「シニアからプロの腕を磨く」

・75歳からを後期高齢者という。この辺りから病気になる人が増えて、一人で生活することが難しくなることが多い。今は年金が65歳からになりつつあるが、将来は75歳くらいまでは元気に働いてほしいという時代になりそうである。

・若い時には自分の仕事に忙しく、金融について学ぶ機会が少なかったという人も多い。50歳を過ぎて、あるいは60代の定年になってから、株式投資を学ぶといっても遅すぎると思うかもしれない。しかし、そんなことはない。シニアから株式投資のプロの腕を磨くことは十分できるのである。

・プロといってもいろんな投資家がいる、若くしてデイトレーダーを本業としている人、大手の投資運用会社でファンドマネージャーをやっている人、事業家でありながら株式投資に熱心な人など多様である。そこで、まず自分はどんな投資家になりたいかをイメージしてみよう。

・1)自信はないが、自分で投資判断をして投資してみたい、2)よく知られた大物投資家のようになりたい、3)特に尊敬する人はいないが、慎重に着実に投資したい、4)せっかく投資するなら、時に思い切って勝負することがあってもよい、5)自分ではよくわからないので、誰か信頼できる人に全部お任せしたい、などいろいろな考えがあろう。

・まずは自分の人生を振り返って、一番の決断は何であったかを思い出してみよう。人生で重大な決定をした時に、何を最も重視したか。何か偶然に流されたという人もいよう。それでも自分なりには必死に考え、その上で決断をしたはずである。何か自分なりの根拠を持って、納得したはずである。それがうまくいった場合もあれば、いまだに後悔していることがあるかもしれない。そういう決断に比べて、株式に関する投資判断というのは、随分性格が異なる。訓練して、腕を上げていくことができるからである。

・すでに株式投資の経験をある人は、①うまくいった時は、読みが当たったのか、予想しないことがいい方向に作用したのか、②うまくいかなかった時は、同じように何が原因であったのか、を考えてみてほしい。予想したことが外れた場合、なぜ外れたのだろうか。予想しないことが起きた場合、なぜ予想できなかったか。それは、本当に自分の判断による責任だろうか。何か言い訳がしたくなる。しかし、くよくよ後悔しなくてもよい。

・これから株式投資をやってみようと思う人は、1)その会社の社長と同じ気持ちになれるか、2)顧客としてその会社の商品やサービスを素晴らしいと感じるか、3)もし尊敬する人がいるとすれば、その人の何が優れていると思うかを考えてほしい。その上でもう一度、自分はどんな投資家になりたいかを問うてみたい。

・資産運用のプロにはどんな能力が必要なのだろうか。しばらく前に、プロのファンドマネージャーであった依田孝昭氏と話したことがあった。彼が書いた本「外資のアセットマネジメント」には、プロに求められるいくつかの必要条件があげてあった。①意思決定ができる判断力がある、②論理的なものの考え方ができる、③間違いを恐れない、④間違いは素直に認める、⑤旺盛な知的好奇心を有する、⑥他人の意見を聞くことができる、⑦思考の柔軟性がある、⑧精神的なタフさを有する、⑨実行力がある、という点である。

・なるほどと思いつつ、よく考えてみると、これは普通のサラリーマン、キャリアウーマンにとっても当り前に必要なことである。何らかの組織で10年、20年、30年と働いたことのあるシニアなら、仕事のおけるこのあたりの厳しさや必要性はよく分かっていると思う。それができない人と一緒に仕事をして、人間関係で悩んだことも多いと思う。長い人生でさまざまな苦労をしてきたので、思い当たることがいろいろあろう。そう考えると、個人差はあるとしても、プロの腕を磨くのに特殊な才能が必ずしも求められているわけではない。

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