世界的イールド・ハンティングが日本株に向かう可能性大 ~中国危機封印なら、アベノミクス相場第二弾入りの公算も~

(3) 世界的金利低下のトレンドは先ず米国で反転する公算大
~ 議論の焦点自然利子率低下の認識 ~

2017年財政出動で米景気加速、ドル高、長期金利緩慢な上昇へ
 中国情勢の一定の安定化、新興国情勢の安定化、Brexitの織り込み、米大統領選挙の不確実性の低下、などにより、再度グローバルリスクオン、イールド・ハンティングの趨勢が強まっているが、この先に何が待っているのだろうか。当社は先ず米国で、2017年に①成長・投資の加速、②資金余剰の減少、③FRBの利上げが相まって、長期金利が緩やかな上昇に転じ、利潤率と利子率の乖離が縮小しはじめ、イールド・ハンティング機会が低下する、と想定する。すると世界的余剰資本は円高一巡後の日本に向け、大きく押し寄せるのではないか。米国で2017年~18年にかけて量的金融緩和?資産価格上昇?成長軌道復活?中銀の利上げと長期金利上昇、というデフレ危機脱却の先行例が形成されるのではないだろうか。それは日欧など他の先進諸国にも伝播していくと期待される。

完全雇用下の自然利子率低下の原因に様々な解釈
 米国のエコノミスト、経済学者は歴史的長期金利低下の問題を「自然利子率の低下」という論理として整理している。自然利子率とは経済がフル稼働でも過熱することなく拡大できるインフレ調整後の金利を指し、それは貯蓄と投資がバランスする均衡金利とも考えられる。つまり自然利子率は政策金利決定の目安である。この自然利子率がこれまでのコンセンサスである2~3%から0%近傍へ低下急激に低下している、との見方が広がり、ここ数年にわたって低水準で推移することが共通認識になっている。長期金利の下落低迷とは、まさに自然利子率低下の問題なのである。であればFF金利の引き上げはあってもごくわずか、かつ緩やかにするべきということである。

だが市場フレンドリーな金融政策維持では一致
 米国では完全雇用、経済はフル稼働状態に戻っているのに、自然利子率は全く上昇ないばかりか、低下している。なぜか、経済学者は自然利子率が低下した理由について、さまざまな説を唱えている。前FRB議長のベン・バーナンキ氏は、世界的な貯蓄過剰が原因と指摘している。ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授は、投資需要が慢性的に不足する「長期停滞」が原因と主張している。イエレン議長などによるFRB見解は、金融危機以降の経済成長を抑えてきた一時的な逆風、すなわち経済の不確実性、ドル高、生産性・労働力人口の伸び鈍化に原因があるかもしれないとの見方である。このように原因に対する見方は分かれているが、「利上げを急ぐべきではない」という市場フレンドリーな処方は明確に一致している。自然利子率が低迷しているのに利上げをすれば信用の縮小循環をもたらし景気を失速させる。1980年以降米国では4回リセッションが起こったがいずれも、金融引き締めにより長短金利が逆転した後である。自然利子率が低下し続け、利上げした後のFF金利水準を下回って逆イールドとなれば、金融機関の利ザヤはマイナスとなり、軽度とはいえリセッションは免れなくなる。FRBはそれを回避することを至上命題としているのである。
 
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低金利=低自然利子率の下での拡張的財政金融政策が展望を開く
 自然利子率の低下=長期金利の空前の低下定着、を前提とした経済成長の姿とはどのようなものか。二つのシナリオが描けるであろう。第一は金融政策、超金融緩和を続けることで株価を押し上げ、企業は自社株買いなどを通して、株主・投資家としての家計の所得増加をもたらし消費を引きあげるという方向。つまり超低金利により株式価値が高まり、資金がリスク資産に向かうとことである。第二はケインズ政策、政府が借金をして需要を創る。そうすると遊んでいるお金が有効に使われる。次期大統領候補は民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補共に、積極的財政政策を政策アジェンダとして挙げている。実際米国ではインフラの老朽化が進んでおり、財政赤字もGDP比10%(2010年)から2%台(2015年)まで低下しており、長期金利は空前の低さ、となれば絶好のケインズ政策環境と言える。こうした財政金融面での資本余剰の循環は長期金利を緩慢ではあっても上昇させ、自然利子率を引き上げていくだろう。そうなると長期株高、ドル高の展望が開けることになる。中国リスクをにらみつつも、中長期強気スタンスが適切ではないか。
 

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