「中国株はバブルか」

・5月の東日本大震災義援金セミナーで、株式投資家に対して、これから注目できる銘柄として、伊藤忠商事、PCデポ、日進工具を挙げた。番外として、フィリピンの株式投資(投信、ETF)が面白いとも紹介した。PCデポと日進工具についてはアナリストレポートを書いているので、ご関心があれば見ていただきたい。(www.belletk.com) ここでは、伊藤忠商事、フィリピン株、そして中国株について考えてみる。

・伊藤忠商事は、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループ、中国のCITIC(中国中信集団)と組んで、ビジネスを拡大する。昨年10月の世界経営者会議でCPのチャラワノン会長と、CITICの常会長の話を聴いていた。どちらも信頼できそうな優れた経営者であった。

・具体的には、伊藤忠とCPグループがCITICに出資し、3社連合で中国、アジアでビジネスを拡大する。そのために2社で1.2兆円をCITICに出資し、いずれ約20%の出資比率を得る。こうした展開をリードする岡藤社長の慧眼には期待できるものがある。

・伊藤忠商事については、2014年度の「誠実な企業」賞(インテグリティ・アワード)で表彰された時に、独自のCSR活動について話を聴いた。また、統合報告(IR:インテグレイテッド・レポーティング)の優秀企業でも表彰されたので、その統合報告書は熟読していた。

・フィリピンについても懸念が持たれた。アセアン10カ国にはいろいろな国があり、発展段階も違う。今年末に経済統合でAEC(アセアン経済共同体)ができるといっても、なぜフィリピンなのか、という疑問である。

・フィリピンについては、同じ世界経営者会議でSMインベストメントのコソン副会長、サンミゲルのアン社長の話を聴いていた。二人ともフィリピン経済は新しいステージに入っており、益々インフラ投資を必要とする。その中で、AECが進行すれば、発展の基盤は一段と強固なものになると強調していた。

・直近のアジア主要国の株式市場をみると、上海A株(人民元建、中国人向け)はROE13.0 %
PBR3.0倍、PERは18.3倍、来期のEPS増益率+14.1%である。同様にフィリピンは14.3%、3.0倍、19.0倍、+12.1%である。因みに、インドは16.0%、3.1倍、16.5倍、+18.0%であり、インドネシアは、19.7%、3.2倍、14.5倍、+13.5%である。

・いずれにも割安感があるわけではなく、ほぼ妥当な水準にあるといえよう。ファンダメンタルズに関するマクロのコンセンサスをみれば、中国の成長率は低下し、インドに抜かれる局面にある。フィリピンのGDPは6%を上回る安定した高成長を遂げている。一方、ROEの水準からみたPBRや、来期の増益率からみたPERにおいて、中国株が異常に高いというわけでもない。

・野村證券投資情報部の山口氏の話を聴く機会があった。上海A株は年初来40%上がっているが、深圳A株は2倍近くになっている。中国企業の業績が伸びるという点では、ファンダメンタルの裏付けがあるともいえる。しかし、それ以上に投機的動きが加速しているという。

・つまり、中国における投資機会の変化である。マクロ経済は減速している。住宅・不動産の値上がりも見込めなくなっている。シャドーバンキング規制があり、信託商品への投資も十分できない。だから株式に資金が向かっているという見方である。投資先が限定されてきたので、株が注目され、その株が上がるから、さらにデイトレーダーが集まるという構図である。株式に業績の実態はあるとしても、そこに解離が生じている。銀行株も上がっている。不良債権については、その懸念よりも今問題が生じているわけではない、という楽観ムードに支配されている。

・香港、上海取引所間の相互取引の拡大で、中国本土A株に比べて出遅れている香港株への見直し期待もある。しかし、上海A株市場では信用の買い残が積み上がっており、一旦調整が入ると、香港株へ影響してくる公算も高い。

・中国株全体の時価総額は、上海A株57%、深圳A株35%を中心構成されている。輸出製造業やテクノロジーの上場企業が多い深圳株の方に調整余地が大きいともいえよう。

・中国政府はGDPの鈍化をある程度許容しており、それを補うために海外市場の開拓に向かおうとしている。中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)は、途上国のインフラ作りには歓迎されるとしても、中国の領土問題や軍事的拡張が絡んでくると摩擦が激化する公算が高い。

・中国の政治システムがすぐに綻ぶわけではないが、外交的摩擦は激しくなりそうである。その時に、民間の経済活動はどうなるのか。フィリピンの大手、サンミゲルのアン社長がいうように、①隠れたリスクに関する情報を十分収集せよ、②そのためには、ローカルなパートナーと組むことである、③適切な品質と価格を提供して、しっかりした信頼関係を築くことが必須であろう。

・伊藤忠商事を通じて中国ビジネスの実態を見極める、という視点は投資家として興味深い。中国株ファンドを既に保有する投資家にとって、上海インデックスの高騰はとりあえず嬉しいことであるが、中国の政策展開とビジネスの実態は注意深くフォローする必要があろう。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

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