生物としての寿命とヒトとしての存在

・人間の寿命はどんどん延びてきた。筆者の母は95歳まで生きたので長生きの方であった。日本人の寿命は2014年で男性80.5歳、女性86.8歳である。平均寿命はまだ延びていく。100歳以上の人口も6万人を超えてきた。早晩10万人を超えて、いずれ100万人になるかもしれない。

・人間は、生物学的には120歳まで生きられるともいわれる。そういう人が出てきそうである。では、現実の歴史はどうであったか。厳しい自然社会環境の中で、長く生きるというのは大変なことであった。縄文時代は31歳、室町時代は33歳、江戸時代は45歳、戦後の昭和22年で52歳であったと、本川達雄氏(東工大名誉教授)は話す。

・本川説(「ゾウの時間ネズミの時間」)は、心臓の鼓動は一生で約15億回、小さい動物は鼓動が早く、彼らの時間は早く過ぎていく。一方、大きい動物は鼓動が遅く、時間もゆっくり過ぎていく。人間が定めた時間でいえば、ネズミの寿命は短く、ゾウの寿命は長い。それはエネルギー消費量に比例しているという考えである。

・先生の見立てによると、人間も心臓の鼓動15億回として、生物的寿命は41歳程度である。つまり、子供を産んで育てるという生殖が終わる時期に見合っている。人生50年というのは、生き物としては当たっているという。論語に「老而不死是為賊」という一説がある。世の中は輪廻の世界なのに、歳をとって世の厄介者になってよいのか、という意味合いである。

・50歳を超えて長生きするというのは、技術が生み出した人工生命体ともいえる、と本川先生は解説する。つまり、生物としての寿命とは別に、人間社会が発展し、生物の中で唯一老後の面倒をみるという文明を作り出した。ヒトとしての社会的存在のありようのなせる業である。

・昔の歴史をみても、世継ぎが幼少期にちょっとした風邪で亡くなってしまうことが頻繁にあった。さまざまな流行り病で、大人でも老人でもすぐに倒れてしまう。栄養が十分でないので、体力的に持たなかった人々も多いと思う。その点、現在は医療や介護、社会保障が発達して、長生きができるようになってきた。

・日本は世界でも有数の長寿国であるが、世界の国々をみれば、発展途上国や紛争の激しい国々では、子供や老人が長生きできる状況にはない。

・生物は常に永遠を求めていると、本川先生は説く。つまり、個体が滅びても、子孫が永遠に続くことを望んでいる。つまり、常に次世代のためを考えて活動しているともいえる。種として子供を生み育てるという行為が、生き続けることである。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 

[PR] クレジットカード比較ランキング

んかぶピックアップ
ネット証券口座比較 ネット証券口座比較
証券口座選びを完全サポート
総合ランキング1位はこちら!
FX比較ランキング FX比較ランキング
みんためスタッフが独自調査で
おすすめのFX会社を紹介!
クレジットカード比較 クレジットカード比較
おすすめのクレジットカードを
ピックアップしてご紹介!
【株式投資初心者ガイド】 ネット証券会社選びお役立ち情報!
投資家に役立つ情報が満載
【株式投資初心者ガイド】
みんかぶマガジン> 全ての記事> その他> 生物としての寿命とヒトとしての存在