「事業ポートフォリオの進化~旭化成と富士フイルムホールディングス」

・“昨日まで世界になかったもの”の旭化成と“化学の芸術品”の富士フイルムホールディングスはどちらがよい会社か。この比較は難しい。それぞれに良さもあれば、課題もあるというのが普通の答えであろう。ただ、こういう問いを設定してみると、両社の個性がよくみえてくる。12月に両社が実施した個人投資家説明会で話を聴いてみた。多岐に亘る事業内容をもう一歩踏み込んで、今後どうしたいかを語っていた。

・旭化成は、①ケミカル・繊維、②住宅・建材、③エレクトロニクス、④ヘルスケアの4つの事業ポートフォリオ(セグメント)を有する。旭化成といえば誰でもサランラップとへーベルハウスをイメージするが、紙おむつ用の不織布、電子材料としてのフィルムや、医療用の人口透析器、骨折抑制効果を有する骨粗鬆症薬などが伸び盛りである。

・旭化成の事業ポートフォリオは、常に時代の要請に応えて変化を遂げてきた。延岡の水力発電をもとにアンモニアを作り、そこから化学肥料、合繊、建材、エレクトロニクス、医薬品へと多角化を進めてきた。“昨日まで世界になかったものを”提供することを、グループのスローガンとしている。

・2016年3月期までの5カ年中期計画(For Tomorrow 2015)では、売上高2兆円、営業利益2000億円(途中で1600億円へ修正)、ROE10%以上を目指している。2015年3月期の会社計画が売上高2兆円、営業利益1540億円、ROE 10%強であるから、いいところまできている。

・事業戦略の柱は、1)グローバルリーディング事業の積極展開と、2)新しい社会価値の創出である。グローバルリーディング事業では、①省燃費タイヤ用合成ゴムで、シンガポール工場の能力増強のほか、次の海外拠点作りも検討している。需要が拡大するアジアで、№1のシェアを獲って行く。また、②紙おむつ素材の(スパンボンド不織布)で、タイ工場の生産能力を上げていく。アジアの紙おむつ市場は、2012年の300億枚が2015年に600億枚、2020年に900億枚へと伸びると会社側では予想している。

・新しい社会価値の創出では、製品別の事業推進ではなく、①環境・エネルギー、②住・暮らし、③ヘルスケアといった横断的なカテゴリーの中で、水処理膜、リチウムイオン二次電池用セパレータ、高機能断熱材、医薬品、医療機器などに取り組んでいる。

・リチウムイオンのセパレータ(ハイボア)ではすでに世界シェア№1であるが、その用途はPC、スマホから車へと、さらに広がっていく。大量水処理用ろ過膜(マイクローザ)は、このプラスチックの筒を通すことによって、汚染水がきれいな水になる。米国の浄水用ろ過膜でシェア№1、中国での生産体制も強化している。

・ヘルスケアでは、骨粗鬆症薬が好調、国内シェア40%の中空系型透析器(ダイアライザー)で海外展開を加速させていく。また、2012年に買収した米国ゾール・メディカル社が手掛ける着用型自動除細動器(ライフベスト)の国内サービスにも力を入れている。これは心臓疾患があり、心停止のリスクのある人に用いられ、米国でのシェア№1、世界で10万人以上が使用している。さらに、水銀ランプに替わる水を殺菌する深紫外発光ダイオードのサンプル出荷も始めている。

・このように事業ポートフォリオの中身を着実に入れ替えながら収益性の向上を図っており、今後も安定した利益成長が見込めよう、イノベーションの連鎖が効いている点が評価できよう。配当性向30%を目途に、継続的な増配を目指している。

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