「TDLはなぜ成功したか」

・東京ディズニーランド(TDL)はなぜこんなにうまくいっているのか。その成功要因をあげよ、と言われたら、誰でも答えることができそうである。行ったことのある人なら2つ3つを大いに語りそうである。そのくらい誰でも話題にできる。

・当の経営者はいかがであろうか。オリエンタルランド(コード4661、時価総額3兆円)の加賀見会長(CEO)の話を聴く機会があった。オリエンタルランドは1960年に設立された。京成電鉄の川崎社長が米国のディズニーランドを見て、子供たちに夢を与えたいと考えた。当時加賀見氏は、机を3つ並べただけの場所で、定款を作るところから事務を担当した。

・今の場所の埋め立てについて合意したのが1974年、ディズニーランドがオープンしたのが1983年4月である。会社設立から23年も経っていた。その間は何の収入もないさびしい会社であったと、加賀見会長はいう。しかし、絶対に成功させるという強い決意をもっていた。

・初年度1000万人が来園した。2001年9月にディズニーシーがオープンした。昨年は3100万人が来園し、累計のゲスト(入場者)は6.3億人に達した。90%がリピーターで、年に2~3回来る人が多い。

・TDLの成功要因は5つある、と加賀見会長は説明した。第1は、タイミングのよさである。1983年という時期は日本経済が発展し、休日が増えて、人々の価値観もモノから心へと変化し、レジャーに安らぎを求めるようになってきた。第2は、立地条件のよさである。日本橋から直線で10㎞、東京という人口の多い都市部から少し移動するだけで、「異空間」に入っていける。ゲストの気持ちをうまく切り替える演出が鍵であった。

・第3は、ディズニーブランドのフル活用である。おもてなしにはハードとソフトの2つが必要である。契約上、国内の独占権と、ミッキーマウスを自由に使える権利を獲得した。第4は、地元住民、行政の協力である。当初は批判もあったようだが、千葉県や浦安市などの支援が大いなる発展を導いた。第5は、全役職員の頑張りである。何が何でも成功させようという強い意志で団結した。当時の遊園地は、都内の有力所(としまえん、後楽園、よみうりランド、谷津遊園など)を合わせて年間1000万人の来場者であった。それに対して、年1000万人を目標にした。3年ももたないと揶揄されもしたが、見事に成功した。ゼロからの立ち上げに対する遂行力は、今や社員のDNAになっている、と加賀見会長は強調する。

・テーマパークは永遠に完成しない、とはウォルト・ディズニーの言葉である。顧客(ゲスト)のニーズはどんどん変化する。アトラクションの中身も変えていく。ショーは観るものから、一緒に遊ぶものとなっている。当初のねらいがはずれても、次に変化させていく。その能力もかなり身に付けたという。

・新しいアトラクションは3~5年かけて計画する。ファンタジーランドを2倍にする。ディズニーシーにアナと雪の女王のエリアを作る。パレードは2~3年かけて準備するが、アナと雪の女王のパレードは1年でスタートさせた。タイミングを重視したという。

・3100万人のゲストの95%が日本人で、外国人は5%程度である。社員も日本人である。32年前にオープンした時は、100%米国のマニュアル通りであった。しかし、運営理念は同じであっても、ノウハウをためて、日本的な対応も取り入れている。安全性やコーテシー(礼儀正しさ)は進化している。ショーやパレードの場所取りをどう規制するか、入場制限の工夫、キャストの気配り、レストランでのサービスやレシピの改良、グッズの開発など実に多様である。ディズニーシーのダッフィーのぬいぐるみはものすごい年商、でも米国では全く違う。 

・TDLは日本流で発展した。パリや香港のディズニーランドを見ても日本の成功とは比較にならない。来年、上海にディズニーランドがオープンしても何ら競争にならないと、加賀見会長は心配していない。

・ディズニーランドに3600億円、ディズニーシーに3600億円、その他も入れて、トータルではこれまで1兆円の投資をしてきた。これに対して、次の10年で5000億円の投資を行っていく。第3のディズニーランドを作るのではなく、既存のエリアを拡張し、中身を充実させていく。

・TDLのインバウンド(来日観光客)は5%、少ないと思いきや、そうでないかもしれない。3100万人の5%は155万人。すでにインバウンドの10%を超える。インバウンドについては、今のところ日本での買い物が中心であるため、ディズニーランドを楽しむ客はさほど多くない。しかも、ディズニーランドを本当に楽しむには2~3日必要である。とすると宿泊してゆっくりする必要がある。来日観光客がモノではなく心を楽しむようになれば、その1つの選択としてTDLが注目されよう。上海や香港にない日本独特のおもてなしのディズニーランド、米国との違いも認識されてこよう、TDLはグローバルの中で、じっくりとオンリーワンを目指す。これが加賀見会長の経営哲学である。

・若者だけでなく、壮年も熟年もますます行くようになるかもしれない。アルコールが楽しめるようにもなっている。ファーストサービスではなく、スローサービスのレストランも増えてこよう。「異空間」の次なる演出に注目したい。

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