株式市場、年度初めの日本株独歩安をどうみるか

(1) 世界危機の懸念は沈静化、リスクテイク回復

新関:武者リサーチ代表の武者陵司に「株式市場、年度初めの日本株独歩安をどうみるか」の話を聞きます。宜しくお願いします。米国をはじめ世界株式は年初来高値に接近しています。そして中国発の世界金融危機は封じ込められたようですが、これらについてコメントをお願いします。

武者:1月、2月は世界の株式は大暴落となりました。中国発の国際金融危機がいよいよ起こるのではないかとジョージ・ソロス氏などは中国のハードランディングは不可避として人民元や香港ドル売りを仕掛けました。一気に中国発の危機モードが高まったのです。しかし、その様な危機モードは2月の半ば以降急激に沈静化し、世界主要国の株式は年初来の高値に戻っています。1割強下落したアメリカの株価も年初来の高値圏ですし、同時に売られた新興国の株式或いは新興国の通貨(ブラジルレアルやオーストラリアドル)なども大きくリバウンドして世界の金融市場全体としては危機モードが一旦沈静化したという状況です。2016年は世界経済は望ましい着実な拡大に入る可能性が強まってきたと思います。その一番大きな理由は世界の中心であるアメリカ経済がしっかりしていて、アメリカの消費が世界経済を牽引するということです。日本欧州も緩慢ながら消費は拡大し雇用も改善しています。他方で問題とされていた中国の危機が様々な手立てによって封じ込められそうだということも背景にあります。この様に世界全体としては望ましいリスクテイク環境に入ってきていると言えます。

(2) 日本株独歩安と円高進行

新関:そうした中で日本株式が独歩安となっています。まるで中国に代わって日本が国際投機筋の売り対象になっている感じがします。これについてもコメントをお願いします。

武者:今や中国の上海の株価は1月末の大底2655ポイントから3049へと14%リバウンドし、年初からの下落の3分2の値戻しが実現しています。こうした中でここ数週間、日本株の独歩安が顕著です。日本の日経平均株価は年初の18800円から2月11日ボトム時には14900円へと20%の暴落となり、その後のわずかな戻りもつかの間4月に入り更に急落して依然として年初来17%マイナスという低迷状態です。同時に急激に円高が進行しました。実際に円高の進行は日本の株式にとっては最大の悪材料です。黒田総裁が1月末にマイナス金利を導入した時は1ドル120円前後であったドル円相場が急激に円高シフトし、今や110円から113円のレンジ相場となっています。このような急激な円高が企業業績の大幅な悪化となる株安要因と捉えられて、日本株を売っていく口実になっています。特に4月1日に発表された日銀短観で大企業・製造業の経常利益見通しは、2016年度はマイナス1.9%と減益見通しとなっています。この業績見通しの前提として使われている平均為替レートは117円です。現在の為替水準が110円前後ですので、現在の為替水準より大幅な円安を想定しての減益見通しですから、仮にもっと円高となりますと企業の減益幅は大きくなるということで更に売りが加速している状況です。まるで円高と株安の鼬ごっこで円高株安が進行し、結局アベノミクスの成功は水泡に帰すという、かなり危機的な局面に向かっているという感じです。なぜここにきて円が急激に買われているかの背景として色々なことが憶測されていますが、一つ挙げられているのは上海のG20でも世界の金融為替の安定が謳われ、その為には自国経済本位の通貨安政策を牽制するということが背景にありました。中国の人民元が最も大きなターゲットではあったのですが、同時に飛び火して日本の円も通貨安政策を導入しそうな対象であると言わんばかりのコメントが出されて円高観測に弾みをつけたことがあったと思います。しかし、今や世界の金融は安定し、あえてドル安円高を推進しなければいけないという局面は終わりつつある中で、尚且つ日本の円だけが上昇し、それがきっかけとなって株が売られる鼬ごっこの悪循環がここ数週間定着しています。

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