「どんな株に投資するか~スマートベータとアルファ」

・米国の運用会社であるRA(リサーチ・アフィリエイツ)のジェーソン・スー副会長(カリフォルニア大学ロサンゼルス校特任教授)の話をアナリスト協会で聴いた。それを参考にしながら、どんな株に投資するのがよいかを考えてみる。

・学問として、投資商品や投資家行動を分析する時は絶えず統計を用いて、その分析データが意味のある違いを示しているかどうかを問う。米国には学者もデータも揃っているので、実証分析は米国市場が中心となる。統計的に有意であるといって、誰もがそのようになるわけではない。あるいは、統計的に有意でない、つまりデータに仮説を説明するだけの違いがみられない、といっても個々のケースではよい時も悪い時もある。投資家としては、そうした意味についてもよく知りたいと思う。

・株式投資を考える時、まずは市場のインデックスの上げ下げをみる。その次に、市場のインデックスとは違った個別の株の変動をみる。市場と同じように動く要素をベータ(β)、市場の動きとは別の独自の要素をアルファ(α)という。個別株投資でいえば、市場がどうなろうと、上がる株を持ちたいと思う。あるいは、市場が上がる時にもっと上がる株、市場が下がる時にあまり下がらない株を持ちたいと思うかもしれない。これを1つの株式で満たすことはかなり難しい。そうすると、いくつかの株で構成されるポートフォリオを作っていく。そのポートフォリオの作り方によって、それぞれの新しい個性が出てくる。

・インデックスにもいろいろある。日本株でいえば、日経225が一般的であるが、プロの年金運用者はトピックス(TOPIX)を最も重視する。最近では、ROEを重視したJPX日経400というインデックスが注目されている。一般に基本となるインデックスよりも、もう少しパフォーマンスがよくなるようなインデックスを、スマートインデックスと呼んでいる。そのインデックスがもつベータ(スマートベータ)が、もとのインデックスを本当に上回るパフォーマンスを上げられるかが注目される。もしパフォーマンスがよいならば、そのスマートインデックスに投資すればよいことになる。

・スー副会長は、スマートベータは1つのインデックス投資であるから、そのインデックスが超過リターン(プレミアム)を得るには、そのプレミアムを生み出すファクター(要因)について、よく知る必要があるという。株式プレミアムについては、この15年で250のファクターが見いだされ、議論されてきたが、大きくは6つのファクターに分けられると指摘する。その6つとは、①サイズ、②クオリティ、③リクイディティ、④モメンタム、⑤ローベータ、⑥バリューである。この6つのファクターのうち、どれが最も頑健(ロバスト)であるかを論じた。

・サイズでは、スモールキャッププレミアム(小型株効果)が比較的注目されるが、実はこの効果はないという。つまり、小型株の方がプレミアム(超過リターン)を生むというデータは出ていない。小型株インデックスを採用して、よいパフォーマンスを上げられるわけではないということになる。

・クオリティはどうか。何らかのクオリティのよさを定義して、それに基づいてクオリティプレミアムを追求する。そのような70の定義に基づくインデックスを分析してみると、アウトパフォームしているものと、アンダーパフォームしているものが半々で何ともいえないという。優れたマネジメント、よい商品・サービス、ROEのよさといっても、それだけで市場をアウトパフォームできるわけではない。

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