2016年4月1日時点での主要市場見通し

 春闘の賃上げ率も前年を下回る模様で、消費者の財布のひもは緩みにくいものと予想される。

・輸出についても、最近は前年比で減少基調にある(図表7)。この要因としては、1)中国などの景気減速、2)生産拠点の海外移転、3)日本が得意とする資本財(生産機械など)や電子部品等の不振(資本財は世界的な設備投資の減退で、電子部品はスマホ生産の伸び悩みで)、4)家電等を中心とした国際競争力の劣化、などが挙げられている。

・こうした日本の景気回復のもたつきから、企業収益見通しの下方修正が続いている。ただ、それを踏まえても、依然として日本株の水準は割安だ。

・ファクトセット社の集計による、TOPIXベース(すなわち東証一部全企業)の2016年(ここでは暦年)の一株当たり利益予想は、これまでの各アナリストの下方修正の結果、52週前比(=前年比)でわずか3.12%の伸びしか見込まれていない。暦年と年度の差はあるが、QUICK社のコンセンサス予想では、2016年度は経常利益が6.3%増、税引後利益が13.2%増とされており(※3)、それと比べてかなり慎重な数値であると言える。

(図表8)
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※3 税引後利益予想の方が伸びが高いのは、2015年度に計上された特別損失が剥げ落ちると見込まれていることによる。さらに、自社株買い戻しを行なう企業が多いことを踏まえると、仮にQUICKコンセンサスで一株当たり利益の伸びを計算すれば、一段と高くなると推察される。

・この、既に下方修正が十分に行われた後の一株当たり利益予想値を用いて、TOPIXベースの予想PERを計算すると(図表9)、安倍政権発足後のレンジ下限である13倍辺りまで、ようやく戻ったに過ぎない。

(図表9)
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・一方で国内では、足元の景気の軟調さから、景気対策期待が膨らんでいる。5/26(木)~5/27(金)の伊勢志摩サミットを前に、対策が取りまとめられるという観測が有力だ。内容としては、1)消費増税の再延期、2)2016年度当初予算を前倒し執行することで、年度後半に公共事業等が落ち込むことを埋めるための、補正予算、3)子育て支援や消費刺激策などが、想定される(このほか、インフラ輸出やインバウンド消費を支援する策も継続して追加されよう)。

・ただし、何かひとつ打ち出されれば、景気が目覚ましく良くなり、株価が暴騰する、といったような策はありえない。今後の国内株価上昇の本質は、売られ過ぎから正常状態への復帰であり、経済対策はそれに花を添える、といった程度に考えておくべきだろう。

以上、シナリオの背景。
このあと、前月号(2016年3月号)見通しのレビュー。

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