S&P 500 月例レポート

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FRBのおかげで見通しが好転した

世の中が幾つかの大きな事件に関するニュースで持ちきりとなる中、世界の市場は3月に全体的に上昇しましたが、取引への影響はそれぞれ全く異なりました。3月にブリュッセルで発生したテロ事件では31名の方が亡くなり、テロ対策における各国政府の協力体制が世界レベルで議論されるとともに、治安と人権の両立が大きく取り上げられましたが、直接的な影響を受けた国を含め、市場への影響は限定的でした。ただし、市場がこのような事件に慣れてしまい、今後さらに起こる可能性が予想されることが懸念されます。2つ目の事件は原油価格で、3月に大きく反発して一時41ドルを回復し、最終的に38.25ドルと、2月末の33.78ドルから上昇して3月の取引を終えました。エネルギーセクター(3月は9.18%高)への影響は直ちに表れ、原油価格の上昇は下落の時と同様に全セクターの株価を押し上げました。3つ目の大事件は中央銀行による2つの動きで、市場は原油価格よりもさらにすばやく反応しましたが、その影響は短命に終わりました。1つは金利引き下げで、欧州中央銀行(ECB)は預金金利をマイナス0.30%からマイナス0.40%に、政策金利を0.05%から0%に、限界貸出金利を0.30%から0.25%にそれぞれ引き下げました。もう1つは資産買い入れプログラムの対象を金融機関以外の企業の社債にも拡大すると同時に、月間の購入額を600億ユーロから800億ユーロ(870億ドル)に引き上げることが決まりました。今回のECBの決定は、2015年12月の失望感を一時的に埋め合わせましたが、直後にECBがしばらくは追加の利下げを行わないとの見方を示したことで、株式や通貨は逆の動きとなりました。他の中央銀行を見ると、米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で大きな動きはありませんでしたが、2016年中に実施する利上げ回数が2回となる可能性を示唆し、2015年12月に想定していた4回から引き下げました。市場では動揺も見られましたが落ち着きを取り戻しました。3月末のイエレン議長のハト派的な発言では、金利引き上げが極めて緩やかなペースで行われ、今年上半期中に利上げが行われない可能性が示唆されました。ノルウェー中央銀行は政策金利を0.75%から0.50%に引き下げ、マイナス金利の可能性もあり得るとの見方を示しました。ハンガリーでも翌日物預金金利が0.15%ポイント引き下げられてマイナス0.05%となりました。日銀は国内経済の見通しを下方修正したものの、政策金利をマイナス0.1%に据え置きました(予想通り)。もう1つの大きな問題は、6月23日に国民投票が行われる英国のEU離脱問題ですが、英ポンドが下落するなど、ブリュッセルでのテロ事件を受けて状況は複雑化しています。地域別では、世界的なビジネス環境の悪化で輸出入データに影響が及んでいます。3月に発表された中国の2月の輸出は前年同月比25.4%減(ドルベース)、輸入は同13.8%減となりました。日本の輸出は同4.0%減、輸入は同14.2%減、米国でも輸出が同6.0%減、輸入が同6.1%減となりました。

経済関連のニュースでは、米国で中国の経済指標が特に注視されるようになりました。2月下旬に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の声明で緩和の意向を示していた通り、中国は1年間で5回目となる預金準備率の引き下げを実施し、預金準備率は0.50%ポイント引き下げられて17.0%となりました(これにより1,080億ドルの流動性の増加が予想されます)。中国の2月の輸出は前年同月比25.4%減(ドルベース)、輸入は同13.8%減となり、同国の貿易黒字は1月の632億9,000万ドルから2月は325億9,000万ドルに縮小しました。食品価格が重石となって伸び悩んでいた2月の消費者物価指数は前年同月比で2.3%上昇しました。ドイツの1月の鉱工業生産指数は前月比3.3%上昇と、6年ぶりの大幅な伸びとなりました。日本の輸出は2月に前年同月比4.0%減となって1月の同12.9%減から大きく改善し、輸入は同14.2%減となりました。FOMC会合とその金利予測の注目点は、今後2回の利上げで各0.25%ポイント、2016年末までに合計0.50%ポイント引き上げられるとFRBが予想したことで、これは、米国の設備投資は低調な状態が続いているものの、雇用の回復と共に経済は上向いており、インフレ率も低水準ながら上昇が予想されている状況で行われました。イエレン議長は講演(質疑応答を含む)の中で、世界の経済成長では中国が、コモディティ価格をめぐるリスクについては原油価格が、それぞれ懸念材料であるとの見方を示しました。また、コアインフレ率が足元の1.7%から2016~17年の大半の期間で2%に達するとの予想を示した上で、FRBは「物事を慎重に進める」との意向を明らかにしました。このところ他のFOMCメンバーからタカ的なコメントが出されていたこともあり、同総裁のハト派的な発言は市場を驚かせましたが、結果的に好感されました。結論としては、今年上半期中に利上げは行われず、大統領選挙の投票日が11月8日であることを考えると、年内に2回というのも現実性はないと思われます。

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