を指し、それは貯蓄と投資がバランスする均衡金利とも考えられる。つまり自然利子率は政策金利決定の目安である。今回の「総括的な検証」ではこの自然利子率が日本では2010年以降0%近傍している、としている。

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