2016年6月1日時点での主要市場見通し

・インドについては、経済・政治の安定感から、先進国と似た株価・通貨の動きとなっており、先進国と同様、2月の方が株価が安い。中国は、景気が失速に向かってはいないものの減速が続いていることから、株価は底這いを続けている。

・なお、話が脇にそれるが、直近の日本株の位置をみると、図表で取り上げた6か国および1地域(ユーロ圏)のなかでは、中国に次ぐ低位置にある。これまで述べてきたような世界の懸念要因は、ことごとく日本以外からのものであるのに、この株価不振である。その背景要因は、次のようにいくつか考えられる。

1)日本株の売買高における外国人投資家の比率が高く、日本国内で何らの悪材料がなくても、世界的な不安から全般的に株価が下落するとの懸念が広がると、グローバルな投資家が世界の株式をまんべんなく売ることとなる。その際、日本では国内投資家が独自の相場観から買い向かうことが少ないため、海外投資家の売りを日本だけが十分に吸収できず、株価の下落が大きくなってしまう。

2)日本については、米ドル円相場に対し、株価の反応が過敏である。これは、日本の主力株にグローバル企業が多い、といった点もあるが、過去に「円高=株安」という相関関係が高かったため、それに基づいたプログラム売買が、円高の際に日本株全般(株価指数先物など)を売り込んでいるものと推察される。

・議論を、世界市場が1~2月の売られ過ぎを脱却しつつある、という話に戻すと、様々な市場を個別に長期的にみても、たとえば米国株式・債券市場においては、イールドレシオ(S&P500株価指数の予想PER×10年国債利回り)が、2008年 12月(リーマンショック)、2012年7月(スペイン財政危機)に続いて、今年2月に大きく低下した(図表3、187週のリズムを示しているが、今年2月のイールドレシオの底は、2/12に終わる週で、2週間だけずれている)。イールドレシオの低下は、米国経済に対する、市場における悲観論を示していると考えられる(企業収益の先行きに悲観となれば、足元の企業収益水準が高くても株価が売られてPERが下落し、景気悲観から長期金利も低下する)ため、今年2月のタイミングで過度の悲観が一巡し、楽観に向かい始めたとすれば、ちょうど良い頃合いであったと言える。

・また、国際商品市況で、白金の先物価格と金の先物価格の、価格差をとってみた(図表4)。この価格差が上下する理由として、景況感の浮沈が挙げられる。というのは、白金も金もともに貴金属ではあるが、金は用途の約8割が宝飾用で、工業用等産業関連の用途は15%程度とされている。これに対し白金は、宝飾品需要は全体の2割程度で、半分が自動車触媒用、1/4がその他産業用とされており、白金の方が一般的な景気動向に価格が左右されやすい。したがって、商品先物市場における世界的な景況観を反映して、グラフが上下していると推察できる。

(図表3)
zu3
 

(図表4)
zu4
 

・すると驚くべきことに、(図表4)のグラフの底は、(図表3)の米国のイールドレシオの底と、ほぼタイミングが一致している。すなわち、米イールドレシオも、白金と金の価格差も、ともに、現在は景気悲観論からの脱却過程の初期にあたる、という可能性を示唆していると言える。

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