「アベノミクス成長戦略~第3弾」

・『「日本再考戦略」改訂2015~未来への投資・生産性革命』が6月末に公表された。株式投資の観点から注目すべき論点をいくつか取り上げてみる。

・日本のGDPの7割がサービス産業で稼ぐ。このサービス産業の生産性は製造業よりも低く、米国に比べても6割水準にとどまる。きめ細かな日本的サービスの提供によるものという見方もあるが、働き方が稼ぎに見合っていない。サービス価格が安いという面もある。付加価値のあるサービスを効率よく提供し、価値に見合った価格で納得してもらう仕組みが必要である。具体的には、小売り、飲食、宿泊、運送の5分野で、「カイゼン」に取り組む。ここでICTの活用は有力な武器である。

・また、「経済財政運営と改革の基本方針2015」も6月末に公表された。“経済再生なくして財政健全化なし”というテーマである。当然であろう。2020年度のPB(プライマリーバランス)黒字化は目標として変更していない。PB赤字の対GDP比率を減らしていく。

・医療・介護分野や公共施設への民間投資を活用して、公共サービス分野を成長のエンジンとする。社会保障は高齢者も相応の負担をせざるをえない。医療・介護は効率が求められる。個々人は生活習慣を見直して、元気な高齢者をできるだけ長く続ける必要がある。ポイントは公的サービスの産業化で、その鍵は生産性の向上である。

・人口減少・高齢化社会で、働き手が足りない。人手不足が目立っている。女性や高齢者にもっと働いてもらう必要がある。その時でも生産性が向上しなければ、成長の限界にぶつかってしまう。そこで、生産性革命が成長戦略のテーマとなった。

・目玉はロボットである。狭い意味でのロボットに留まらず、IoT、ビックデータ、人工知能(AI)といったICTの活用を促進する。そのためには、マイナンバーの活用とともに、セキュリティの確保が絶対的に必要である。セキュリティ認証制度とサイバーセキュリティの確保が求められる。ロボットでは、ヒト型ロボットによる接客サービスや介護ロボット、防災ロボット、無人耕作ロボットなどさまざまな応用が進むことになろう。

・さらに、農業、医療・介護、観光の基幹産業化が進もう。農林水産業の6次産業化はすでにスタートを切っている。JAの改革も緒についた。遊休農地の有効活用を推進する。農地の集約に向けて、耕作放棄地への課税強化は必要である。また、農産品の輸出産業化は一段と進展しよう。

・ヘルスケアでは、電子カルテの普及、地域医療情報連携ネットワークの促進、医療ビックデータの活用などによる次世代ヘルスケア産業の創出が始まることになろう。ジェネリック(後発医薬品)の使用比率を80%にもっていくことで、医療費の負担を減らす。一方で、新薬開発へのインセンティブも強化する必要がある。マイナンバー(社会保障と税の共通番号)を活用すると、薬歴情報を共通化して、無駄な投薬や検査が減少できる。マイナンバー活用へのIT投資が市場を活性化し、その利用が生産性の向上に結びつこう。

・インバウンド2000万人はみえた。次の3000万人に向けて、キャパシティを拡大する必要がある。日中関係からみて突然観光客が途切れるリスクには十分注意する必要があるが、国別の分散を図りながら、日本のさまざまな地域が競って、インバウンドの受け入れに力を入れていくことになろう。モノからサービスの真価が問われる。成田、羽田だけでは間に合わないので、地方の空港の活用が進もう。広域観光ルートの整備で、今まで無名の地域にも客を呼ぶことができる。免税店も2万店近くになっているが、今後一段と増えてこよう。

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