米国発近隣窮乏化政策の危険

リーマンショックとの類似性、円高日本株安が放置されれば世界不況が起こり得る
 いつまでも犠牲を日本円に押し付けると、それは米欧に逆噴射するというリスクもある。唯一著しい通貨高になりデフレと株安圧力が高まる日本の経済困難が進行する。日本の困難は量的金融緩和、マイナス金利を駆使しつくした中央銀行の無力化、無能化という観測がある。過去極めてパワフルであった政策発動の株価押し上げの効果は、1月29日の満を持してのマイナス金利導入では全く効かなかった。それどころかそれ以降一段と株安円高が進行し、日銀は政策的に無能化しているとの観測が、メディアを埋め尽くした。今回の日銀の追加緩和なしという対応は、それらの日銀無能論をさらに強めるものであり、日銀路線に沿ってリスクを取っていた人々の土台を崩した。しかし量的金融緩和やマイナス金利が無力ということになると、それは容易に同様の政策を採り続けてきた米国FRBと欧州ECBの危機対応能力に対する疑義となり、世界株安を引き起し国際金融不安を一気に高める道にもつながる。中国発金融危機の世界株安を演出した投機筋は日本売りでさらに破壊力を強めつつある。次のターゲットが史上最高値水準にある米国株式となる可能性にも目配りしたい。リーマンショックの本質は相次ぐ市場の暴落悪循環により、破壊力を強めた売り方が、株式や社債の市場価格を本源的価値から大きく下回る時点まで引き下げ、それによって引き起こされた資本毀損と売りの悪循環が市場崩壊をもたらしたことにある。市場に発生したミスプライシングが放置され続ければ、大きな市場崩壊につながるという危険を忘れるべきではない。

 これから先の展開は3つのシナリオに分かれるだろう。第一は自律的な行き過ぎた円高株安の大転換。米国経済の堅調持続のもとで米利上げによりドル高転換、米株高とドル高で日本株高が起きるというシナリオ、第二は日本の政策の大発動による円安株高への転換(政策とは市場を驚かす新機軸の金融緩和と消費税増税先送りと財政出動、為替介入)、第三は世界金融危機の深化シナリオ。米国経済衰弱によるドル安が世界的株安とともに進行、中国危機も再度顕在化し、昨年8月から起こった世界危機はさらに激しさを増し世界不況を引き起すという恐怖シナリオ。この間の円急騰日本株暴落は、これまでほとんど排除されていた第三の恐怖シナリオの可能性を排除できなくなった、ということではないか。米国経済、中国経済と日本の政策が注視される。
 

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