セブン&アイ・ホールディングスの事例からコーポレートガバナンスを考える

経営トップの人選から、コーポレートガバナンスを考える

 コーポレートガバナンスを考える上で、重要な点は複数あるのですが、金融庁が意見書において「最高経営責任者(CEO)の選解任は、上場会社にとって最も重要な戦略的意思決定」であると指摘していることからもわかる通り、あえて一つを取り上げると、「経営トップの人選が適切かどうか」という点になります。経営トップが人格的に優れ、ビジネスにも精通していれば、その会社の利害関係者は満足を得られる可能性が高くなります。ただし、経営トップの人格やビジネススキルを客観的に判断することは簡単ではありません。また、ビジネスの環境は常に変化しますし、経営者自身の思考や健康状態も常に変化するので、ある時点での人選が将来にわたっても最適であるという保証はありません。そこで、経営者を指名する際や評価する際に制度化された「仕組み」を導入することで、人選が適切に行われるような工夫が必要となります。

 今回のセブン&アイ・ホールディングスの社長交代は、経営者の指名と評価のための仕組みとして今年3月に新たに「指名・報酬委員会」が導入され、結果として4月に社長交代となりました。詳細な説明は省きますが、3月に指名・報酬委員会の制度が発足していなければ、鈴木氏が会長留任となり、新社長となった井阪氏がセブン-イレブンの社長から外れ、結果はまるで異なる形となっていたとみられています。まさに、経営者の選解任についての仕組みが、実際の人選結果を左右する結果となりました。

 そして、この指名・報酬委員会を導入するに至った背景には、株主や社外取締役など、会社の内部論理では動かない人々からの要請があったとみられています。株主が単に利益配分を増やすというような短期的な利益ではなく、中長期の会社のあり方について提言を行って、それが会社に影響を与えたという点から、今回のセブン&アイ・ホールディングスの一件は日本のコーポレートガバナンスが新たな時代を迎えたことを示す事例として語り継がれることが予想されます。

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 
みんかぶマガジン> 全ての記事> その他> セブン&アイ・ホールディングスの事例からコーポレートガバナンスを考える