8月の一時的上昇での短期利食い売りも有効

7月8日付当メモ(2009-028、悲観に振れ過ぎている市場心理~「ミニ夜明け前」か)では、「世界市場は、6月半ばから景気悲観シナリオに舵を切り過ぎている」といった「ミニ悲観」の中にあり、このミニ悲観が明ける出来事として、米国企業の4~6月期決算発表が注目される、と述べた。その直後も株安・外貨安が進んだが、7月9日付当メモ(2009-29、景気悲観論のクライマックスに近い世界市場~押し目買いスタンスが有効との見方に変わりなし)では、株式・外貨の買い場であると主張した。

その後何が起こったかは、読者の方々はよくご存じなので、文章ではこれ以上述べない。代わりに、上記の8日付メモに載せた図1~図5のグラフを、データを更新して再掲する。図には縦線が引いてあるが、8日付及び9日付メモを書いた概ねの日付を示す、という趣旨で、7月9日の時点に縦線を引いている。

なお、グラフを再掲する前に、過去の振り返りより大事な今後の見通しについて述べたい。足もとの市場の好転は、国内企業の4~6月期決算発表や、引き続きの内外マクロ経済統計の発表もあって、まだ8月にはいってもフォロースルー(世界的な株価と外貨の対円での上昇)が続こう。国内企業の決算については、すでにアナリストによる見通しの上方修正などにより、ある程度楽観論が市場に織り込まれており、一方で多くの企業が自社の年間見通しを上方修正するにはまだ早すぎる。このため、決算発表が国内株価を大きく押し上げるには力不足だ。それでも、1~3月期よりは「まし」との安心感が広がろうし、日経平均が6月12 日の高値(終値ベースで10135.82 円、ザラ場ベースで10170.82)をしっかり抜けてくれば、相場観を強気に宗旨替えする投資家も表れよう。

しかし、一本調子の景気回復はありえまい。4~6月の改善は、1~3月までの急速な落ち込み(たとえば企業の大幅な生産カットによる在庫圧縮)の反動という側面もあり、7~9月分のデータは、概して景気回復の一服を示すだろう。短期的には、8月のどこかまでの株価・外貨の上昇は、利食う必要があれば、一旦売ってもよいと考える。もちろん、今年末から来年を狙うという中長期スタンスでは、世界的な景気の持ち直しとそれに沿った株価・外貨の上昇基調が見込まれるので、買いポジションは持続でよいだろう。買い乗せするのであれば、相場が下振れする9~10 月が狙い目であろう。

今後も、経済も市場も、明るくなるだろうが、波乱含みであろう。これは、「天気晴朗なれど波高し」という言葉で表すことができる。この言葉は、日露戦争の日本海海戦(1905 年5月、日本の連合艦隊がロシア艦隊を破った)で、連合艦隊が大本営に向けて発した通信文に含まれていた一節である。この一節の意味の解釈は、二つあると聞く。一つは、波が高いので、通常の作戦をとれない、という意味だそうだ。もう一つは、波が高いが、水兵はよく訓練してきたので、大丈夫だ、という意味と聞いた。今後の市場の波乱で、通常の投資作戦が取れないと言って困るか、よく準備しているので大丈夫だと自信を持って臨むかは、投資家次第だと言えよう。

では、次ページからグラフを再掲する。お楽しみください。

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