~コラーゲン素材で先行投資、収益基盤の強化に挑む~
ポイント
・業績は順調な回復基調に入っている。食品用・医薬品用のゼラチンや、健康食品・食品用(ヨーグルトや飲料)のコラーゲンペプチドが新規需要開拓にインバウンド需要も加わり、国内で伸びている。海外原料高も落ち着きを取り戻しており、負担が一巡しつつある。2016年3月期は北米でのケーシングが低調であるが、インドの子会社の業績は好転しているので、2017年3月期は増益ピッチが上がってこよう。
・当社はゼラチンで国内シェア約60%を有する№1企業であり、世界でも第4位に位置する。ゼラチンを軸に、コラーゲンペプチドやコラーゲンケーシングに関して、原料から製品までの一貫生産を行っているのは、世界でも当社だけである。2011年12月の上場を機に、2013年のエクイティ・ファイナンス(31億円)を活かして、大型投資を続けてきた。米国、中国、ベトナムでの生産拠点も活かして、アジアでの展開を強化している。
・ここ数年、海外の原料高と円安によるコストアップで、業績は大きく落ち込んだ。そこで、上場以来3年間進めてきた大型設備投資をペースダウンした。2015年4月に尾形社長が就任し、新中期計画に基づき収益力の向上を図っている。尾形社長は、もともと研究開発育ちで、グローバル展開と新事業分野の収益力向上に力を入れている。3ヵ年計画では、営業利益で2018年3月期に20億円を目指す。その達成は可能であろうが、ROEが8%を超えてくるには、もう一段のレベルアップが求められよう。
・2016年3月期は、インドの会社3社を連結子会社にするので、売上高はかなり増える。一方で連結化に伴い、インド子会社の株式の時価と当社の保有する簿価との差額などの要因により、特損が1.2億円ほど発生する。2017年3月期からはインドの子会社もフルに利益貢献してこよう。
・中期的には、1)ゼラチンの新市場開拓、2)海外現地生産による競争力強化、3)機能性表示の規制緩和の中でコラーゲンペプチドのシェア拡大、4)精密機器用の高機能樹脂の需要開拓などによって、業績の向上を図っていく。まずは経常利益で20億円に戻す必要があるが、その力は十分持っている。業績の回復ピッチが上がるにつれ、株式市場での見直しも進展してこよう。
目 次
1.特色 ゼラチンで国内トップ、世界で第4位
2.強み いち早くグローバル拠点を築く
3.中期経営計画 新中期計画では、これまで先行した大型投資の回収に力を入れる
4.当面の業績 ゼラチンの原料高を克服し、2017年3月期は一段と好転
5.企業評価 ゼラチンとコラーゲンペプチドの収益力回復に期待
企業レーティング | C |
---|---|
株価(16年3月2日) | 737円 |
時価総額 | 135億円(18.37百万株) |
PBR | 0.77倍 |
ROE | 4.0% |
PER | 19.3倍 |
配当利回り | 1.6% |
総資産 | 39340百万円 |
純資産 | 17594百万円 |
自己資本 | 15271百万円 |
自己資本比率 | 40.0% |
BPS | 957.6円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2010.3 | 26392 | 1407 | 1584 | 1047 | 76.5 | 3.75 |
2011.3 | 27923 | 1486 | 1383 | 1051 | 80.2 | 3.75 |
2012.3 | 27763 | 2015 | 2002 | 1375 | 99.9 | 10.0 |
2013.3 | 28772 | 1595 | 1978 | 1525 | 96.7 | 14.0 |
2014.3 | 32814 | 955 | 1115 | 665 | 37.9 | 12.0 |
2015.3 | 31914 | 392 | 967 | 610 | 33.3 | 12.0 |
2016.3(予) | 37500 | 1200 | 900 | 450 | 24.5 | 12.0 |
2017.3(予) | 40000 | 1600 | 1300 | 700 | 38.1 | 12.0 |
(15.12ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは2017年3月期予想ベース。11年4月に1:2の株式分割を実施。11年3月期以前のEPS、配当は修正ベースで表示。2012年12月に同1部指定。2013.3期の配当は、1部指定記念配2.0円を含む。13年7月に2.4百万株の公募増資と同8月に0.2百万株の第3者割当増資を実施。
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltutazerachinn201603.pdf