2016年4月1日時点での主要市場見通し

シナリオの背景

・今年1~2月の世界市場の波乱は、2つの局面にわけて考えることができる。1つは1月に最も悪化した、新興諸国中心の懸念だ。具体的には、1)中国の経済に対する失速懸念や、同国の市場周りの政策に対する疑念(株式市場におけるサーキットブレーカーの導入と撤回、過度な元安政策を進めるのではないかとの心配)、2)原油価格の下落と、それによる産油国経済・財政悪化観測、および産油国が日本株などを大いに売却するとの見解、3)サウジアラビアとイランの国交断絶、シリア情勢の混迷、中東諸国などにおけるIS(いわゆる「イスラム国」)のテロの可能性などの、地政学的リスク、といったものであった。またブラジルの経済や政治の不安定化も、これに加わっただろう。

・続いての波乱は2月に起こった。これは先進国発の懸念であったと言える。具体的には、1)ドイツ銀行の社債償還に絡む経営懸念、2)英国のEU離脱観測の高まり(離脱を巡る国民投票自体は6月23日に実施)など、欧州政治に対する疑念、3)米国の一部経済指標の悪化やシェール業者の経営破たんなどによる、米景気のリセッション突入説の広がり(一時はゼロ金利への後戻りまでささやかれた)、といったところだ。

・そこで、BRICs4か国の株価の今年初来の推移をみると(図表1)(※1)、1月の安値にかけ、総じて下落した。その後は、景気懸念が強い中国株は下落気味の推移が続き、BRICsのなかでは経済が安定していて「先進国っぽい」インドは2月の方が株価・通貨が安いが、ブラジル・ロシアの動きは、新興国懸念が1月に峠を越したことを示している。

※1 この図では、株価指数は日本円に換算されている。すなわち、各国の株価の動きと通貨(対円)の動きを合わせてみていると言える。

(図表1)
zu1
 
(図表2)
zu2
 

・続いて、日米欧の株価の推移をみると(図表2、比較するため、図表1と縦軸の目盛を合わせている)、1月に新興諸国の懸念に「お付き合い」した後、2月にさらに深押しする展開となった。ただしその2月安値からは持ち直しに入っており、新興国に遅れて、先進国市場でも波乱が一巡したことがうかがえる。

・こうして2度の波乱を経てみると、直近(3/31(木)現在)の位置が前の2図で90を下回っているのは、他国と僅差とは言え日本と、大差がついて中国だけだ。特に最近の市場波乱をもたらした要因は、そのほとんどが海外発(日本発ではない)ことを踏まえると、日本株の体たらくは異常と言える。

・この日本の極度の売られ過ぎは、1)グローバルな投資家は、日本に何も悪い要因がなくても、世界的な市場の波乱が生じ、リスクを避ける場合や、顧客からの解約要求に応えて現金を用意しなければならない場合に、全般的に世界市場における株式保有を落とすが、日本の株式市場は外国人投資家の売買比率が高いため、そうした日本の経済実態とは何の関係もない売りを浴びた時に、株価が脆い、2)日本の株式市場は以前から「不安の問屋」であり、どこかの国で何かの懸念要因が生じると、そのたびに不安をせっせと仕入れて売られる傾向が、以前から強い(自信喪失状態)、といった面が挙げられる。加えて、対米ドルでの円高気味の推移が、影を落としている。

・とりわけ足元の国内株式市場は、米ドル円相場の上下をにらんで、右往左往している。たとえば4/1(金)朝に発表された日銀短観を受けて、同日の国内株価は大幅に下落した。その要因として、業況判断DIの悪化や、2016年度の設備投資計画の慎重さなどが指摘されているが、企業が2016年度の平均として前提としている米ドル円レートが、117.46円と、現状よりかなり円安になっていたことが大きかったと推察する。筆者は後述するように、今から米ドル高・円安が進むと予想しているので、2016年度平均が117円台になることはありうると考える。しかし、そう考えない多数の投資家にとっては、企業の為替の前提は甘く、今後は想定と比べた円高による企業収益等の下方修正が大いに生じるのではないか、との懸念が広がったのだろう。

・このように、他諸国の株価が、世界的な投資心理の好転などにより、既に売られ過ぎから正常水準への復帰を始めているなか、出遅れた日本株にとっての最後の重石は、米ドル相場(円高気味の推移)となっている。

・ただし、米国の経済実態は内需中心に堅調で、それを受けて、米国証券市場における景況感は改善を見せ始めている。

・週当たり雇用者総賃金の前年比をみると、リーマンショックにより大きく落ち込んだあとは、4%前後での安定した推移が続いている(図表3)。

(図表3)
zu3
 
(図表4)
zu4
 

ヤフーブックマーク Googleブックマーク はてなブックマーク ツィートする シェアする  ライブドアブックマーク ディスカス

キーワード

 

連記事

 
 
 

新記事

 
 
みんかぶマガジン> 全ての記事> 市場解説・相場展望> 2016年4月1日時点での主要市場見通し