鎌倉新書 清水祐孝社長インタビュー

成長続く「終活ビジネス」のいま!

●清水祐孝氏(鎌倉新書 代表取締役社長)

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 超高齢化社会の進展とともに、人生の終焉に備える「終活」ビジネスが活発化している。このライフエンディング関連のビジネスで注目を集めているのが、昨年12月に東証マザーズに上場した鎌倉新書 <6184> [東証M]だ。ライフエンディングに関するポータルサイトの運営と書籍出版事業を手掛ける同社の清水祐孝社長に、事業の現状と今後の展望を聞いた。

――事業内容を教えてください

 「いい葬儀」や「いいお墓」、「いい仏壇」といったライフエンディング関連のポータルサイトの運営を行っています。「鎌倉新書」は仏教関連の書籍を専門とする出版社として私の父が設立しました。私は大学を卒業し証券会社に就職した後、当社に入社しましたが、仏教書出版のマーケットは限られており、突破口はないかと考えていました。調べてみると葬儀やお墓、仏壇などの市場は2兆円規模の巨大な個人消費のマーケットであることが分かりました。そこで、当社が売っているのは情報であり、「出版社ではなく情報加工業」であると捉え直し、2000年以降はインターネット事業に本格的に舵を切りました。高齢化の進展で今後、亡くなる方は増えていきます。当社サービスのメーンユーザーは40~60歳代ですが、この世代のネットリテラシーの向上とともに利用者数は増えています。当社のシェアはお墓で1%、葬儀で0.2%程度であり、まだ開拓の余地は大きいとみています。

――ユーザーや事業者にとっての利点は何ですか?

 これまで葬儀やお墓に関する情報は親戚や地域のコミュニティ内で共有されていた面があります。しかし、都市化や産業構造の変化により同じ場所で一生を過ごす方は少なくなっています。地方に生まれ、都会に出てくる人も多く、葬儀やお墓の情報はインターネットに頼るしかない状況が生じています。実際、当社の売り上げの大部分は一都三県のほか大阪・名古屋などの大都市となっています。一方、事業者側は広告に多くのコストをかけていますが、葬儀やお墓を探している人が多いわけではありません。そこで、我々がお客様を集め、パートナー企業とマッチングさせることで手数料収入を得ています。お客様への情報提供と事業者のニーズに合致した面があります。

――競合企業はありますか?

 葬儀分野ではイオン <8267> が参入しているほか、ネット専門企業もあります。しかし、「葬儀」「お墓」「仏壇」といった3つの分野を横断して一手に引き受けられる事業者はないと思います。また、市場自体が伸びているため、ライバルという認識はあまりありません。葬儀や、お墓の紹介は、それほど特殊なサービスではありませんが、葬儀やお墓には地域ごとの特徴があります。特に葬儀社や石材店は地域密着型の小さな会社が全国に何千社もあり、ネットワークを構築していくには時間を要します。当社は仏教関連書籍に特化した出版社としてのバックボーンがあり、これまで業界内で培ってきた知名度やネットワークがあったことが強みとなっています。また、コールセンターではユーザーの悩みを聞きながら情報提供を行っている点も差別化につながったと思います。

――足もとの業績は堅調ですね

 ヤフー <4689> と共同で展開している「Yahoo!エンディング」での事業費も一巡し、業績は巡航速度に戻っています。今後も市場は伸びていくため、既存事業では当面年20%程度の売り上げ増を目指したいと考えています。また、知名度とブランド力のアップに向けて、できるだけ早く東証1部にステップアップしたいと思います。そのタイミングで、株主還元も実施できればと考えています。

――最後に今後の事業展開を教えてください

 今期や来期という目先のことではなく今後10年間の利益の総和を最大限にしていきたいと考えています。そのためにも、まず既存事業を成長させ、そのなかで新たなニーズが起こっているものを伸ばしていく方針です。さらに人生の最終局面での問題の解決には、当社のサイトに来るという流れを作りたいと思います。供養の前後に起こるさまざまなニーズを解決するために「看取り」や「遺産相続」など「終活」関連のサービスを展開していきます。当社の祖業は出版ですが、いまから10年も経ったら「我々のインターネット事業は葬儀、お墓、仏壇から始まった」と言えるようにする感覚でいます。

(聞き手・岡里英幸)

●清水祐孝(しみず・ひろたか)氏
鎌倉新書代表取締役社長。1963年生まれ。慶応義塾大学卒業後、国際証券(現、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、90年に鎌倉新書に入社。仏教関連の出版社だった同社を葬儀・お墓などライフエンディング関連の情報ビジネスに業態を転換させる。

●鎌倉新書
会社設立は1984年。仏教関連の出版社としてスタートし、インターネット事業に進出。2015年12月に東証マザーズへ株式上場。「いい葬儀」「いい仏壇」「いいお墓」の3ポータルサイトを主力に展開。サイトを利用する個人とパートナー企業をマッチングさせて得る手数料収入を主な収益としている。

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