2016年9月1日時点での主要市場見通し

シナリオの背景

・世界全体の実質経済成長率は、IMF(国際通貨基金)の7月時点の見通しによれば、2015年3.1%→2016年3.1%→2017年3.4%と、決して加速はしないが、底固く推移すると予想されている。

・一方でリスク要因については、引き続き地政学的リスク(諸新興国の政変や、紛争・テロなど)は残るが、市場はかなり消化してきている。中国経済についての、一時のいたずらな不安も、実際の中国経済は減速が続こうが、減速の度合いは緩やかなものにとどまるとの観測が、現在は市場で有力となっている。また、エネルギー価格も、上昇力に乏しいものの、底固さを増しており、産油国の経済や財政についての懸念も一巡した感が強い。

・世界を見渡すと、引き続き米国経済が、雇用の改善を中心に堅調に推移しており、そうした米国に対する楽観論は、次第に力を得ている。米連銀の年内利上げがほぼ確実視され始めているが、景気が良いからこそ金利を上げられるという、「良い金利上昇」説が、実態面からは米株価や米ドル相場の下支え要因となろう。

・こうした投資環境のじわじわとした持ち直しを踏まえると、2017年に向けての世界市場の展望としては、引き続き世界的な株高と外貨高(対円)を予想する。

・日本株については、4~6月期の企業収益(経常利益および税引後利益)は、15~20%の前年比減益となり、円高や新興国経済の減速が、色濃く影を落とした。しかし、そうした足元の企業収益悪化を踏まえ、既に大幅に下方修正されたアナリストの利益予想値を用いても、現在のTOPIXの予想PERは安倍政権下のレンジ(概ね13~16倍)の下限に近く(図表1)、株価は割安な水準にある。この割安さが修正される形で、目先および長期的な、国内株価上昇が実現するだろう。

・日本株の物色動向をみると、一頃の内需株から、外需大型株への物色シフトがみられる。これは、悲観的には、日銀のETF買いに伴う、思惑による大型株買いに過ぎないのかもしれない。しかし、これまで海外経済や円相場に対する懸念から、いくら割安になっても放置されてきた輸出大企業の株を、リスクを取って拾っていこう、という投資家の姿勢の積極的な変化であれば、楽観的に解釈することができるだろう。

・このため日経平均株価は、9月中に上値として17000円台のどこか(18000円手前まで)に達すると期待できる。

・米ドルも、雇用拡大に支えられた米国内需の堅調さが徐々に認識され、米連銀議長・副議長をはじめとした諸高官の利上げに前向きと解釈される発言がなされて、徐々に上値をうかがう動きが強まっている。米ドル円相場も、9月中に105円を超え、110円に迫る展開は否定できない。

(図表1)
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・しかし残念ながら、9月下旬辺りから11月辺りにかけては、日本株安、米ドル安・円高の様相が強まると懸念している(底を抜けるような株安や円高が生じると考えているわけではなく、日経平均が16000円近辺、米ドル円が再度100円近辺に押す、というイメージ)。その理由としては、下記のようなものが挙げられる。

1)日本企業の税引後利益については、前述したとおり、4~6月期は前年比で2割弱の減益であったが、7~9月期も今のところ2割強の減益が予想されている。10~12月期以降は収益の改善が予想されるが、7~9月期の決算発表が10月下旬から11月上旬に行なわれ、その悪い内容を先行して市場が懸念し、11月上旬辺りまでは株価が下落気味で推移しうる。しかし、そこで収益悪化を織り込み切ると、かえって先行きの収益改善に投資家の目が向かい、株価が底打ちをすると見込まれる。

2)9月21~22日の金融政策決定会合で、これまでの金融政策の「総括」を行なうとされている。現在市場では、総括した結果、金融緩和を加速するのではないか、といった期待や、いや、物価目標を後退させるのではないか、といった不安などが、交錯している。そもそもこうした心理的なぶれが、金融政策決定会合が迫ると増幅され、市場の波乱要因となる恐れがある。加えて、既に日銀にできる手は限られており、もう小出しに行なう以外の手段がない。このため、9月の会合で日銀が何をやっても(あるいは何もやらなくても)、勝手に期待した市場が勝手に失望する展開がありえよう。

3)11月8日投票の米大統領・議会選挙に向けて、候補者から内向きな発言が嵩む恐れがある。トランプ氏はいたずらな日本叩きは昀近控えているが、米国輸出業の雇用を守るために、米ドル安(円高・中国元高など)が望ましい、という発言が、選挙に向けて増えてきてもおかしくない。また、米財務省の半期為替報告書が、10月に公表される予定だ(過去に11月にずれ込んだことがあり、今回も公表が後ずれする可能性がある)。とりわけトーンを強めるとも考えにくいが、前回4月と同様、中国、ドイツ、韓国、台湾と並んで、日本が、「監視リスト」入りすると見込まれるため、それを材料に円買いが進む局面があるだろう。

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