中国、たたみ重なる二律背反、悪循環が始まった可能性

為替、経済、株式等で困難が続出、打ち出す緊急避難策が、さらに事態を悪化させるという二律背反が中国のシステムを覆い始めている。これまでの中国に対する絶大な信頼の根源は、当局の圧倒的な統制力、リスク制御能力にあった。経済の合理性や本源的価値がどうであっても、景気の悪化、市場の崩落、投資損失や資産の不良化などの心配は当局のオールマイティーに対する信頼によりカバーされてきた。無謬性を旨とする共産党当局とその影響下にあるメディア、多くのコメンテイターによって、中国に危機など起きるわけがない、との強いコンセンサスが形成されていた。しかし今顕在化した、たたみ重なる二律背反は、当局の制御能力の限界を知らしめ始めている。

元安誘導が引き起こした矛盾
決定的な二律背反は為替であろう。8月11日から13日までの元安誘導は景気悪化に直面している中国経済に対しては、整合的なものであった。中国人民銀行はこれをIMFの勧告に基づいた市場実勢への通貨管理の弾力化であり改革の一環であると説明した。しかし、市場参加者の大勢は、それは口実であり、経済的要請から元切り下げを余儀なくされたとみている。中国の輸出は1~7月累計で前年比▲0.3%、7月単月では前年比▲8.3%と落ち込み、これまでとは打って変わって、輸出が成長の足かせとなっている。今では中国主要都市の賃金はアジア新興国で最高となり、価格競争力の減衰が顕著になってきた。元高が競争力を弱めているのである。また、今進行中の金融緩和を実効性のあるものにするためには、人民元安を容認せざるを得ないという因果関係がある。金融緩和により下落圧力を受ける人民元の価値を維持するためには元買いドル売り介入が必要だが、それは金融緩和を尻抜けにさせてしまう。やはり弱い経済実態には通貨安は必然なのである。となると、たった4%弱の切り下げは極めて不十分であり更なる切り下げは不可避との観測が高まる。

しかし、元安は大きなデメリットも引き起す。元高神話が砕かれたことで、中国企業の国際資金調達は今後著しく困難化し、中国からの資本逃避にもはずみがかかることも予想される。それは巨額の対外資本流入を所与としてきた中国金融をさらにひっ迫させ、一段の元安期待を醸成せずにはおくまい。中国のここ数年の急躍進は貿易黒字と言うより巨額の対外資本調達によって可能となったが、その前提である元高が続かないとなると、資金流入どころか資金流出が加速する。巨額の貿易黒字が続いているのに中国の外貨準備高が2014年以降減少しはじめ、同時に増加し続けてきた対外純資産高も2013年末の1.99兆ドルをピークに2015年3月末には1.4兆ドルと激減した。中国の外貨管理に大いなる変調が起こっていると考えざるを得ない。当局の元安誘導は、その混乱を加速する可能性が高い。

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