役員報酬のあり方~資生堂のケース

・事業基盤の強化には、例えば市場在庫水準の適正化が含まれている。これを実行すると、短期的な業績にはネガティブに働く可能性がある。それでもインセンティブが目標達成に結びつくように、報酬体系を考えている。

・CEOの報酬は、基本報酬50%、業績連動報酬50%のウエイトで決まる。これが執行役員レベルになると、業績連動のウエイトが40%前後に下がってくる。

・また、業績連動報酬は、①年次賞与と②長期インセンティブ型報酬に分けられ、そのウエイトは概ね半々である。①の年次賞与について、CEOは会社の業績70%、個人目標30%で評価される。一方、事業担当の役員は担当事業の評価50%、個人目標30%、全社業績20%というウエイトである。

・②の長期インセンティブ報酬はストックオプションを用いているが、1)付与個数と2)権利行使可能な個数には、それぞれのタイミングで業績条件をつけて確定するようにしている。つまり、できるだけ中長期の業績を反映できるようにしている。

・この報酬体系をみると、基本報酬という固定の割合が50~60%と高いように感じるが、会社サイドとしては3カ年の基盤固めの時期に、短期的な業績を追わないようにブレーキをかけている。業績連動報酬において、年次賞与と長期インセンティブ報酬が半々というのは、現状において妥当なところであろう。

・役位が同じ役員であっても、役割と責任は個々に異なるので、そこに差がつく仕組みを導入している。また、戦略目標の達成に向けて、短期のインセンティブとしての個人考課を30%ほど入れている。

・こうしたことがアニュアルレポートに明記してあり、IR責任者の説明によって、よく理解できた。報酬制度が会社の目標とどう結びついているかが分かるので、極めて有益である。資生堂の報酬制度とその開示は高く評価できる。今後は、マネジメントを担う執行役員がさらに自社株を多く持てるようにする工夫が求められよう。

・一般論ではあるが、オーナー型の企業のトップは、自社株を相当の比率で持っている。一方、サラリーマン型の社長やマネジメント層は、従来のしくみでは十分な株式を持つことができていない。経営者に少しでもオーナー的センスを発揮してもらうには、株式による報酬のウエイトをさらに上げていく必要がある。

・資生堂のケースでいえば、中期計画が順調に推移するならば、後半の3カ年計画がスタートする時には、基本報酬30%、年次賞与30%、株式による長期インセンティブ40%というような構成で、報酬総額をもっと上げていくような形が望ましいと考える。今後の資生堂の中長期展開力、魚谷CEOのリーダーシップと取締役会のガバナンスの実効性(効かせ方)に注目したい。
 

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