S&P 500月例レポート(2016年9月配信)

 雇用面では、7月の雇用統計では、非農業部門就業者数がは事前予想の18万5,000人を上回る前月比25万5,000人増と先月に続いて力強い増加となりました。6月は事前予想を大幅に上回る28万7,000人増(後に29万2,000人増に改定)、5月は予想を大きく下回る3万8,000人増でした。失業率は4.8%に低下すると予想されていましたが、前月比変わらずの4.9%となりました。平均週間労働時間は市場予想が前月比横ばいの34.4時間であったのに対し、34.5時間に増加しました。時間当たり平均賃金は事前予想通り0.3%増加して25.69ドル(25.61ドルから上昇)となりました。労働参加率は前月の62.7%から62.8%に上昇しました。6月のJOLTSの求人数は、事前予想が5月の550万人から横ばいであったのに対し、562万4,000人となりました。ADP社の雇用統計によると、8月の民間部門の雇用者数は17万7,000人増と事前予想の17万5,000人を若干上回りました。また、7月分も速報値の17万9,000人増から19万4,000人増に上方修正されました。別の角度から雇用を見ると、太陽光パネルメーカーのSunPower(SPWR、8月は28.2%安)が、「厳しい」競争環境に対応するために全従業員の15%(1,200人)を削減することを明らかにしました。百貨店大手のMacy’s(M、同16.7%高)は、100店舗を閉鎖(全店舗の約15%に相当)し、従業員のレイオフも実施するとしています。ネットワーク機器メーカーのCisco Systems(CSCO、同1.1%安)は、全従業員の7%に相当する5,500人をレイオフすると公表しました。太陽光発電サービスのSolarCity(SCTY、同22.6%安)は、コスト削減計画の一環としてレイオフを計画していることを明らかにしました。

 M&A関連では、中国のライドシェアリング・サービス会社Didi Chuxingが、2年間に及ぶ激しい競争を経て、ウーバー社の中国事業を買収すると発表しました。ソフトウェア大手のMicrosoft(MSFT、同1.4%高)は、ビジネス向け交流サイトLinkedInの買収資金調達のために、期間10年(利率2.4%)の200億ドルの起債を実施しましたが、旺盛な需要に迎えられました。先月Yahoo(YHOO、同11.2%高)のネット事業を買収すると発表した通信サービス大手のVerizon(VZ、同5.6%安)は、GPSを利用した車両トラッキングサービスを手掛けるFleetmatics(FLTX、同39.6%高)を24億ドルで買収することを明らかにしました。電気自動車メーカーのTesla Motors(TSLA、同9.7%安)は予想通りSolarCity(SCTY、同22.6%安)の買収計画を発表しましたが、買収額は事前予想を下回っています。Tesla社のElon Musk最高経営責任者は両社の筆頭株主です。マットレス製造販売を手掛けるMattress Firm Holdings(MFRM)の株価は8月に114%上昇しました。南アフリカの小売業者Steinhold International NVが24億ドルで同社を買収することを明らかにしたからです。噂されていた通り、ディスカウントストア大手のWal-Mart(WMT、同2.1%安)は、Amazon(AMZN、同1.4%高)への対抗手段としてオンライン小売サイトJet.comを33億ドルで買収すると発表しました。金融サービス大手のTIAAは、EverBank(EVER、同6.8%高)を25億ドルで買収することを明らかにしました。エンターテイメント大手のWalt Disney(DIS、同1.6%高)は野球中継をストリーミング配信するBAMTechの株式を取得するために10億ドルを投じたことを明らかにしました。不動産投資信託のMid-America Apartment(MAA、同11.3%安)は、同業のPost Properties(PPS、同4.2%高)を40億ドルの株式交換で買収することを公表しました。ドイツの産業ガス大手のLinde AG(LNEGY、同19.2%高)と米国のPraxair(PX、同4.7%高)が事業統合に向けて協議しているとの報道がありました。両社を合わせた時価総額は600億ドルになります。ヘルスケア製品と特殊化学製品を手掛けるPfizer(PFE、同5.7%安)は前立腺がん治療薬を製造するMedivation(MDVN、同25.9%高)を現金140億ドルで買収すると発表しました。Pfizerも、AstraZeneca’s(AZN、同3.9%安)の小分子抗生物質事業を推定15.7億ドルで買収することになっています。一方、合意しなかったM&A案件としては、スナック菓子の製造を手掛ける食品大手Mondelez International(MDLZ、同2.4%高)は、チョコレート製造のHershey(HSY、同9.8%安)が買収提案を拒否したため、その計画を断念しました(Hershey社はHershey Trustが支配株主となっています)。

 個別銘柄のニュースとしては、銀行のHSBC(HSBC、同13.6%高)は40%の減益となりましたが、予想に反して25億ドル規模の自社株買い戻しプログラムを発表しました。鉱業大手のRio Tinto(RIO、同8.1%安)は上半期利益が過去12年で最低となりましたが、予想を上回りました。配当も予想を上回りましたが、58%の減配となっています。ヘルスケアのAetna(AET、同1.7%高)は、新たに導入された医療保険制度改革法(オバマケア)に基づく同社の保険事業が赤字になるとの見方を明らかにしました。EUの独占禁止当局はiPhoneを販売するApple(AAPL、同1.8%高)に対し、145億ドルの追徴税をアイルランドに支払うよう命じましたが、アイルランドとAppleはいずれも控訴する意向を示しています。同社は9月7日にイベントを予定しており、そこで新型iPhoneが発表されるとみられています。

 その他のニュースとしては、自動車メーカーのFord(F、同0.5%安)は、ライドシェアリングや宅配サービスといった商業用途に対応した完全自動運転車を2021年までに実現するとの計画を発表しました。中国は上海市場と香港市場に上場する銘柄の相互株式取引を年内に開始する計画を明らかにしました。14カ国が加盟する石油輸出国機構(OPEC)は、9月26~28日にアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラムに合わせて、非公式会合を開くことを明らかにしました。これを受け、会合で生産量の引き下げが決定されるとの憶測が広がり、石油関連銘柄の株価が上昇しました。4月の前回会合では、生産上限の設定に至りませんでした。EIAは、2017年の石油需要の増加見通しを従来の日量130万バレルから同120万バレルに引き下げ、国内の石油企業の生産活動が「大幅に」活発化するためには原油価格が60ドルとなる必要があるとの見方を明らかにしました。

 利回り、金利、コモディティは引き続き活発な動きを見せました。米国10年国債の利回りは7月末の1.46%から上昇(価格は下落)して1.58%で8月の取引を終えました(2015年末は2.27%、2014年末は2.17%)。30年国債の利回りは2.23%と、7月末の2.18%から上昇しました(同3.02%、同2.75%)。通貨は活発な動きを見せ、ユーロは7月末の1ユーロ=1.1176ドルから1.1159ドルに下落して8月を終えました(2015年末は1.0861ドル)。英ポンドは7月末の1ポンド=1.3229ドルから8月末は1.3143ドルに下落しました(同1.4776ドル)。円はドルに対して7月末の102.07円から下落して103.31円で月を終えました(同120.66円)。人民元は1ドルに対して7月末の6.6550元から8月末は6.6791元に下落しました(同6.4931元)。金価格は7月末の1,358.20ドルから1,312.00ドルに下落して月を終えました(2015年末は1,060.50ドル、2014年末は1,183.20ドル)。原油価格は大きく変動して一時は50ドルに迫りましたが、その後は値を下げ、最終的には7月末の1バレル41.48ドルから44.82ドルに上昇して8月を終えました(同37.04ドル、同53.27ドル)。ガソリン価格は引き続き下落し、7月末の1ガロン2.329ドルから8月末は2.2.37ドルに下落しました(同2.034ドル、同2.299ドル)。8月のVIX恐怖指数は7月末の11.97から13.42に上昇して月を終えました(2015年末は18.21)。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 
みんかぶマガジン> 全ての記事> ETF/REIT> S&P 500月例レポート(2016年9月配信)