S&P 500 月例レポート

投資家が押さえておくべきポイント

・3月のS&P500指数は6.60%の大幅上昇となり、3月としては2009年同月の8.54%の反発以来最大の上昇率を記録しました。第1四半期のS&P500指数は2月11日までに年初来で10.51%下げた後、FRBの市場を支援する姿勢を受けて、それ以降は12.61%上昇して結局0.77%のプラスとなりました(配当を含めたトータルリターンはプラス1.35%)。S&P500指数の時価総額は、3月に1兆300億ドル、年初来では590億ドル増加しました。

・多くの中央銀行が株式市場のマーチマッドネス(3月の狂乱)に貢献しました。ノルウェー中銀は政策金利を0.75%から0.50%に引き下げ、マイナス金利導入の可能性を示唆しました(マイナス金利を導入する中銀が増えています)。ハンガリー中銀も翌日物預金金利を0.15%からマイナス0.05%に引き下げました。日銀は日銀当座預金金利をマイナス0.1%に据え置き、国内の景気判断を下方修正しました。米国では、市場を支援する姿勢を取ってきたFOMCが、政策金利の見通しを従来の半分の水準に引き下げ、年内の利上げが12月時点の想定の4回よりも少ない2回となることを示唆しており、今後も支援する姿勢を維持したい意向のようです。3月末のイエレン議長の講演を受けて、一部では利上げ幅はさらに半分になる、すなわち年内の利上げ回数は1回にとどまるとの観測も浮上しています。

・世界的にビジネス環境が悪化する中で、各国で輸出と輸入が減少しました。中国の2月の輸出はドル建てで前年同月比25.4%減、輸入は同13.8%減、日本の輸出は同4.0%減、輸入は同14.2%減、また、米国の輸出は同6.0%減、輸入は同6.1%減となりました。

・米国の2015第4四半期のGDP成長率確報値は前期比年率1.4%増となりましたが、2016年第1四半期のGDP成長率予想は、同1%を下回る水準に低下しています。

・M&Aがようやく勢いを増しつつあり、M&Aをめぐる企業の攻防も激しくなっていますが(誰かから求められることは常に良いことです)投資銀行の2016年第1四半期のEPSに寄与するには遅すぎたようです。Yahoo!は、旧態依然とした委任状争奪戦を突き付けられました。

・市場は企業の人員削減に対して、Avon(AVP)とBoeing(BA)には買いで、Blackrock(BLK)とCredit Suisse(CS)には売りで反応しました。

・VIX恐怖指数は、多くの投資家が近いうちに同指数が目を覚ますことに賭ける中、まるで鎮静剤を服用したかのように「何も問題などない」といった様子で推移して13.95で月を終えました。もっとも、Valeant Pharmaceuticals(VRX)の3月の60.0%という下落(2015年8月からは90.0%の下落)に目を覚ます思いをした投資家もおり、これはバイオ医薬品株の投資家の一部にとっても同様でした。

・原油価格は2月末の1バレル33.78ドルから3月中旬には大きく上昇して一時41.66ドルを付けた後、38.11ドルで月の取引を終えました。これはかなりの反発と言えますが、上昇に大噴出する油井のような勢いはなく(特に2015年末の37.04ドルと比べれば)、原油価格は引き続き当面は値固めを目指すことになります(ウォール街ではよくあるように)。

・自社株買い戻しによるEPSへの多大な影響は、2015年第4四半期にさらにやや強まりました。昨年第4四半期には、S&P500指数構成企業のうち株式数の減少が4%以上のEPSの押し上げにつながった企業の割合が、それまでの各7四半期の20~23%から25%に拡大しました。

・強気相場は7歳の誕生日を祝いましたが、過去強気相場が継続した期間は平均で5年未満となっており、お祝いに米国退職者協会(AARP)の会員資格を購入してあげるタイミングかもしれません。

・S&P500指数構成企業の2015年の設備投資額は前年比2.8%減となりました。ただし、エネルギーセクターの26.7%減を除けば、8.2%増加しました。

・2016年3月30日夜現在、S&P新興国総合指数は月初来で11.85%上昇しており、3月の上昇率は2011年10月の12.23%上昇以来最高となる可能性があります。2011年10月当時は上昇に先立って、同指数は9月に15.19%、8月に8.89%下落していました。

・オバマ大統領がキューバを公式訪問する中(米国の大統領としては88年ぶり)、企業の間ではキューバでのビジネスチャンスに熱狂的な目が向けられました。そうしたビジネスチャンスの中にはキューバのビンテージ車のアンティークカー取引もありますが、過去最高販売台数の更新が続く米国の自動車業界は買い替え需要に対する強い期待が寄せられました。

・米大統領選挙の州毎の予備選挙(別名、じわじわとした水責め)では、トランプ(共和党)、クリントン(民主党)の両最有力候補が本戦に向けて前進する結果となりました。共和党の指名候補争いは、党大会での決選投票に持ち越される可能性が依然として強く残されています。市場は予想される結果にまだ反応を示していませんが、大勢が判明すれば、資産配分を見直して反応することになります。世界でもこれに匹敵する政治イベントが英国で展開されていますが、英国での投票が米大統領選よりも4カ月早いことは明るい材料です(英国のEU離脱を問う国民投票は6月23日、米国の大統領選挙は11月8日)。

・多発テロ事件が発生して大きく取り上げられる中、安全保障と市民を守る上での政府の役割に対する懸念が再度高まりました。ウォール街からは、こうしたイベントは今や想定内であり、市場を混乱させることはないとの悲しいコメントが聞かれました。

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