リスク管理Qs&As:Q2、英国のEU離脱は?

Q5:2015年1月16日にスイスフランショックがありました。あまりに相場が変動しましたので、損切約定ができなかったり、更に強制ロスカットも執行されませんでしたので、大変だったようです。なぜ強制ロスカットが執行されなかったのでしょうか?

 ブローカーは売注文に対してカバーされているはずだと思うのですが、カバーがされませんでした。そのようなケースを回避する方法はありますでしょうか?

A5:「通常の変動幅だと執行される損切りオーダーが、異常な変動幅だと執行されない。通常時には、短時間でも評価損が膨らめば執行される強制ロスカットが、異常な値動きで、長時間にわたって評価損が広がり続けても執行されない。これでは何のためのリスク管理かが分からない。あってはならないことだ。」

 そんなことが、実はあるのが、相場です。以下は、私の知識や体験してきたことから推測です。特定のFX業者や銀行を指しているわけではありません。

 そのようなことが、なぜ起きるのかを、あなたが残したオーダー、あるいはポジションの流れを知ることで、理解して頂きたいと思います。

 あなたはFX業者と取引します。FX業者の業態はブローカーで、取次の仲立ちを行います。つまり、あなたが行った取引は、実際には外為銀行と行っています。

 外為銀行は他の外為銀行や、輸出入企業、機関投資家と大口の取引を行っています。一回の取引にかかる人件費を含むコストは金額の大小に関わらず、ほぼ同じです。なので、外為銀行にとっては、大口取引の方が、コストパフォーマンスがいいのです。

 それで、海外旅行者などが外貨を購入する際には、流動性の最も高いドル円でさえ、1円の手数料を取ります。他の通貨だと、その数倍も取ります。支店はそういった小口の外貨取引を集めて、本社、本店の外為ディーラーに渡します。それだけ手数料があれば、外為銀行にとっては収益の見込めるビジネスとして成り立ちます。

 具体的に外為銀行のどこが、どの部署が、FX業者と取引しているのかは知りませんが、外為ディーラーは基本的に小口の取引を好みません。ましてや、FXのビッドアスクはミニマムで、手数料はほぼゼロです。

 FX業者と取引する外為銀行は、大口の顧客を持たないところか、大手だとすれば、FX業者専門のカスタマーディーラー(セールス)の窓口を設けている所だと思います。そこで、小口をそれなりの金額にまとめて、外為ディーラーに渡すのです。でなければ、機械で処理するシステムを構築しているのです。

 これは通常の値動きだと機能します。損切りオーダーや強制ロスカットが無事に執行されるのは、その為です。しかし異常時には、おそらく機械では処理できません。誰も機械に対してレートを提示しないので、レートがなくなるからです。

 また異常時には、外為ディーラー自身が自分や自社の他の部署のポジションのオーダーでてんてこ舞いです。大口の優良顧客の相手もしなければなりません。彼らとは、昔からの、またこれから先も、長く付き合っていく相手だからです。

 外為ディーラーにとって、FX業者はどうか? FXのビッドアスクがミニマムであることを鑑みると、仮に大口にまとめてくれる業者でも、それほど優良とは見なしていないかもしれません。後は、担当者同士の人間関係だけです。もし、そのFX業者が外為銀行の担当セールスと良好な関係を築けていなかったら、あるいは築いていても、その担当セールスが自社の外為ディーラーに軽く見られていたなら、外為ディーラー自身が生きるか死ぬかの瀬戸際の時にリスクを取っての、レート提示は期待できません。そのような時のディーリング・ルームは、大喧嘩になっているのが常です。

 相場だけに限らないとは思いますが、最後の拠り所は人間関係なのです。

 FX取引を行う人は、自分が顧客だと思い、完全なるサービスを期待します。ところが、どこの世界に手数料を払わない顧客がいるのでしょう。その意味では、FX業者のビジネスは、なかなか厳しいのではないかと推測します。

 そういう状態で、異常な値動きの時に、顧客と外為銀行との板挟みになるのが、FX業者です。FX業者は仲立ち人ですから、カバーできずに損失が出た時には、顧客か、外為銀行のどちらかに損失を受け入れて貰うしかありません。そういった究極の選択に迫られた時には、長く付き合える相手を選ぶのは自然です。

 リスク管理としては、高レバレッジを含む、大きな資金を使う時は、ポジションを持ち越さないこと。持ち越す時は、強制ロスカットが入らないような、なくしてもいいような金額にして、損切りオーダーは入れないことです。

 損切りは大切ですが、損切りオーダーはメリットよりも、デメリットの方が大きいと言うのが、外為のプロップ・ディーラーとして、有利な立場でいた時にでも、痛感していたことです。

 

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