米国利上げと中国の権力闘争

米国利上げと中国の権力闘争
~目先、中国ハードランディングの可能性が小さくなったようだ~

 米国の利上げをめぐって思惑が錯綜し、金融市場におけるリスク感、不透明感が強まっている。しかし真の不確実性は米国ではなく中国経済に存在しており、投資におけるリスクも中国経済と金融市場をどう評価するかにかかっている、と思われる。どう転んでも米国経済の固有の見通しは明るく、それを覆すとすればグローバル要因特に中国の展開次第と言う側面が強いのではないだろうか。その観点から、習近平主席の権力基盤が弱まり、中国の経済運営がより透明で国際協調路線が明確な李克強路線に純化される見通しが強まったことは、明るい材料である。李克強路線により中国のハードランディング、人民元急落の可能性が(目先的には)大きく軽減されるとすれば、2017年は米国金利上昇、ドル高の下で株式も堅調と言う、リスクテイク促進型の環境になると予想される。

不確実性小さい米国

 金融市場の関心事はFRBの利上げに集中し、金融政策を占う材料である経済データの発表とFRB幹部の発言に、一喜一憂する日々が続いている。しかし少し観察スパンを長くとれば、米国経済の不確実性は驚くほど小さい。ほぼ明白と言っていい事実をざっと挙げると、

1) ほぼ完全雇用達成

2) 物価も2%接近、コアPCEデフレーターなどに不満は残ってもデフレ陥落の可能性は著しく低下

3) 景気拡大の後半戦、a) 労働分配率上昇→企業はコストアップを価格転嫁する必要性強まる→よりインフレ圧力へ、b) 企業における資本余剰低下(設備投資増加、自社株買い・配当などの社外流出による)

4) 2017年より財政出動へ、トランプ・クリントン候補共に。などが指摘できる。

 
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 そうした観測が妥当であるとすれば、9月または12月の違いはあっても年内あと一回の利上げは不可避と考えられる。まず、更なる金融緩和を迫られている日欧中央銀行とのスタンスの相違は一段と鮮明になり、米国長期金利上昇とともにドル高となる。利上げによる需要に対するネガティブな影響は避けられないが、2017年にはそれ以上の財政出動の効果が期待できよう。次期大統領候補は民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補共に、積極的財政政策を政策アジェンダとして挙げている。実際米国ではインフラの老朽化が進んでおり、財政赤字もGDP比10%(2010年)から2%台(2015年)まで低下しており、長期金利は空前の低さ、となれば絶好のケインズ政策環境と言える。利上げ、財政出動、堅調な景気は米国長期金利を押し上げ、ドル高を誘導することになるだろう。主要先進国で米国のみが「流動性の罠」に陥ることなく健全な信用創造を続け、経済の持続的成長を実現できるとすれば、米国経済とドルの信認は強まらざるを得ない。

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