2016年6月1日時点での主要市場見通し

・こうした緩やかだが明るい流れが、長期的に継続すると見込むが、6~7月は短期的な波乱要因が多いものの基調は明るく、その後、7月以降は、半年程度の株価・外貨の調整期にあたる恐れがある。ただし数年単位の流れは、株高・外貨高を見込む。すなわち、足元から7月頃までは、短期的な波乱を交えながらも株高・外貨高基調、そこから今年末ないし来年初めころまでは、株安・外貨安の調整色がにじむが、数年単位での大きな明るい流れを壊してしまうほどではない、という相場展望だ(日経平均株価で言えば、波乱含みながらも7月までに2万円超えとなるが、年末に 18000円程度に下押しし、2017年に再度上昇基調に復するというイメージ)。

・まず、6~7月の波乱要因としては、1)日銀の金融政策決定会合、2)米連銀のFOMC、3)英国のEU離脱を巡る国民投票、が挙げられる。

・日銀の当面の金融政策決定会合は、6/15(水)~6/16(木)と、7/28(木)~7/29(金)に開催される。一時に比べ対米ドルで円安に振れ戻り、多くの企業が収益計画の前提とする 110円前後の推移となっていることや、政府が消費増税の再延期を打ち出し、さらに他の経済政策を打ち出してくる構えになっていることから、日銀が追加緩和を急ぐ状況ではない。もちろん、市場動向が急変すればそれを受けての日銀の対応が見込まれるが、様々な策の手詰まり感が強まっているなか、あえて6~7月に追加緩和を打ち出す状況ではないだろう。

・ただし、引き続き一部の海外投資家のなかには、「予想もしないような策を打ち出してくるのではないか」との、根拠が薄い観測が根強い。こうした期待が外れることで、短期的に国内株価や米ドル円に売りが嵩み、波乱が生じる展開はありえよう。

・米FOMCは、6/14(火)~6/15(水)と7/26(火)~7/27(水)に開催される。一部の連銀高官から、6月利上げの可能性を示唆する発言が相次いだが、これは市場が6月はあり得ないと決め打ちしていた空気をけん制したもので、6月利上げの方針が決定されたわけではない。今後の経済統計や市場動向にもよるが、イエレン議長を筆頭に足元の状況を見極めようとの意向が強く、どちらかと言えば7月に0.25%の利上げが行なわれると見込む。

・連銀の利上げは、極めて慎重でタイミングを見極めたものであり、また利上げ幅も0.25%と小幅だ。したがって、利上げが実体経済や資金の流れをかき乱すようなものではない。しかし市場は、本来は波乱要因ではないものを波乱要因として上下に騒ぐことはあるので、連銀の金融政策が市場動向の大きな流れを変えてしまうことはないが、短期的な波乱はありうると懸念する。

・英国のEU離脱の可否を問う国民投票は、6/23(木)に実施される。世論調査によって、EU残留派と離脱派のどちらが優勢かが異なっており、結果は微妙な情勢だ。ただ、EU離脱という結果になった場合、もちろん英ポンドやユーロ等の欧州通貨、欧州株価などについては、相当の波乱が生じ、それが米ドル相場や日米等主要国の株価にもぶれを引き起こそうが、世界市場が大きな混乱に巻き込まれるとは考えていない。その理由をいくつか挙げると、次のようになる。

1)今年2月頃の、離脱論の台頭時に、市場は離脱の可能性を相当に織り込んでしまっている。たとえば英ポンド相場は、2月下旬に、対米ドルでは1ポンド 1.39米ドル割れで、底値を付けた様相だ。国民投票で離脱が決定し、再度 1.40米ドル水準を割り込んだとしても、大きく下回り続ける可能性は薄いと見込む。

2)国民投票で離脱が決定しても、すぐに離脱するわけではない。おそらく2年程度と言われる準備期間を経て、他欧州諸国との様々な取り決めを定め、その後離脱となる。

3)英国の離脱論の背景は、移民に対する拒否感情と、英国は金融業が基幹産業であるため、欧州大陸諸国の比較的厳しい金融業規制と歩を合わせたくない、という2点が主なものだ。したがって、英国としては、欧州大陸諸国との経済・金融面での結び付きは極力維持し、経済的なデメリットが出ないよう、準備期間における条件交渉を行なっていくだろう。もちろん、英国の好き放題にできるか、という点や、スコットランドはEU残留を希望しているため、スコットランドの英国からの離脱論が再燃する、という不安要因はあるが、英国のEU離脱が経済的な悲劇ではない、という点が知れ渡るにつれて、市場の不安も沈静化していこう。

・こうして、内外の多くの株価や外貨相場は、7月辺りにかけて、波乱含みながらも上値を探ってくると予想するが、そこから年末にかけては、不安要素が頭をもたげてくると懸念される。そうした不安要素とは、次の通り。

1)7月頃に向けて、連銀の利上げを消化して、米景気に対する楽観論が広がり、米株価が上昇していくと、それが米長期金利上昇を招くと予想される。米長期金利の動きが緩やかであればよいが、急速な長期債価格の下落(長期金利の跳ね上がり)が生じると、それが米国の景況感や米国株価・米ドル相場を、悪い方向に振り戻す恐れがある。

2)11月の米大統領・議会選挙に向けて、選挙のための米ドル高抑制発言(「米輸出製造業の雇用を守る」などの名目で)が繰り返されることで、米ドル安・円高が進むと懸念される。

3)日本では、7/10(日)が有力視される参議院選挙の後、安倍政権の経済政策への力の入れ方が緩むことが不安視される。それでも、秋頃には第二次補正予算の具体化が進むと見込まれるし、仮に経済政策を何も打ち出さなかったとしても、景気が一気に悪化するわけでもない。ただ、前回の安保関連法案の審議の際も、外国人投資家の間では、「経済政策に対して政府が手抜きになっていることを憂慮している」との意見が多かった。

・こうした諸点から、決して長期的な株安・外貨安を見込むわけではないが、年後半は、半年程度の調整相場を予想している。

以上、シナリオの背景。
このあと、前月号(2016年 5月号)見通しのレビュー。

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