Keep It Silly Simple

将棋の羽生善治氏は「シンプルに考えることが勝負に勝つ直感を呼び覚ます。」と述べている。相場にも、KISS(Keep It Silly Simple)アプローチというものがあり、物事を複雑にすることを戒めている。実際、一見複雑に見える裁定取引やオプションの組み合わせ取引なども、リスクを突き詰めていくと、単純な価格の上げ下げリスクに行き着くからだ。

そこで、「はたして相場に理論や理性が必要なのだろうか。感性だけでこと足りるのではないか?」という疑問を抱く人たちが出てくる。

感性で相場に取り組むとは「上がりそうだから買う。重そうだから売る」という感覚に頼ることだ。理性での取り組みとは「割安を買って、割高を売る。逆に行けば損切る。利食いはできるだけ引き延ばす」というように、一種のシステム化ができ、だれもがそれを守ってさえいれば一定の成績が上がるというやり方だ。

私がこういったことを書くのは、言うまでもなく「相場は理性だ」と信じるからだ。では感性は必要ないのだろうか?

これは愚問かもしれない。相場を学問の対象と見る人ならともかく、資金運用の現場ととらえる人で、感性の鈍い人はいないと断言しておく。

そもそも、感性はだれにでも備わっているものだ。そして感性は、磨けば磨くほど輝きを増すものだ。もっとも、プロのなかにはそれのみに頼り、「相場は感性だ」と言う人がいるが、それはただの怠慢だ。

私が折にふれ、考えを文章にまとめるのは、理論を構築していくためだ。感性でひらめいた考えは、頭の中だけでは堂々巡りを始め、まとまらない。まとまらないのが感性で、まとめようとするのが理性だともいえる。

理論は段階的に構築していくので、ものごとを説明したり、理解するには便利なものだ。とはいえ実践の場で起こる、さまざまな予測不可能な事態に対処するには、時間がかかり過ぎて、あまり役に立たない。実践の場は、理性の悠長さや几帳面さを許さないと言えるのだ。実践には感性の助けがいるのだ。

理論は意識上の産物だ。相場でも価格変動の本質や需給、リスクとリターンなどを常に意識して「なぜか?」を考えていると、無意識下に何らかの情報が蓄積されていくのではないだろうか。意識のうえでは忘れてしまったものでも、無意識下では覚えているのだ。

理論だけの頭でっかちでは、実際のトレーディングは行えない。泳ぎ方の本を読んでも、それだけでは泳げないのと同じだ。感性があれば、泳ぎ方を習わなくても泳げるものだ。慣れによって、多少の上達はするものだ。しかし、正しい泳ぎ方を知らなければ、彼の進歩はそこまでで止まる。感性は、訓練によって研ぎすますことなしには、それ以上には成長しない。積み上げがないのだ。

「理より入るものは上達早く、業より入るものは上達遅し」とは、江戸末期の剣客千葉周作の言葉だ。理屈を体にたたき込むとは、意識上で理解したものを訓練によって、無意識下の本能のレベルにまで到達させることなのだ。

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