セブン&アイ・ホールディングスの事例からコーポレートガバナンスを考える

株主構成の変化がもたらすコーポレートガバナンスへの影響

 日本では、株式市場においては以前からコーポレートガバナンスについての議論が行われていましたが、社会全体がそれを重要な議論として取り上げることはあまり多くはありませんでした。また、取り上げられたとしても、一部の投資家が自身の利益を最大化するために会社に対して意見をする、というような捉え方がされることが多かったように感じられます。しかし、近年はコーポレートガバナンスについての見方に大きな変化が起きており、企業にとって、コーポレートガバナンスの体制をきちんと整備し、社外にわかりやすく伝えることが、社会的な責任の一つと捉えられるようになってきました。この変化の背景にある一つの要因は株主構成の変化です。
 
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 図表1に示した通り、30年前まで遡ると、日本企業の株主のうち、3分の2は金融機関や事業会社が占めていました。これらの株主の多くは相互に株を保有するいわゆる「持ち合い株主」という関係にありました。通常、株主は企業が利益を上げて、投資に対してきちんとした利益還元をしてくれることを望みます。また、外部からは企業の意思決定メカニズムについて見えにくいので、透明性の高い仕組みを求めます。一方、持ち合い株主はビジネス上の関係を安定的にさせることが目的で株を保有しているという理由から、利益成長や株主に対する還元を強く求めない傾向にあります。

 また、顧客や債権者という立場で投資先の情報を得られることから、意思決定についての透明性についても問題視してきませんでした。しかし、過去30年の時間の流れの中で、株式持ち合いの解消の流れや、外国人投資家による日本株保有比率の上昇などが要因となって、持ち合い株主の比率は3分の1に低下し、代わりにそれ以外の一般的な株主の比率が3分の2に上昇し、以前とは正反対の株主構成へと変化しました。その結果、多数派となった一般的な株主にきちんと報いる仕組みが求められるようになり、それがコーポレートガバナンスについての議論が盛んに行われるようになった背景にあります。

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