コーポレートガバナンスをIRする

・6月に日本IR(インベスターリレーションズ)学会で、東レの内田章常務の講演とその後のパネルディスカッションを聴いた。企業の立場からコーポレートガバナンス(CG)をどう考えるか、CGとIRはどのような関係にあるのか、というテーマであった。そこでの議論で印象に残った点をいくつか取り上げたい。

・欧米でCGというと、守りのガバンスであって、リスク回避、不祥事防止という色彩が強い。一方で、日本では‘攻めのガバナンス’にフォーカスしており、企業の稼ぐ力をもっと上げろといわれている。

・なぜ稼ぐ力が弱いのか。内田常務は、1)日本の風土、価値観という外的要因と2)経営力という内的要因、その両面に原因があると指摘する。企業は社会の公器であり、三方よしという考えが根付いている。1社だけで高収益というわけにはいかない。また、参入障壁への感度が弱いので、すぐに過当競争に陥り易い。自前主義、単品主義でオープンイノベーションの意識もこれまでは弱かった。この点、米国はドライで徹底している。

・攻めのガバナンスを企業からみると、1)イノベーションの創出には10年単位の時間を要する、2)よって長期投資の継続が必要である、3)短期的リターンが目標ではない、4)そのことを投資家に分かってもらいたい、と内田常務は強調する。

・経営者には、リーダーシップと先見性が求められるが、それだけでは暴走する可能性がある。そうならないようにバランス感覚を働かせる必要があり、それを支える仕組みも求められる。自律と他律のバランスが必要で、ROEだけのKPIでは不十分である、と指摘する。

・独立社外取締役には、1)利益相反の監督と、2)持続的成長に向けた経営への助言が求められる。よって、深い見識が必要であり、その力が発揮されるような体制を作っていく必要がある。一方で守りの機能も重要であり、この点からは常勤の監査役がしっかり活動できる仕組みも重視すべし、と強調した。

・機関投資家への期待としては、1)くれぐれも長期的視点で経営をみてくれること、2)議決権の行使に当たっては、単一の指標を機械的に当てはめるのではなく、各企業のエクスプレインの内容をよくみて判断してほしいという。

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