分岐点、Brexitであく抜けか、中国危機封じ込めがカギを握る

英国の世界金融拠点上での競争力は容易に損なわれず

 グローバリゼーションの主要素、資本主義、市場経済、民主主義と英語、諸法体系とビジネスプロトコルなどの母国は米国とともにイギリスである。イギリスは米国とともに世界秩序の主柱であり、依然として英連邦の主宰国であり、多様な国際関係の中核国である。英国の国際金融拠点、サービス業拠点としての地位はBrexit後も変わらないのではないか。実際スイスはEUには加盟していないが、EUとの健全なビジネス関係を構築している。

英国が反グローバル化するとは考えられない

 そもそも、これほどまでの開放的経済大国化した英国が、Brexit が現実化したからと言って、巷間語られるような閉鎖主義、排外主義に陥るとは考えられない。むしろ英国はEU以外の諸国・地域との連携を強め、別な形でのグローバリゼーションの深化を図るのは確実であろう。言うまでもなく今後の世界経済成長を牽引する地域・国は米国、インド、ASEAN、アフリカなど、むしろ非EU圏にある。大英帝国の遺産である英連邦を基礎とした国際的ネットワークの翼をそれらの国・地域に広げると言う選択肢が浮上してくるとすれば、EU側も、離脱後の英国を冷たくあしらうわけにはいかないだろう。ましてイタリア、スペイン、ギリシャなどの南欧諸国が(いかにポピュリズムが台頭しているとはいえ)EU離脱により、現在手にしている信認の高い通貨(ユーロ)と有利な金利を手放すとは考え難い。それは危機に瀕したギリシャのチプラス政権の変身を見ても明らかであろう。このように見てくると、Brexitが、欧州統合の崩壊の始まりとかグローバリゼーションの失敗や終焉等と言うセンセーショナリズムは極論であることが分かる。

 このように考えると、Brexitにまつわる市場の乱舞はいったん終焉すると見て良いのではないか。

中国危機の封じ込め動向が喫緊のポイント

 とは言え市場が直ちにリスクテイク環境に入れるか、は簡単には断定できない。それはBrexitの英国とは比べ物にならないほどの大きな不確実性が中国をめぐって存在しており、その帰趨は予断を許されないからである。

 中国危機が始まり、市場はそれの織り込み局面に入っている。危機の深化と言う点で、三つの要因が指摘できる。第一に中国では物の成長(鉄道貨物量、粗鋼生産量、発電量、輸出輸入量など)が停止した。第二にアキレス腱としての外貨事情の悪化、人民元下落が国内金融危機の引き金を引くことが見えてきた。第三に路線対立、習近平氏と李克強氏との路線対立が顕在化し統治能力に疑問符がでている。中国に対する信認の核心、圧倒的に強力な統治能力が劣化するとなれば、投資家は人民元と中国のリスク資産投資に対して無防備ではいられなくなる。中国危機という深淵の困難がほぼ確かになった今、あらゆる投資場面では、リスク回避派が有利となっている。ここ半年間日本株式は一人負けしているのであるが、その原因はもっぱら日本円の異常高にあると考えられ、日本株一人負けは、円高と共振現象を起こしたことにあると言える。ではなぜ日本円がことさら強くなっているのか。それは人民元切り下げ回避を求める米財務省が、円高容認をその犠牲として差し出していること、それが突如の円高をもたらし、日本株の独歩安を引き起こしていると観測されるのである。(武者リサーチストラテジー・ブレティン160号5/2、162号6/6参照)

リーマンショックの再来は無い

 今後のシナリオは二本立てで行くべきであろう。危機深化は否定できないが、中国危機封印により過剰悲観の修正高の可能性もある。以下の3つの理由によりリーマンショック再来の可能性は小さい、①当時と異なり事前の過剰楽観し無く、資産バブルは限定的であること、②政策がフレンドリーであること、③企業の高利潤が持続していること、である。中国危機封印されれば意外な株高の可能性もあり得る。タイミング的には9月杭州のG20サミットを前に、世界的リリーフラリーが起きる可能性もある。となれば先週6/24日の日経平均安値はダブルボトム形成となる公算が考えられる。しかし二つ目の危機深化シナリオでは、人民元相場と中国外貨準備高の帰趨がその引き金を引くと思われるので、この二つの数字には要注意である。
 
zu7-8
 

1 2 3

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 分岐点、Brexitであく抜けか、中国危機封じ込めがカギを握る